モンツァ・サーキットのピットレーンを走行するマクラーレンMCL39、、2025年9月6日(土) F1イタリアGPフリー走行

F1イタリアGP 決勝直前情報:降格続出? タイヤ戦略考と天気、ペナ適用後のグリッド

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日本時間9月7日(日)22時にスタートを迎える2025年F1第16戦イタリアGP。ここでは、スターティング・グリッド、予選結果からの変動、そして予想されるタイヤ戦略や気象条件についてまとめる。

スターティンググリッド:降格続出?

前戦オランダGPでの二重黄旗無視により、予選5番手のルイス・ハミルトン(フェラーリ)が10番グリッドに降格した。これにより角田裕毅(レッドブル・レーシング)は9番グリッドに繰り上がった。

現時点で降格が決定しているのはハミルトンのみだが、決勝を前にさらに2台がペナルティを受ける可能性がある。

予選16番手のアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)は、戦略的判断から決勝前に5基目のICE(内燃エンジン)を含む新たなパワーユニットを投入する可能性があり、その場合はピットレーンスタートとなる。

砂利が飛び散ったモンツァ・サーキットを周回するピエール・ガスリー(アルピーヌ)、2025年9月6日(土) F1イタリアGP(モンツァ・サーキット)Courtesy Of Alpine Racing

砂利が飛び散ったモンツァ・サーキットを周回するピエール・ガスリー(アルピーヌ)、2025年9月6日(土) F1イタリアGP(モンツァ・サーキット)

さらに、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)もパルクフェルメ規定違反によりピットレーンからのスタートとなる可能性がある。FIA技術代表のジョー・バウアーは、予選終了後2時間以内にアルピーヌが10号車A525をカバーで覆わなかったと報告している。これはF1競技規則第40条6項に抵触する。

非力なルノー製パワーユニットを搭載するアルピーヌは、パワー依存度の高いモンツァで苦戦を強いられ、ガスリーは19番手に沈んだ。18番手の新人フランコ・コラピントにも及ばなかった。

予選後の撮影に臨むポールポジションのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、2番手ランド・ノリス(マクラーレン)、3番手マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年8月30日(土) F1オランダGP(ザントフォールト・サーキット)2232873696Courtesy Of McLaren

予選後の撮影に臨むポールポジションのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、2番手ランド・ノリス(マクラーレン)、3番手マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年8月30日(土) F1オランダGP(ザントフォールト・サーキット)2232873696

以下は暫定スターティンググリッド。正式版との差異が発生した場合は更新される。各ドライバーの予選結果からの変動も併せて記載する。

Pos No Driver Team Qualifying
1 1 M.フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 1(-)
2 4 L.ノリス マクラーレン・メルセデス 2(-)
3 81 O.ピアストリ マクラーレン・メルセデス 3(-)
4 16 C.ルクレール フェラーリ 4(-)
5 63 G.ラッセル メルセデス 6(+1)
6 12 A.K.アントネッリ メルセデス 7(+1)
7 5 G.ボルトレート ザウバー・フェラーリ 8(+1)
8 14 F.アロンソ アストンマーチン・メルセデス 9(+1)
9 22 角田裕毅 レッドブル・ホンダRBPT 10(+1)
10 44 L.ハミルトン フェラーリ 5(-5)
11 87 O.ベアマン ハース・フェラーリ 11(-)
12 27 N.ヒュルケンベルグ ザウバー・フェラーリ 12(-)
13 55 C.サインツ ウィリアムズ・メルセデス 13(-)
14 23 A.アルボン ウィリアムズ・メルセデス 14(-)
15 31 E.オコン ハース・フェラーリ 15(-)
16 6 I.ハジャー レーシングブルズ・ホンダRBPT 16(-)
17 18 L.ストロール アストンマーチン・メルセデス 17(-)
18 43 F.コラピント アルピーヌ・ルノー 18(-)
19 10 P.ガスリー アルピーヌ・ルノー 19(-)
20 30 L.ローソン レーシングブルズ・ホンダRBPT 20(-)

レースの模様はDAZNフジテレビNEXTで完全生配信・生中継される。

タイヤ戦略:1ストップが最有力

2024年大会ではシャルル・ルクレール(フェラーリ)が1ストップ戦略で勝利を収めた。マクラーレン勢は2ストップで追撃したが、最終的にルクレールが2.664秒差で逃げ切った。

一方で、昨年課題となったグレイニングは今年ほとんど見られない。再舗装された路面が1年間で落ち着いたうえ、ピレリは2025年型タイヤをより堅牢に設計し、グレイニング耐性を高めている。

そのため、ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは「ミディアム→ハード」の1ストップ戦略が最有力と見ている。両コンパウンドはパフォーマンスと耐久性のバランスに優れ、デグラデーションの差もほとんど確認されていない。

最適なピットインは22〜28周目とされるが、デグラが低いため新品タイヤの優位性が小さく、早めのピットインは不利となる可能性がある。ここではアンダーカットが機能しにくいのだ。

レッドブル・レーシングのトロリーに積まれたピレリのソフトタイヤ、2025年9月4日(木) F1イタリアGP(モンツァ・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブル・レーシングのトロリーに積まれたピレリのソフトタイヤ、2025年9月4日(木) F1イタリアGP(モンツァ・サーキット)

主流はミディアムとハードの組み合わせになる見込みだが、デグラの低さから「ミディアム→ソフト」という戦略も成立する可能性がある。イゾラは「オープニングスティントを少なくとも32周まで伸ばせるドライバー、あるいはレース終盤にセーフティカーが入った場合」に有効と指摘した。

一方、グリッド後方勢の”逆張り戦略”としては「ハード→ミディアム」が有力とされる。ただしスタート直後の第1シケインまでの距離が長く、ソフトやミディアム勢に対して不利であるうえ、序盤に赤旗やセーフティーカーが出た場合に身動きが取れなくなるリスクもある。

特にモンツァのシケインはオープニングラップで接触が頻発するため、その危険性は無視できないが、過去2大会はセーフティーカーもバーチャル・セーフティーカーも導入されていない。

気になる天気:ドライ濃厚

ここ数戦は不安定な天候に気を病むこととなったが、日曜のモンツァは1日を通して晴天の予報となっており、決勝中の降水確率は0%。ドライレースが濃厚な状況だ。

スタート時刻の現地時間15時には気温26℃が見込まれ、路面温度は40℃を超える見通し。これまでの2日間と大きく変わらないコンディションでの戦いとなりそうだ。

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