期待高まるレッドブル・ホンダのオーストリア4連覇…”最大の強敵”を強く警戒するメルセデス
例えばカレンダーに並ぶグランプリが全て超高速のモンツァであるとするならば、各チームのマシンの姿は今とだいぶ異なる事だろう。不可抗力とは言え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で2020年シーズンのF1カレンダーはチームが当初想定していたものとは大きく様変わりした。この影響は誰の利となるだろうか。
F1は6月に入って遂に改訂版カレンダーを発表した。世界選手権連続開催70周年のアニバーサリーは、7月初旬のレッドブル・リンクでのダブルヘッダーとハンガリーでのシングルレースを皮切りに始動する。そう、つまりはレッドブル・ホンダのオーストリアGP 4連覇と、開幕3連勝の可能性が出てきたわけだ。
マックス・フェルスタッペンは過去2年連続でシュピールベルクでのレースを制している。4連覇は荒唐無稽な妄想ではない。更に言えば、若きオランダ人ドライバーは昨年のハンガロリンクでの予選で1分14秒572のコースレコードを樹立してキャリア初となるポール・ポジションを獲得しているだけに、新型肺炎によるカレンダーの再編は、フェルスタッペンにとっての初のタイトル獲得を大きく後押しする可能性がある。
もしもヨスの息子が今季のチャンピオンシップを制する事があれば、メルセデス以外のドライバーとしては2013年以来、実に7シーズンぶりの快挙となる。無論、ディフェンディング・チャンピオン足る者がその危険性を認識していないわけもなく、メルセデスのテクニカルディレクターを務めるジェームス・アリソンは警戒感を強めている。
今週公開されたF1 Nation ポッドキャストの中でアリソンは「今年のマックスが手強い相手である事は微塵も疑いのないことだ」と語り、序盤の数戦での最大のライバルがフェルスタッペンである事は間違いないと主張した。
「シーズン前テストではフェラーリの好調さも幾らか垣間見ることができたが、我々としてはオーストリアではマックスが再び強さを示すだろうと想像している。なぜなら、彼らは何度かコースレコードを記録しているし、レッドブルはかの地で常に話題の中心にいるからね」
ミルトン・キーンズのチームとは対照的に、近年のオーストリアでのシルバーアローは冴えない。メルセデスは2014年から2017年までオーストリアGPを席巻したものの、過去2戦はレッドブルに対して全く歯が立たなかった。
ルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスはともに2018年のレースでリタイアを喫し、2019年のグランプリでは冷却の問題に見舞われた事で二人共がレース中にエンジンの温度管理を余儀なくされた。空力効率を追求しすぎた結果、メルセデス「W10」は冷却性能に課題を抱えていた。
しかしながら過去の失敗にもかかわらず、メルセデスF1の技術部門を率いるアリソンは最新型の「W11」が先代と同じような問題に苦しむことはないと確信しているようだ。
「昨年のオーストリアでの我々のキャンペーンは、冷却面での自分たちのミスが原因で自滅する事となった。本来の我々のマシンのペースを発揮できなかったのだ。そしてその前年は、信頼性の低さとセーフティカーに翻弄された」
「だから、今年のオーストリアは楽しみにしているんだ。過去2シーズンのようなパフォーマンスではなく、今回は自分たちの力を幾らか発揮できると思ってる」