
F1中国GP:異例の”SDカード未装着”によりウィリアムズに罰金―ウイング規制強化TD違反をめぐり
2025年F1中国グランプリにおいて、国際自動車連盟(FIA)の要請に従わず、義務付けられていた車載カメラの映像データを提出できなかったとして、ウィリアムズ・レーシングに5万ユーロ(約812万円)の罰金処分が科された。このうち4万ユーロについては執行猶予付き(2025年12月31日)となった。
FIAは、フロントおよびリアウイングの”たわみ”を監視する目的で、全チームに対し特定のオンボード映像の提出を義務付けており、その一環としてウィリアムズにもSDカードに保存された映像の提出を求めた。しかし、同チームの車載カメラにはSDカード自体が装着されておらず、映像が記録されていなかったことが判明した。
FIA「規則違反は明白」も、故意性は否定
スチュワードは「チームが義務を果たさなかったことに疑いはない」とし、規定違反を明確に認定。原因については、ウィリアムズが「SDカードを装着済みの状態でカメラが供給されると信じていた」ことにあるとした。チームはその確認を怠っていたという。
スチュワードによると、ウィリアムズはセッション中にカメラの赤い点滅に気づいたものの、「その意味を理解しておらず、SDカードを装着するには遅すぎた」とされる。さらに、セッション終了後、この事実をFIA技術デリゲートに報告しなかった点も問題視された。
ただしFIAは、ウイングの挙動を隠そうとする意図はチームなく、規則違反はあくまで手続き上のものであったと述べ、悪意や隠蔽行為はなかったと判断した。
ウィリアムズ「誤解による手続き上のミス」 再発防止を誓う
ウィリアムズは声明で、「FP1中にカメラの不具合を懸念し、FIAとは継続的に協議していた」と説明。「この件はFIAとのコミュニケーション不足によるものであり、内部手続きを見直し、今後再発しないよう対策を講じる」とした。
さらに、前戦ではすべての映像を問題なく提供しており、今回の件は手続き上の問題であると主張。ウイング自体の合法性には何ら疑いはなく、仕様も変更していないと強調し、「FIAの対応と建設的な対話に感謝している」と付け加えた。
今回の件は、FIAがリアウイングの剛性監視を強化する中で発生したものであり、技術指令TD034Lにより「SDカードの装着責任はチーム側にある」ことが明記されていた。FIAはこれを根拠に罰金を科した。