雨で視界が白く霞むセパン・インターナショナル・サーキットを走行するアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、2026年10月4日(日) F1バーレーンGP決勝
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

「とてつもなく腹が立つ」メルセデス、満を持して大型改良も誤算…ウォルフ激怒のセパン二重苦

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「とてつもなく腹が立っている。とても満足できる気分ではない」

メルセデスは、満を持して大型アップグレードを投入した2026年F1第16戦バーレーンGPで、期待した速さを発揮できないばかりか、パワーユニット(PU)のトラブルにも見舞われ、1台を失った。チーム代表のトト・ウォルフは、厳しい言葉で週末を振り返った。

マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで行われたウエットレースでメルセデス勢は、選手権首位のアンドレア・キミ・アントネッリが2位を確保した一方、ジョージ・ラッセルは最終盤に3番手からリタイヤを余儀なくされた。

前戦アゼルバイジャンGPではラッセルが予選から圧倒的な速さを示して優勝。タイトルスポンサーであるマレーシアの国営石油会社ペトロナスの地元に、スペシャルカラーのW17を持ち込んだシルバーアローには、大きな期待が寄せられていた。

大型改良もレッドブルに完敗

メルセデスは、3月の開幕戦オーストラリアGPに向けて開発資源を集中させ、シーズン中のアップグレードを抑える方針を採った。そのため序盤はライバルに大差をつけていたものの、開発攻勢をかけるフェラーリ、マクラーレン、レッドブルが順に差を縮めてきた。

今週末のセパンには、再び優位を広げるべく、5月のカナダGP以来となる大規模な空力アップデートを持ち込んだ。ところが、週末を通じて先行したのはレッドブル。マックス・フェルスタッペンは予選でポールポジションを獲得すると、決勝でも後続を寄せ付けない速さを見せて今季初勝利を飾った。

「まず、週末前に期待していた速さがなかった。立て直すために、やるべきことが山積みだ。それでも、必ず挽回できると信じている」とウォルフは語った。

チームは今回の改良によってダウンフォースが増加したとしているが、高温多湿のコンディションに加え、極めて荒い路面を持つセパンでは、タイヤの温度管理とグリップの確保に苦戦した。

これまで高い優位性を誇ってきたストレートでのトップスピードに陰りが見られたことから、アップグレードによってマシンのドラッグ(空気抵抗)が増加した可能性もある。

序盤1-2体制から暗転、終盤にはトラブル

レース序盤、メルセデスは1-2体制を築いていた。それだけにウォルフの不満は一層強まった。

フェルスタッペンがスタートで後退する一方、2台が先頭に立ち、セーフティーカー(SC)導入の好機を得てインターミディエイトからスリックへ交換。追走するドライバーに対して有利な展開となった。

だが、その後フェルスタッペンが首位を奪取。メルセデス勢はラップを重ねるごとに遠ざかるレッドブルの背中を見続けるだけの展開となった。さらに、2度目のSC導入により全車のギャップがリセットされたことで、一時は首位から80秒遅れていたルイス・ハミルトン(フェラーリ)に追われる立場となった。

「あれほどのアドバンテージがあったというのに。これ以上ないほど不運だった」とウォルフは嘆いた。

「レースは文字どおり我々にとって悪い方向へ進んだ」

最終盤のリスタート直前には、ラッセルがコース脇に停止。表彰台圏内を走行しながらも、リタイヤを強いられた。ウォルフは机を激しく叩いて怒りを爆発させた。

ラッセルはカナダGPでも、アントネッリと首位を争っていた際に似た状況で停止していた。

「追い打ちをかけるように、残り数周でジョージがトラブルに見舞われた。これは彼のチャンピオンシップ争いにとって最悪の結果だし、チームのコンストラクターズ選手権争いにとってもまったく褒められたものではない」

「私はここ[マレーシア]に来るのが大好きだが、純粋にレースだけを見れば、正直なところ、私にとって最悪の経験の一つになってしまった」

84点差のラッセル、タイトルに厳しい認識

メルセデスは今季、総じて高い競争力を発揮してきた一方、信頼性の問題が繰り返されている。特にラッセルのマシンで目立つが、アントネッリもバルセロナで同様の問題によって2位を失っている。

残り7戦が予定される中、2位ラッセルと首位アントネッリの差は84ポイントに拡大した。ラッセルは、自身のレースを「素晴らしいとは言えないけど、堅実なレースだった」と評価した。リタイヤする以前からチームメイトの後方におり、完走しても差が広がる状況だった。

ラッセルは、それでも「戦い続けるだけだ」と語る一方、タイトルの可能性については現実的な見方を示した。

「もう終わったと思う、なんて言う必要はない。でも、もちろん可能性が極めて低いのは確かだ。それが現実だ」

開発陣とHPPへの信頼は揺るがず

厳しい評価の一方でウォルフは、テクニカルディレクターのジェームズ・アリソンが率いる車体開発陣と、PU部門のハイパフォーマンス・パワートレインズ(HPP)への信頼を強調した。

「我々には期待できるアクションプランがある。ジェームズは幹部チームとともに、状況をしっかり把握している。それが私の気分を持ち直させてくれる。我々には素晴らしい人材が揃っている」

「HPPについても同じだ。彼らが問題を解決してくれる」

次戦はシンガポールGP。ラッセルが昨年、圧倒的な走りで勝利したマリーナベイ市街地コースが舞台だ。


雷雨とマシンに相次いだ技術的トラブルにより、2度の開始遅延を余儀なくされた2026年F1第16戦バーレーンGPでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインで今季初勝利を挙げた。

マリーナベイ市街地コースを舞台とする次戦シンガポールGPは、10月9日のフリー走行1回目(FP1)で幕を開ける。

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