
戦略への不満? 角田裕毅「僕の希望とは逆に…」F1イタリアGPで3戦ぶり予選Q3進出も、納得の最終ラップを走れず
角田裕毅(レッドブル・レーシング)は2025年F1第16戦イタリアGP予選で、ベルギーGP以来3戦ぶりのQ3進出を果たして10番手をマークしたが、自身の希望に反してスリップストリーム(トウ)が得られない集団の先頭で最終ラップを走れなければならなかったと不満を口にした。
セッション後、取りこぼしがあったのか?との質問に対して角田は、「特にはありません」としつつも、「僕自身の走りという部分では」と含みをもたせ、次のように語った。
「この手のサーキットでは、(タイムを削るためには)スリップストリームが必要ですが、僕が望んでいたのとは逆に、集団の先頭を走らなければなりませんでした」
一方で、「それでも最終的にはパフォーマンスに満足していますし、Q3はここ暫く望んでいたことなので、…その点については満足しています」とも語った。
コースインのタイミングが意図的だったのかは不明だが、角田が「僕が望んでいたのとは逆に」と語った点を踏まえると、チームの戦略的判断であった可能性も浮かぶ。モンツァにおけるトウの効果は0.3秒近くに達するとされ、角田が先頭でラップを走らざるを得なかった理由は依然として不透明だ。
角田はQ2までマックス・フェルスタッペンとの差を0.3秒以内に抑え、Q1では0.164秒差に迫った。だがQ3最終ラップでは、中古タイヤでの直前のタイムを0.209秒更新するにとどまり、フェルスタッペンとの差は今週末最大の0.727秒に広がった。パルクフェルメではステアリングを激しく叩く仕草を見せ、苛立ちを隠せない様子が見受けられた。
ローダウンフォースのモンツァは伝統的にレッドブルが苦手としてきたサーキットだが、角田のQ3進出に加えてフェルスタッペンも4戦ぶりのポールを獲得するなど、チームは予想外の速さを披露した。
角田は「データ上は良さそうに見えましたし、直近2戦の高ダウンフォースサーキットと比べて少し良い形でFP1をスタートできたと思います」と振り返り、「ただ、それでも決して簡単ではなく、バランスはかなり乱れていて、一貫性に欠けていました」とも語った。
それでもチームは週末を通じて改善を重ね、最終的にはポール争いに加わるだけのクルマに仕上げてみせた。そうしたプロセスを間近で体験した角田は、そこにレッドブルの成功の源泉を見いだした。
「このチームが選手権で多くの成功を収めてきた理由は、エンジニア同士の協力体制にあると強く感じました」と角田は語る。
「セッションごとにマシンを改善していく姿は驚くべきものでしたし、自分もそれに合わせて適応できました。その意味で、それを最大限に活かせたことについては満足しています」
難しい週末を一歩一歩進め、手応えを得ていたからこそ、不本意な形でのコースインを強いられ、その結果として10番手にとどまったことに納得し切れなかったのだろう。「Q3がああいう形で終わってしまったのは、少し残念です」と角田は締めくくった。
2025年F1イタリアGP予選では、マックス・フェルスタッペンがマクラーレン勢を僅差で退けポールポジションを獲得する結果となった。
決勝レースは日本時間9月7日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周5793mのモンツァ・サーキットを53周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。