2020年12月13日、アラブ首長国連邦のヤス・マリーナ・サーキットで開催されたF1アブダビGPで優勝したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2位のバルテリ・ボッタス、3位のルイス・ハミルトン、レッドブル・レーシングのカーエンジニアリング責任者ポール・モナハンcopyright Red Bull Content Pool

ホンダF1、選手権制覇掲げるもメルセデスに完敗「最終年の来季こそはチャンピオンシップ獲得を目指す」と田辺TD

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レッドブルのマックス・フェルスタッペンが12月13日(日)の最終アブダビGPでポール・トゥ・ウインの完勝を果たした事で、ホンダF1としてはモンツァでのピエール・ガスリーの初優勝と合わせて今季3勝を計上した。

1.6リッターV6ハイブリッド・ターボエンジンが導入された2014年以降、ヤス・マリーナ・サーキットはメルセデスが全ポール、全勝を独占してきた”牙城”であったが、この記録をレッドブル・ホンダが打ち破った。

表彰台の上で優勝トロフィーを掲げるレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2020年F1アブダビGP
© Red Bull Content Pool

オープニングラップから後続を引き離しに掛かったフェルスタッペン。10周目のバーチャル・セーフティーカー(VSC)導入によって勝利への道が一気に切り開かれる事となった。

ヤス・マリーナ・サーキットは伝統的にオーバーテイクが困難で、2-3番手スタートのメルセデス勢にとっての唯一の勝機は2台を使ったタイヤ戦略にあった。だが、VSC導入時にステイアウトを選択するインセンティブは皆無であり、メルセデス勢は自ら戦略的オプションを捨てざるを得ずダブルストップを敢行。フェルスタッペンを大きく後押しした。

ハードタイヤに履き替えたフェルスタッペンは最後までメルセデスの接近を一度も許さず、後続に16秒差を付けてトップチェッカーを受けた。優勝に加えて、ポールポジションと全周リードを記録する圧勝だった。終盤には「必要ならエンジンの出力落とすけど?」との余裕すら見せた。

セルジオ・ペレスへの交代が噂されるフェルスタッペンの僚友アレックス・アルボンは5番グリッドからスタートし、6周目にランド・ノリスを交わして4番手に浮上。最終盤には3位ルイス・ハミルトンの2秒以内に迫ったものの、仕掛けるには至らず4位でフィニッシュした。

グリッド上でレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを努めるDr.ヘルムート・マルコと談笑するアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー、2020年F1アブダビGP
ヘルムート・マルコと談笑するアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー / © Red Bull Content Pool

アルファタウリ・ホンダ勢は、ダニール・クビアトがSC導入時のピットストップの際にポジションを落とし無念の11位に終わった一方、ピエール・ガスリーは28周目にランス・ストロールを、30周目にシャルル・ルクレールを、そして32周目にはセバスチャン・ベッテルを交わし、8位でチェッカーフラッグを受けた。

ホンダエンジン勢としては3台入賞でのシーズン幕締めとなった。

Pos Driver Team Laps Time PTS
1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 55 1:36:28.645 25
4 アレックス・アルボン レッドブル・ホンダ 55 +19.987s 12
8 ピエール・ガスリー アルファタウリ・ホンダ 55 +89.718s 4
11 ダニール・クビアト アルファタウリ・ホンダ 54 +1 lap 0

通季としてはレッドブルが319ポイントを獲得し、王者メルセデスと254ポイント差のコンストラクター2位、アルファタウリは計107ポイントでコンストラクター7位という結果だった。

ホンダは2020年シーズンをチャンピオンシップへの挑戦の年と位置づけ、7月の開幕オーストリアに臨んだが、振り返ってみれば一度もこれを脅かす場面を作れないままに激動の17戦を終える事となった。

これについてホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターは「結果として、メルセデスに大きく離される悔しい一年になった」「パッケージとして更なる進化が必要だと痛感している」と述べた上で、ファクトリーでの開発を加速させ「ホンダにとってのF1最終年となる来年こそはチャンピオンシップ獲得を目指したい」と来季逆襲を誓った。

最終年の来季こそはチャンピオンシップ獲得を

田辺 豊治ホンダF1現場責任者

今日のシーズン最終戦、アブダビGPの決勝レースでは、レッドブル・レーシングのフェルスタッペン選手がポール・トゥ・ウインを飾り、ホンダとしてシーズン3勝目を挙げることができました。

フェルスタッペン選手は、終始トップを譲らない力強い走りでライバルを寄せ付けずチェッカーフラッグを受け、最終戦を勝利で締め括ってくれました。

チームメートのアルボン選手は、終盤に前のクルマに迫る走りを見せたものの残念ながら4位、スクーデリア・アルファタウリのガスリー選手は何度も見事なオーバーテイクを披露して8位、クビアト選手はピットストップでポジションを大きく落としたことが響き、惜しくも入賞には一歩届かず11位という結果でしたが、ホンダとしては良い形でシーズンを締め括れたと考えています。

ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターとホンダF1の山本雅史マネージング・ディレクター、2020年F1アブダビGP
田辺豊治テクニカル・ディレクターとホンダF1の山本雅史マネージング・ディレクター / © Red Bull Content Pool

今年はコロナ禍の中、短期間かつ過密日程で戦うことになったシーズンでした。

レッドブル・レーシングと共にチャンピオンシップ制覇を目標としてシーズンインを迎えたものの、結果としてはチャンピオンのメルセデスに大きく離されるという悔しい一年になりました。

パッケージとしてさらなる進化を果たさなくてはいけないことを痛感している一方で、今日の勝利以外にも、F1の70周年記念レースでの勝利や、スクーデリア・アルファタウリとの50戦目の記念レースでガスリー選手が初勝利を挙げるなど、記憶に残るレースができたと思っています。

また、シーズン3基の使用が許されているPUレギュレーションに沿う形で、ホンダ製F1パワーユニットを搭載する4台すべてが、PU交換によるペナルティーなしでシーズンを終えられたことは、過去に学び信頼性の向上を図れた結果だと思っています。

コロナ禍によりさまざまなイレギュラーに対応し、厳しいシーズンを戦い抜いてくれたホンダ、レッドブル、アルファタウリのすべてのメンバーに感謝の言葉を贈りたいと思います。そして、それを支えた家族、さらにはその活動を支えてくれた方々にも感謝いたします。

すでに発表されているように、来年はホンダにとってF1に参戦する最後の一年になります。チャンピオンシップ獲得を目指し、ファクトリーではさらなるパフォーマンスアップに向けて、チームとともに開発を懸命に続けていきます。ここから短いオフシーズンに入りますが、さらに強くなって戻ってきたいと思います。

みなさま、今シーズンも応援をいただき本当にありがとうございました。そして、来年もご声援をよろしくお願いいたします。


12月13日(日)にヤス・マリーナ・サーキットで行われた2020年F1最終第17戦アブダビ・グランプリ決勝レースでは、ポールポジションからスタートしたマックス・フェルスタッペンが今季2勝、通算10勝目を上げて優勝した。2位はバルテリ・ボッタス、3位表彰台にはルイス・ハミルトンが滑り込んだ。

F1サーカスはこれより束の間のオフを迎える。2021年シーズンは12月15日(火)のポストシーズンテストと、年明け後のプレシーズンテストを経て、3月21日のオーストリアGPで開幕を迎える。

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