
角田裕毅「真剣に受け止めるべき」2戦連続でブルズ戦略ミス、またも大量得点逃す―悔しさを押し殺し”複数の問題点”を指摘
チームの戦略ミスと信頼性に起因すると見られるトラブルにより、7位入賞による大量ポイントを失ったことを受け角田裕毅(レーシング・ブルズ)は、開幕戦でも同様にミスで上位入賞を逃した事に触れ、「真剣に受け止めるべき問題」であると強調した。
2025年FIA-F1世界選手権第2戦中国GPの決勝が3月23日、上海インターナショナル・サーキットで行われ、角田は56周のレースの34周目まで7位入賞圏内を走行していたものの、戦略ミスとマシントラブルにより大きく後退し、完走19台中最下位という結果に終わった。
チームの判断に理解も改善の必要性を指摘
全体が1ストップ戦略に傾く中、レーシング・ブルズは中盤に2回目のピットストップを敢行。これにより角田はポイント圏外に転落した。さらに48周目には、接触もない状況でフロントウイングの一部が脱落するというトラブルに見舞われ、再度のピットインを余儀なくされた。
角田はレース後、「本当にがっかりしています」と失望を認め、「スタートは良かったのですが、やはり戦略には改善すべき点があると思います。判断の意図は理解できますが…」と続けた。
突発的なウイング損傷「あってはならない」
メインストレートを走行中に突如、フロントウイングのフラップが壊れた件については「本当に悔しいです。あれは、あってはならないことだと思います」と振り返った。
「もちろん、前のクルマには一切接触していません。パーツが自然に落ちてしまった感じでした。今後に向けて良い教訓にはなりますが、今日はもっと良い結果を期待していました」
戦略とペース、複合的要因を分析へ
アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)をアンダーカットするなど、クルマのパフォーマンスは悪くなさそうに見えたが、ペース面にも課題があったと角田は指摘する。
「ペースは悪くなかったのですが、おそらくスプリント予選レースの時ほど、速くはなかったと思うので、この点を分析する必要があります」
「それでも今日、戦略を最大限に活かしきれなかったことは確かだと思います。なので、さまざまな要因が絡み合った結果だと思いますが、やはり一番大事なのは、こういう状況をどうやって防ぐか。そして今後、もっと的確な戦略を組むにはどうすればよいのかということを学ぶことだと思います」
レーシング・ブルズVCARB 02をドライブする角田裕毅(レーシング・ブルズ)を先頭に、エステバン・オコン(ハース)とアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が追走する様子、2025年3月23日(日) F1中国GP(上海インターナショナル・サーキット)
ハースの快進撃に敬意、連続失点に苦言
レーシング・ブルズとは対照的に、ライバルのハースは、前戦での苦戦から巻き返し、見事な戦略遂行によりダブル入賞を達成した。レーシング・ブルズが適切な戦略を実行していた場合、角田はこの2戦でさらに18ポイントを上乗せした可能性がある。
ハース勢のダブル入賞に話が及ぶと角田は、「やはり、一度気持ちを切り替えないといけません」と打ち明けた。
「クルマに十分な速さがあるのは分かっていますが、それに頼りすぎて、レースに向けた準備の中で大事な何かを見落としていたかもしれません。その点はしっかり見直す必要があります」
「ハースには素直に敬意を表したいです。前のレースではかなり苦しんでいましたが、今回で大きな進歩を遂げました。すごくいい仕事をしたと思います」
「ただ、その一方で、やっぱり悔しいですね。自分たちにはもっと良い結果を出せるクルマとチーム、そして人材が揃っているという自信があるので」
「それだけに、2戦連続で大量ポイントを逃したという事実は、真剣に受け止めないといけないと思っています」
悔しさを押し殺し、努めて冷静にインタビューに応じる角田の姿が印象的だった。
F1アカデミーのグリッド上で写真を撮るレーシング・ブルズのローラン・メキーズ代表、アイザック・ハジャー、角田裕毅、2025年3月23日(日) F1中国GPサポートレースのF1アカデミー第1戦レース2にて(上海インターナショナル・サーキット)
2025年F1第2戦中国GPでは、オスカー・ピアストリがポール・トゥ・ウインを飾り、ランド・ノリスが2位に続いたことで、マクラーレンが1-2フィニッシュを飾った。3位表彰台にはジョージ・ラッセル(メルセデス)が滑り込んだ。
鈴鹿サーキットを舞台とする次戦日本GPは、4月4日のフリー走行1で幕を開ける。