ジル・ビルヌーブ・サーキットのチャンピオンズウォールに接触し、砂煙を上げながらスピンするハースのケビン・マグヌッセンcopyright Haas F1 Team

空前のブランク…混沌に満ちた初戦を予想するレッドブル・ホンダ代表とリカルド

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仮に2020年シーズンのF1が7月頭のオーストリアGPで無事に開幕したとしても、4ヶ月というブランクがドライバー達に及ぼす影響は決して小さくはない…レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表とルノーのダニエル・リカルドは、初戦が混沌に満ちたレースになると予想する。

F1首脳陣と国際自動車連盟(FIA)は、7月5日のレッドブル・リンクでシーズン再開を目指しており、現地政府も無観客でのイベント開催を容認している事から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第二波到来などの特別な事情がない限りは、予定通りにレースが行われる見通しとなっている。

4ヶ月間の空白が腕を錆びさせる

ドライバー達が最後にマシンを駆ったのは、開幕の地メルボルンに発つ前のバルセロナでの2月末のプレシーズンテストだ。母国レースの土壇場でのキャンセルを受けてリカルドは、地元パースの家族所有の農場に籠もってトレーニングに明け暮れているが、他の全てのドライバー達と同様にテスト以降、一度もステアリングを握っていない。

レッドブルのメディアセッションには人集り。バルセロナテスト初日
© Getty Images / Red Bull Content Pool、2020年のバルセロナテスト初日。レッドブルのメディアセッションには多くの関心が注がれた

例年であれば11月末にアブダビでシーズンが閉幕し、2月中旬にバルセロナテストが行われ、その数週間後にオーストラリアでシーズンが開幕するため、実車から離れる期間は最大でも2ヶ月半程度だが、今年はそれが少なくとも4ヶ月に渡る。

マックス・フェルスタッペンはポルシェ・eスポーツ・スーパーカップや豪州スーパーカー・チャンピオンシップに、アレックス・アルボンは公式バーチャルGPや芝刈りレースに汗を流しており、レッドブル・ホンダのドライバー達は各々仮想空間上でレース活動を続けているが、バーチャルマシンと実車は別物だ。

ホーナー代表は英紙ガーディアンのインタビューに応じて「全てのドライバーに言える事だろうが、これほど長い期間に渡ってシートに座らなかったのはおそらく今回が初めてだろう。これはある意味では健全な事かもしれないが、もし7月にF1が再開した場合、全員の腕が錆びついている事だろう。幾つかアクシデントが起きても不思議はない」と警告した。

ベテランの方が有利?

混乱を危惧するのはチーム代表だけではない。ドライバーからも同様の声が上がっている。

ホーナーのかつての部下であり7度のF1優勝を誇るリカルドは、9日(土)のBBCラジオ5ライブに出演し「ある種の混乱を呈すると思う。巷に溢れているクルマとは違うわけで、興奮や熱意といった感情がミックスされ、腕はかなり鈍る事になるだろう」と予想。経験豊富なベテランドライバーの方が優位に立つ可能性に言及した。

「誰もが準備を整えて来るだろうけど、本能的にパフォーマンスを発揮する人もいれば、そうでない人もいるはずだ。だから大胆なオーバーテイクもあれば、計算外のオーバーテイクもあるはずで、あらゆる事が起こりうる」

エステバン・オコンとダニエル・リカルド、パリ・シャンゼリゼ通りの自社ショールーム「ラトリエ・ルノー」の前にて
© RENAULT SPORT、エステバン・オコンとダニエル・リカルド、パリ・シャンゼリゼ通りのルノーのショールーム「ラトリエ・ルノー」の前にて

リカルド曰く、キャリア初期の頃はプレシーズンテストの最初数回のセッションで「ショックを受けていた」というが、キャリアを積み重ねるに従ってその”ショック”は影を潜めていったのだという。

フォーマットの短縮が混乱に拍車をかける事になるかもしれない。同一開催地でのダブルヘッダーを可能な限り確保するため、F1のキーマン達は1イベントを通常の3日間から2日間へと短縮する事を検討しており、初日プラクティスがごっそり削られる可能性があるのだ。

依然として2020年シーズンのF1は、開幕することなく終わりを迎える可能性があるものの、無事にグランプリが行われた際は、ブランクという視点を以て観戦すると面白いかもしれない。

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