
ルクレールが波乱を制し今季初優勝、フェルスタッペン終盤クラッシュでSC決着 / F1イギリスGP 2026《決勝》結果と詳報
2026年F1第9戦イギリスGPの決勝レースが7月5日(日)にシルバーストン・サーキットで行われ、2番グリッドのシャルル・ルクレール(フェラーリ)が数々の波乱を制して今季初優勝を飾った。2024年アメリカGP以来のトップチェッカーとなった。
2位にはジョージ・ラッセル(メルセデス)、3位にはルクレールのチームメイトであるルイス・ハミルトンが続き、スクーデリア・フェラーリがダブル表彰台を獲得した。この並びを決定づけたのは、終盤に導入されたセーフティーカー(SC)だった。
今週末の観客動員数は56万4000人に及び、2026年のイギリスGPはF1の歴代観客動員記録を更新した。決勝では、全車がスタートタイヤにミディアムを選択した。
アントネッリが出遅れフェラーリ序盤に1-2
フェラーリはオープニングラップのターン1に向けて1-2体制を築いた。ポールポジションのアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が初期加速に苦しんで3番手に後退し、ルクレールが首位、ハミルトンが2番手に浮上した。
そのアントネッリは、11周目にコップス(ターン9)でハミルトンを抜き去り、1つ順位を取り戻すも、ハミルトンを一気に引き離すほどのペースはなかった。一方、ハミルトンはジャンプスタートにより5秒ペナルティを受け、ピットストップでこれを消化して4番手に後退した。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、「ダウンシフトが本当にクソみたいだ」と不満を連ねつつも、後続の僚友アイザック・ハジャーを突き放し、17周目にラッセルをオーバーテイクして4番手に浮上すると、その直後にハードタイヤに交換したが、感触が悪いと不満を漏らした。
ラッセルは、ペースに苦しむフェルスタッペンに仕掛けたものの、右リアのスローパンクチャーに見舞われた結果、予定外のピットストップを強いられ後退。そのラッセルに代わってフェルスタッペンの背後についたハミルトンは、38周目にこれを攻略し、表彰台圏内に復帰した。
アントネッリを襲った終盤の悪夢
アントネッリは35周目まで第1スティントを引っ張り、ルクレールの後方7秒の位置でコースに戻った。その直後の38周目、ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)が油圧系統の問題によりコップスのイン側で停止したことでバーチャル・セーフティーカー(VSC)が短時間導入され、レッドブル勢がロスタイムを抑えてミディアムタイヤに履き替えた。
終盤に向けた最初の衝撃的な光景が広がったのは、41周目だった。アントネッリがターン6を曲がりきれずに突如失速し、「サスペンションが壊れてる」と訴えてピットに入った。フロントウイングを交換して再びコースへ戻ったが、それでもペースは戻らなかった。
その後、左フロントのホイールシールドが損傷していたことが判明。アントネッリは再びピットに入って破片を取り除き、10番手でコースに復帰するも、この間のラップで走路内にとどまれず、トラックリミット違反により5秒のタイムペナルティを受けた。
ランキング首位のアントネッリは9位でフィニッシュしたものの、このペナルティで16位へと後退し、今季初のノーポイントに終わった。
表彰台を塗り替えた残り5周のSC
波乱は、これで終わらなかった。残り5周を切ったストウ(ターン15)で3番手を走行していたフェルスタッペンがコントロールを失い、グラベルに捕まった。マシン回収のため、SCが導入された。奇妙なクラッシュだった。
このタイミングで、1-2体制を築いていたフェラーリ勢を含め、ほとんどのマシンがタイヤを交換した。だが、メルセデス勢だけはステイアウトを選んだ。この判断により、ラッセルは2番手へと浮上した。
レースは残り1周で再開されると発表された。だが、最終的にはSCの先導下でファイナルラップを迎え、そのまま幕を閉じた。これは「ソフトウェアのエラー」が原因の誤報で、実際には規則上、レースを再開することはできない状況だった。
会場の観客からはブーイングが飛び、ルクレールが今季初勝利を飾り、ラッセルが2位、ハミルトンが3位で表彰台に並んだ。
ハミルトンは、ヒュルケンベルグが停止した際に一時的に振られたシングルイエローを遵守せず、レース後に審議が行われたが、スチュワードは違反を認定しつつも戒告処分にとどめる決定を下した。
なお、22周目には、会場からコース内に入り込んだ傘を回収するため、短時間にわたってVSCが導入されたが、これを利用してピットストップを行えた者はいなかった。
ノリス凱旋4位、VCARBが大量得点
ディフェンディング王者として母国凱旋を果たしたランド・ノリス(マクラーレン)は4位、ハジャーが5位に続いた。
リアム・ローソンが6位、アーヴィッド・リンブラッドが7位を獲得し、レーシング・ブルズ勢は中団上位争いで大きな後押しとなる大量ポイントを稼いだ。
ガブリエル・ボルトレートは、レーシング・ブルズ勢へのアンダーカットを僅差で阻まれたが、それでも8位でフィニッシュし、開幕戦以来となるポイントをアウディに持ち帰った。
フランコ・コラピント(アルピーヌ)は1周目のクラブ(ターン17・18)でハーフスピンを喫しながらも9位を獲得し、最初のピットストップでタイムを失った僚友ピエール・ガスリーを10位に抑え込んだ。
アストンホンダ最下位、ピアストリ開始早々に転落
アストンマーティン・ホンダはこの日も苦難に見舞われた。フェルナンド・アロンソは、フォーメーションラップで「マシンのシステムトラブル」によりコース上で停止するアクシデントに直面。幸いにも再始動できたが、ピットレーンからのスタートを強いられ18位でレースを終えた。
ランス・ストロールは、5基目のバッテリー(ES)およびコントロール・エレクトロニクス(PU-CE)の投入により10グリッド降格を受けて最後尾からスタートした。突風の影響もあってか6回にわたりトラックリミット違反を犯し、5秒ペナルティを3回受けた末、完走19台中最下位でレースを終えた。
フェルスタッペン以外にも上位勢で受難に見舞われたドライバーがいた。オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、オープニングラップの混乱に巻き込まれてフロントウイングを破損。交換のための計画外のピットストップで最後尾に転落し、11位まで巻き返すのが精一杯だった。
アレックス・アルボン(ウィリアムズ)は、1周目にオリバー・ベアマン(ハース)の左リアに衝突。1周目を終えてピットストップを行い大きく後退すると、接触の責任を問われて10秒ペナルティを受け、48周目にリタイヤを喫した。
サインツに異例の「1周ペナルティ」
カルロス・サインツ(ウィリアムズ)は12位でレースをフィニッシュしていたが、完了ラップ数から1周減算するという異例のペナルティにより、17位に降格した。
フェルスタッペンのクラッシュに伴うSCの導入を経て、リスタートに向けた手順が開始された際、サインツは他の周回遅れのマシンと同じようにSCを追い抜いた。だが、実際にはサインツは周回遅れではなく、SCを追い越す許可は与えられていなかった。
スチュワードは、この混乱の要因として「シルバーストン特有のコースおよびピットレーン構成」を挙げ、一連の事情への理解を示した。一方でチーム側は聴聞において、2つのミスを犯したと認めた。
サインツへのペナルティにより、ハースのオリバー・ベアマンとエステバン・オコン、セルジオ・ペレス(キャデラック)、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、そしてバルテリ・ボッタス(キャデラック)の順位がそれぞれ1つずつ繰り上がった。
2026年F1第9戦 イギリスGP 決勝リザルト
| Pos | No | Driver | Team | Laps | Time | PTS |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 16 | ルクレール | フェラーリ | 52 | 1:27:11.335 | 25 |
| 2 | 63 | ラッセル | メルセデス | 52 | +0.427s | 18 |
| 3 | 44 | ハミルトン | フェラーリ | 52 | +0.772s | 15 |
| 4 | 1 | ノリス | マクラーレン | 52 | +1.149s | 12 |
| 5 | 6 | ハジャー | レッドブル | 52 | +1.598s | 10 |
| 6 | 30 | ローソン | レーシングブルズ | 52 | +2.023s | 8 |
| 7 | 41 | リンブラッド | レーシングブルズ | 52 | +2.214s | 6 |
| 8 | 5 | ボルトレート | アウディ | 52 | +2.413s | 4 |
| 9 | 43 | コラピント | アルピーヌ | 52 | +3.229s | 2 |
| 10 | 10 | ガスリー | アルピーヌ | 52 | +3.445s | 1 |
| 11 | 81 | ピアストリ | マクラーレン | 52 | +4.014s | 0 |
| 12 | 87 | ベアマン | ハース | 52 | +5.245s | 0 |
| 13 | 31 | オコン | ハース | 52 | +5.512s | 0 |
| 14 | 11 | ペレス | キャデラック | 52 | +7.403s | 0 |
| 15 | 12 | キミ・アントネッリ | メルセデス | 52 | +8.005s | 0 |
| 16 | 77 | ボッタス | キャデラック | 52 | +8.162s | 0 |
| 17 | 55 | サインツ | ウィリアムズ | 51 | +1 lap | 0 |
| 18 | 14 | アロンソ | アストンマーティン | 51 | +1 lap | 0 |
| 19 | 18 | ストロール | アストンマーティン | 51 | +1 lap | 0 |
| 20 | 3 | フェルスタッペン | レッドブル | 46 | DNF | 0 |
| NC | 23 | アルボン | ウィリアムズ | 43 | DNF | 0 |
| NC | 27 | ヒュルケンベルグ | アウディ | 36 | DNF | 0 |
コンディション
| 天気 | 晴れ |
|---|---|
| 気温 | 25℃ |
| 路面温度 | 42℃ |
| 周回数 | 52 |
セッション概要
| グランプリ名 | F1イギリスGP |
|---|---|
| レース種別 | 決勝 |
| レース開始日時 |
サーキット
| 名称 | シルバーストン・サーキット |
|---|---|
| 設立 | 1947年 |
| 全長 | 5891m |
| コーナー数 | 18 |
| 周回方向 | 時計回り |