ピットウォールで談笑するローラン・メキーズ(レッドブル・レーシング代表)、2025年9月6日(土) F1イタリアGP予選(モンツァ・サーキット)

上昇傾向の角田裕毅、背景に「メキーズ改革あり」とマルコ絶賛 ― ”レッドブルの新しい仕事術”に手応え

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2025年F1第16戦イタリアGP予選での結果を受け、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、角田裕毅やチーム全体の「上昇傾向」の裏に、ローラン・メキーズ代表の改革手腕があるとの見解を示した。

メキーズは7月の就任以来、チームメンバーとの対話を通じて現状と課題を把握。徐々に幾つかのアイデアを実行に移し始めている。その中には、角田への早期アップグレード投入や金曜フリー走行におけるエンジンモード運用の見直しなどが含まれる。

こうした取り組みの成果はイタリアGP予選でも現れた。マックス・フェルスタッペンは4戦ぶりのポールポジションを獲得し、角田も3戦ぶりにQ3へ進出した。マルコは「好結果の背景にはメキーズの影響がある」と明言し、新体制の成果を強調した。

”金曜フリー走行哲学”の刷新

コースからピットへ戻るマックス・フェルスタッペンの1号車レッドブル・レーシングRB21、2025年9月6日(土) F1イタリアGP予選(モンツァ・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

コースからピットへ戻るマックス・フェルスタッペンの1号車レッドブル・レーシングRB21、2025年9月6日(土) F1イタリアGP予選(モンツァ・サーキット)

マルコは独衛星放送『Sky Sports』に対し、「主にフリー走行での哲学、全体的なアプローチ」を変更したと明かし、「色々試しながらプラクティスの段階ですでに限界に近づけているため、パフォーマンスの最大値をより早く見つけられるようになり、これまでと比べてセットアップの方向性で大きく外すことがなくなった」と説明した。

こうした効果はフェルスタッペン自身も実感している。

「初日の段階で普段よりバランスに満足できていたし、今ではどうセットアップすべきかという理解も深まってきている。おかげで週末を通じて大きな変更をせず、小さな調整で済むようになった。それが予選で大きな助けになったのは確かだ」と語った。

レッドブルはこれまで、フリー走行ではエンジン出力を下げて走行していたが、これは予選・決勝とは異なる条件であるため、得られるデータや学習が限定的になるという欠点があった。

マルコは「我々にとって最高の金曜だった。正直、あんなに良い金曜を過ごしたのはいつ以来か思い出せないくらいだ」と付け加えた。

ガレージでレース責任者ジャンピエロ・ランビアーゼや顧問ヘルムート・マルコと話すマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年9月5日(金) F1イタリアGPフリー走行(モンツァ・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ガレージでレース責任者ジャンピエロ・ランビアーゼや顧問ヘルムート・マルコと話すマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年9月5日(金) F1イタリアGPフリー走行(モンツァ・サーキット)

角田裕毅にも波及する改善

さらにマルコは、こうした変化がメキーズによって直接もたらされたと明かし、「非常に大きな影響だ。技術面でのコミュニケーションが大幅に改善され、それがチーム全体に良い影響を与えている」と強調。その一例として角田を挙げた。

「その成果は、例えばユーキが10番手を記録したことからも分かる。正直、最後に彼がQ3に進出したのがいつだったかも思い出せない。明らかに上昇傾向が感じられる」とマルコは語り、メキーズが持ち込んだ“レッドブルの新しい仕事術”を高く評価した。

モンツァでは再びマシンスペックに格差が生じたが、メキーズは角田のマシンにも積極的にアップグレードを投入する方針で、可能な限りフェルスタッペン仕様に近づけようとしている。

ガレージで走行準備をする角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年9月6日(土) F1イタリアGP予選(モンツァ・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ガレージで走行準備をする角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年9月6日(土) F1イタリアGP予選(モンツァ・サーキット)

ローラン・メキーズ(レッドブル・レーシング代表)、2025年7月25日(金) F1ベルギーGPフリー走行(スパ・フランコルシャン)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ローラン・メキーズ(レッドブル・レーシング代表)、2025年7月25日(金) F1ベルギーGPフリー走行(スパ・フランコルシャン)

「統計は当てはまらない」とマルコ楽観視

予選では完璧なラップをまとめたフェルスタッペンだが、ロングストレートとブレーキングゾーンが多いモンツァで後続を抑え切るのは容易ではない。ましてや背後には、タイヤマネジメントを強みとするマクラーレン勢が控えている。

それでもマルコは、フェルスタッペンがマクラーレンと優勝を争えると見ている。2019年以来、モンツァでポールシッターが勝利していないという事実があるにもかかわらずだ。

「マックスが前を走れば、ラップタイムもタイヤマネジメントも自分でコントロールできる。金曜のロングランは素晴らしかった。だから、この統計は当てはまらないと私は楽観的に考えている」とマルコは自信を示した。


2025年F1イタリアGP予選では、マックス・フェルスタッペンがマクラーレン勢を僅差で退けポールポジションを獲得する結果となった。

決勝レースは日本時間9月7日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周5793mのモンツァ・サーキットを53周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNフジテレビNEXTで生配信・生中継される。

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