
F1ハンガリーGP 決勝直前情報:タイヤ戦略考と天気、角田降格後のグリッド
日本時間8月3日(日)22時にスタートを迎える2025年F1第14戦ハンガリーGP。ここでは、スターティング・グリッド、予選結果からの変動、そして予想されるタイヤ戦略や気象条件についてまとめる。
Courtesy Of McLaren
2番手のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、ポールポジションを獲得したシャルル・ルクレール(フェラーリ)、3番手のランド・ノリス(マクラーレン)、2025年8月2日F1ハンガリーGP予選(ハンガロリンク)
スターティンググリッド & 見所
予選16番手に沈んだ角田裕毅(レッドブル)は決勝を前に、パルクフェルメ下で今季5基目のICE(内燃エンジン)を含むパワーユニット交換を行い、ピットレーンからスタートする。これに伴い、後方グリッドが変動した。
予選が歴史的な接戦となったことで、決勝も波乱含みの展開が期待される。最大の注目は、ポールポジションを獲得したシャルル・ルクレール(フェラーリ)と、2-3番グリッドに着くマクラーレン勢によるトップ争いだ。
ハンガロリンクはオーバーテイクが極めて難しく、予選順位が決定的に重要だ。スタート直後の1周で首位を守ることができれば、ルクレールとフェラーリにとっては今季初勝利が見えてくるかもしれない。
ただし、ターン1のブレーキングポイントまで距離が388mと比較的長く、スタート直後のマクラーレン勢には最大レベルの警戒が必要だ。なお、路面グリップ上のアドバンテージがあるのは、奇数列スタート組となる。
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ハンガロリンクのターン1で衝突して宙を舞うマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とルイス・ハミルトン(メルセデス)、2024年7月21日F1ハンガリーGP決勝レース
今季ワーストの8番グリッドにとどまったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が、どれだけ巻き返せるかも注目される。前方には友人ガブリエル・ボルトレート(ザウバー)とアストンマーチン勢が並ぶ。
Pos | Driver | Team | Qualifying |
---|---|---|---|
1 | C.ルクレール | フェラーリ | 1(-) |
2 | O.ピアストリ | マクラーレン | 2(-) |
3 | L.ノリス | マクラーレン | 3(-) |
4 | G.ラッセル | メルセデス | 4(-) |
5 | F.アロンソ | アストンマーチン | 5(-) |
6 | L.ストロール | アストンマーチン | 6(-) |
7 | G.ボルトレート | ザウバー | 7(-) |
8 | M.フェルスタッペン | レッドブル | 8(-) |
9 | L.ローソン | レーシングブルズ | 9(-) |
10 | I.ハジャー | レーシングブルズ | 10(-) |
11 | O.ベアマン | ハース | 11(-) |
12 | L.ハミルトン | フェラーリ | 12(-) |
13 | C.サインツ | ウィリアムズ | 13(-) |
14 | F.コラピント | アルピーヌ | 14(-) |
15 | A.K.アントネッリ | メルセデス | 15(-) |
16 | P.ガスリー | アルピーヌ | 17(+1) |
17 | E.オコン | ハース | 18(+1) |
18 | N.ヒュルケンベルグ | ザウバー | 19(+1) |
19 | A.アルボン | ウィリアムズ | 20(+1) |
20 | 角田裕毅 | レッドブル | 16(-4) |
レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで完全生配信・生中継される。
タイヤ戦略:主流は2ストップ
2024年のハンガリーGPでは、トップ8台すべてがC3(ハード)とC4(ミディアム)を組み合わせた2ストップ戦略を採用。1-2フィニッシュを飾ったマクラーレン勢は、2台ともに「ミディアム→ハード→ミディアム」と繋いだ。一方、角田は「ミディアム→ハード」の1ストップで9位フィニッシュ。1ストップ勢としては最上位だった。
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.
F1ハンガリーGPのドライバー別タイヤ戦略、2024年7月21日ハンガロリンク
2025年も2ストップ戦略が主流となる見通しで、ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは「最速の戦略がハードとミディアムを使う2ストップであることは明白」としている。
ピレリのレースシミュレーションによれば、理論上の最速戦略は「ミディアム→ハード→ハード」であり、1回目のストップは16〜22周目、2回目は40〜46周目が最適とされる。
ただし、Q3進出組のうち、アストンマーチン勢、ガブリエル・ボルトレート(ザウバー)、レーシング・ブルズ勢を含む5台はハードタイヤが1セットしか残っておらず、「ソフト→ミディアム→ハード」の2ストップが有力視される。気温が低ければ1ストップも選択肢となる。ちなみに、角田もこのグループに含まれる。
ハンガロリンクはオーバーテイクが困難で、タイヤのデグラデーションも大きいため、アンダーカットが非常に効果的に機能する。ソフトスタート勢にとっては、この点が最大の武器となる。
なお、昨年の勝利戦略である「ミディアム→ハード→ミディアム」も依然として有力候補とされているが、この戦略を採用可能なのは、ミディアムを2セット温存しているザウバーの2台に限られる。
気になる天気:降雨リスク低
週末の前段階では雨の可能性が高く見込まれていたが、執筆時点の予報によれば、朝方に雨が降る可能性はわずかに残るものの、午後以降の降水確率は10%以下にとどまり、決勝スタート時刻である現地時間15時の天気は「晴れ」となっている。その後も、雨が降る可能性は低いとされており、基本的にはドライレースが期待される状況だ。
とはいえ、もし朝に雨が降れば、コース上に乗ったラバーはすべて洗い流され、路面コンディションはリセットされることになる。そのため、グリップの変化を見越して、一部のチームは戦略の見直しを迫られる可能性もある。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
2021年8月1日のF1ハンガリーGP決勝1周目のターン1でクラッシュに巻き込まれたセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、マクラーレンのカルロス・サインツとダニエル・リカルド