早くも揺らぐローソンの将来―マルコ、交代の可能性を除外せず…存在感を放つ角田とハジャーを高評価

  • Published: Updated:

2025年シーズンの僅か2戦目を前に、既にリアム・ローソン(レッドブル)のシートは揺らいでいる。レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは中国GPの予選を終えて、交代の可能性を否定しなかった。

レッドブルの若きニュージーランド人ドライバーは当初、チャンピオンシップを懸けた戦いが期待されていたが、実際には早くも自身の将来を懸けた戦いを強いられている。

ローソン、期待には程遠い厳しい現実

昨年終盤、ダニエル・リカルドの解雇を受けてRB(現レーシング・ブルズ)で6戦を戦ったローソンは、ポテンシャルの高さと強靭な精神力を買われ、セルジオ・ペレスに代わって今年、レッドブル昇格を果たした。

だが、開幕オーストラリアGPでは予選で下から2番目の18番手に終わり、レースではクラッシュによりリタイヤ。さらに中国GPのスプリント予選、本予選のいずれも最下位と、ペレスが直面してきた以上に厳しい状況が続いている。

シーズン開幕に先立ってマルコは、ローソンは予選・決勝ともにチームメイトのマックス・フェルスタッペンに対してコンマ3秒以内に迫れるはずだとしていたが、実際の差はそれを大きく上回る。中国GP予選では、フェルスタッペンとの差が0.750秒(Q1比較)に達した。

予選中にブレーキングでホイールをロックさせるリアム・ローソン(レッドブル)、2025年3月22日(土) F1中国GP(上海インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

予選中にブレーキングでホイールをロックさせるリアム・ローソン(レッドブル)、2025年3月22日(土) F1中国GP(上海インターナショナル・サーキット)

トップチームとしての責務、結果主義のF1

無論、2戦目を前に4度の世界王者であるフェルスタッペンと直接比較するのは酷な話だ。だが、トップチームの一角を担うレッドブルのマシンに乗っている以上、少なくともトップ8以内を狙うことが期待される。ところがローソンはそれに遠く及ばず、ハース、アルピーヌ、ザウバーといった後方チームにも遅れをとっている。

さらに悪いことに、同じくレッドブル昇格候補であった角田裕毅(レーシング・ブルズ)が安定して上位争いを続けていることで、ローソンの苦戦が一層際立つ形となっている。

角田は開幕戦で予選5番手を記録し、レースでも戦略ミスがあるまでトップ6を走行。中国GPではスプリント予選8番手、スプリント決勝で6位入賞、本予選では9番手を獲得するなど、結果で存在感を示している。

ドイツ「Sky Sports」によると上海での予選を経てマルコは、ローソンについて「今後じっくり話し合うことになるだろう」と語り、即時の解雇は否定したものの、「これは我々が期待していたものではない」と述べ、事態の深刻さを認めた。

さらに、「幸いなことに、我々のジュニアプログラムにはまだ何人か有望なドライバーがいる」と語り、ローソン交代の可能性について問われると、「F1は結果がすべての競技だ。最終的に重要なのはそこだ」と、意味深ながらも、ある種明確な答えを返した。

角田とハジャー、ローソンとは対照的に存在感

ローソンとは対照的に、彼の後任として今年、レーシング・ブルズでデビューしたアイザック・ハジャーは、2戦目を前にその才能を証明しつつある。

開幕戦ではQ3進出に迫る走りを披露し、中国GPでは予選で角田を上回る7番グリッドを獲得。スプリントでは2ポジションアップの13位完走と、安定感と速さを両立させている。

予選後にインタビューを受ける7番手のアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)、2025年3月22日(土) F1中国GP(上海インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

予選後にインタビューを受ける7番手のアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)、2025年3月22日(土) F1中国GP(上海インターナショナル・サーキット)

ハジャーについてマルコは「このコースで走るのが初めてであるにもかかわらず、彼は2戦目とは思えない素晴らしいタイムを出してミスもなかった。今のところ、彼が見せているものは本当に驚異的だ。まさに“陽”と“陰”は紙一重だ。これからどうなるか、注視していこう」と絶賛した。

再びドライバー交代に踏み切ることが妥当かどうかという点は議論の余地があるにせよ、仮に後任候補を挙げるとすれば、最も注目すべき存在が角田であることに疑いの余地はない。

マルコは、オーストリアの「ServusTV」に対し、現在の角田は「キャリア最高の状態にある」と高く評価。加えて、かつて課題とされていた無線での感情的な振る舞いが見られなくなった点にも言及し、「彼は大きく変わった」と成長を認めている。

スタート前のグリッドでエンジニアと話す角田裕毅(レーシング・ブルズ)、2025年3月22日(土) F1中国GPスプリント(上海インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

スタート前のグリッドでエンジニアと話す角田裕毅(レーシング・ブルズ)、2025年3月22日(土) F1中国GPスプリント(上海インターナショナル・サーキット)

角田、次戦日本GPでの交代昇格にも意欲

アメリカのスポーツ専門局「ESPN」によると、角田はローソンに代わってレッドブルのシートに座る準備が「100%できている」と語り、必要であれば次戦・日本GPからの昇格にも前向きな姿勢を示した。

レッドブルのマシンをドライブする意欲があるかと問われた角田は、「もちろんあります」と返し、さらに「次戦の日本GPでの交代は?」と追及されると、「はい、100%準備はできています。あのクルマの方が速いですからね」と答え、自信をのぞかせた。

F1中国GP特集