3台失格の波乱…マクラーレン1-2!ブルズ、再びの失態―角田は5位入賞逃す最下位 / F1中国GP 2025《決勝》結果と詳報

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2025年FIA-F1世界選手権第2戦中国GPの決勝レースが3月23日、上海インターナショナル・サーキットで行われ、オスカー・ピアストリが終始レースをリードし、通算3勝目を見事なポール・トゥ・ウインで飾った。

ランド・ノリスはブレーキトラブルに見舞われ、ペースダウンを余儀なくされながらも9.7秒差で2位に入り、マクラーレンが今季初の1-2フィニッシュを果たした。3位表彰台にはジョージ・ラッセル(メルセデス)が滑り込んだ。

フェラーリのシャルル・ルクレール(5位)、とアルピーヌのピエール・ガスリー(11位)は、レース終了後の車検により800kgの最低重量を1kg下回っていたことが判明し、F1技術規定違反で失格処分を受けた。

さらに、車体底面のスキッドブロック(プランク)の厚みがF1技術規則第3条5項9号 e) に定められた最小値9.0mmを下回っていたとして、ルイス・ハミルトン(6位)もリザルトから除外された

2台の失格に伴いスクーデリア・フェラーリは、ポイントの剥奪によりウィリアムズに交わされコンストラクターズ選手権5位に後退。声明を通して失格の原因について釈明した。

ポジションを争うフェラーリのルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレール、2025年3月23日(日) F1中国GP決勝レース(上海インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Ferrari S.p.A.

ポジションを争うフェラーリのルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレール、2025年3月23日(日) F1中国GP決勝レース(上海インターナショナル・サーキット)

角田裕毅、戦略ミスとトラブルで痛恨19位

角田裕毅は、中団最上位となる7位入賞を手中に収めかけていたが、フィールド全体が1ストップ戦略に傾く中、レーシング・ブルズは不可解なことに、レース中盤に2回目のピットストップを実施。これによりポイント圏外に後退した。

ポイント圏内復帰も絶望的な状況の中、さらに48周目には、接触なしにフロントウイングが破損。信頼性に起因する可能性のあるトラブルに見舞われた結果、再度のピットインを強いられ、完走19台中最下位でレースを終えた。

レーシング・ブルズVCARB 02をドライブする角田裕毅(レーシング・ブルズ)を先頭に、エステバン・オコン(ハース)とアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が追走する様子、2025年3月23日(日) F1中国GP(上海インターナショナル・サーキット)

レーシング・ブルズVCARB 02をドライブする角田裕毅(レーシング・ブルズ)を先頭に、エステバン・オコン(ハース)とアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が追走する様子、2025年3月23日(日) F1中国GP(上海インターナショナル・サーキット)

レース後に角田は、開幕戦でも同様にミスで上位入賞を逃した事に触れ、「真剣に受け止めるべき問題」であると強調した。

フェラーリの2台が技術規定違反により失格となったことで、角田は実質的に、自身の責任によらない要因によって5位入賞のチャンスを失ったかたちだ。

フェルスタッペン、苦しい展開も4位キープ

スプリントでの苦戦を経て、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は決勝での厳しい展開を予想していたが、その読みは的中。スタート直後のターン1でオーバーステアにより4位から6位へ後退し、フェラーリ2台に先行を許した。

レース中盤には先頭グループから5秒以上も遅れる苦しい展開となったが、それでも第2スティント中盤以降にルイス・ハミルトン(フェラーリ)を追い詰め、最終的にはスタートポジション維持の4位でフィニッシュした。

フェラーリは接触スタート、戦略分けるも表彰台には届かず

フェラーリ勢はオープニングラップのターン2で、チームメイト同士が接触する波乱の展開に直面した。

これによりルクレールはフロントウイングの右翼端板を失ったが、交換せずに走行を継続。にも拘らず、僚友ハミルトンよりも速いペースを刻み続けたため、ピットウォールはハミルトンからの提案でチームオーダーを出し、21周目にポジションを入れ替えた。だが、ラッセルを追い抜くには至らず5位でフィニッシュした。

一方のハミルトンは、上位勢では唯一2ストップ戦略を採用し、ファステストラップを連発したものの、タイヤ交換によるタイムロスを取り戻すには至らず6位に終わった。

ハースが戦略成功でダブル入賞、ウィリアムズも健闘

ハース勢は前戦オーストラリアGPでの苦戦から巻き返し、今戦では見事な戦略遂行によりダブル入賞を達成した。レーシング・ブルズとは対照的だった。

エステバン・オコンは、ミディアム→ハードの順で45周ものロングスティントを走り、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)を抑えて7位でフィニッシュ。フェラーリ勢の失格により5位入賞を果たした。

僚友オリー・ベアマンはハード→ミディアムのリバース戦略を採用し、終盤にポジションを取り戻して10位フィニッシュし、8位に昇格した。

アレックス・アルボン(ウィリアムズ)も1ストップ作戦を最大限に活用し、9位フィニッシュの最終7位と健闘した。

フェラーリ勢の失格により一転、ポイントを持ち帰ったのは2台。ランス・ストロール(アストンマーチン)は9位で今季初の入賞を果たし、カルロス・サインツが10位に入ったことで、ハースと並びウィリアムズもダブル入賞を達成した。

アルピーヌは失速、唯一のノーポイントチームに

アルピーヌ勢は今戦も苦戦した。ジャック・ドゥーハンはターン14でのアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)に対するディフェンスで10秒ペナルティを受け、ポイント圏外13位に沈んだ。これにより、ハジャーは11位に繰り上がった。

ドゥーハンがノーポイントに終わり、ガスリーが失格となったことで、アルピーヌは開幕2戦を終えて唯一のノーポイントチームとなった。

ローソンは2戦連続ピットスタートから15位

リアム・ローソンが予選最下位に終わったことを受け、レッドブルはクルマのドライバビリティ改善に向けてサスペンションのセットアップを変更。これによりローソンは2戦連続でピットレーンからスタートし、15位でフィニッシュ(最終12位)した。

ドライバー別タイヤ戦略

2025年F1第2戦中国GPでのドライバー別タイヤ戦略、2025年3月23日上海インターナショナル・サーキットCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2025年F1第2戦中国GPでのドライバー別タイヤ戦略、2025年3月23日上海インターナショナル・サーキット

2025年F1第2戦中国GPでのコンパウンド別最多ラップと最速ラップタイム、2025年3月23日上海インターナショナル・サーキットCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2025年F1第2戦中国GPでのコンパウンド別最多ラップと最速ラップタイム、2025年3月23日上海インターナショナル・サーキット

エディ・ジョーダン追悼セレモニーも

レース前には、先日76歳で亡くなった元F1チームオーナーであるエディ・ジョーダンの追悼セレモニーが行われた。

2025年F1第2戦中国GP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 56 1:30:55.026 25
2 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 56 +9.748s 18
3 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 56 +11.097s 15
4 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 56 +16.656s 12
5 31 エステバン・オコン ハース・フェラーリ 56 +49.969s 10
6 12 アンドレア・キミ・アントネッリ メルセデス 56 +53.748s 8
7 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 56 +56.321s 6
8 87 オリバー・ベアマン ハース・フェラーリ 56 +61.303s 4
9 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 56 +70.204s 2
10 55 カルロス・サインツ ウィリアムズ・メルセデス 56 +76.387s 1
11 6 アイザック・ハジャー レーシングブルズ・ホンダRBPT 56 +78.875s 0
12 30 リアム・ローソン レッドブル・ホンダRBPT 56 +81.147s 0
13 7 ジャック・ドゥーハン アルピーヌ・ルノー 56 +88.401s 0
14 5 ガブリエル・ボルトレート ザウバー・フェラーリ 55 +1 lap 0
15 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ザウバー・フェラーリ 55 +1 lap 0
16 22 角田裕毅 レーシングブルズ・ホンダRBPT 55 +1 lap 0
NC 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 4 DNF 0
DQ 16 シャルル・ルクレール フェラーリ DSQ 0
DQ 44 ルイス・ハミルトン フェラーリ DSQ 0
DQ 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー DSQ 0

コンディション

天気晴れ
気温27℃
路面温度37℃

セッション概要

グランプリ名 F1中国GP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 上海インターナショナル・サーキット
設立 2004年
全長 5451m
コーナー数 16
周回方向 時計回り

F1中国GP特集