フェルスタッペン「苦労を重ねてきたホンダのために優勝できて最高に嬉しい」F1オーストリアGP《決勝》
レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、チームの母国レースとなるレッドブル・リンクのF1オーストリアGPで、2年連続、通算6度目の優勝を飾った。表彰台に上がったフェルスタッペンは、レーシングスーツにプリントされたホンダのロゴを指差し、満面の笑みで観客の声援に応えた。
© Getty Images / Red Bull Content Pool、ホンダのロゴを指差すフェルスタッペン
予選を終えて最前列2番グリッドを手にしたフェルスタッペンだが、スタートの際にエンジンがアンチストールしてしまい、ターン1までに一気に5つもポジションダウン。一転して厳しい船出を強いられた。だが、ネバーギブアップを決め込み猛追を開始。マクラーレン、アルファロメオと、次々に見事なオーバーテイクを決めて、徐々にポジションを上げていった。
ミディアムタイヤでの第一スティントでは、ラップをリードするシャルル・ルクレールとほぼ同ペース。14秒台のギャップは一向に縮まる気配を見せなかったが、31周目にピットへと向かいハードタイヤに履き替えると、突如強力なレースペースを示し始めた。
ピット作業を終えて4番手に復帰した時点でのルクレールとのタイム差は12.914秒。フェルスタッペンは、ルクレールよりも1周あたりコンマ4秒速いペースを刻み続け、66周目にDRSが使用可能な1秒以内へと接近。残り3周でトップの座を奪い取り、歴史的な逆転劇を演じた。
ルクレールとの攻防の際の動きはインシデントとして記録され、レース終了後に審議が行われるも、スチュワードは一件を不問とする裁定を下した。フェラーリには異議申し立ての権利が与えられるが、マラネロはこれを行使しない意向を表明。フェルスタッペンの優勝が確定した。
レースを振り返ったフェルスタッペンは「ホンダは過去数年間に渡って厳しい時期を過ごしてきただけに、今日彼らのために勝利出来て本当に最高だ!」と語った。マクラーレンとの提携時代、信頼性とパフォーマンス不足に苦しみ続け、内外から耳を疑うようなバッシングを浴び続けてきたホンダは、新たなパートナー、新たな同士と巡り合い、2015年のF1復帰後初優勝を手にした。
「今日のマックスのパフォーマンスは信じ難いものだ」とチーム代表のクリスチャン・ホーナー。卓越したその才能を褒め称えると共に、ホンダに復帰後初優勝をプレゼント出来た事、そして母国での2連勝達成に、最大級の賛辞を持ってその喜びを表現した。
「オーストリアでの勝利によって、ホンダにV6ハイブリッド時代初めてとなる勝利をもたらす事が出来た。本当に途方もない偉業だ。ホームレースで優勝することは、レッドブル・ファミリー全員にとって非常に大きな意味を持つ。ミスター・マテシッツ(レッドブル総帥)はこれまでに、レッドブルとトロロッソの両チームに多くを費やしてきた。2年連続での勝利は、計り知れない偉業だ」
フェルスタッペンはレース中のファステストラップをマークして、1点のボーナスポイントを獲得。優勝ポイントと合わせて計26点の選手権ポイントを加算し、ドライバーズランキングでセバスチャン・ベッテルを抜き去り3位に浮上した。
苦労を重ねてきたホンダのために優勝できて最高に嬉しい
マックス・フェルスタッペン決勝: 1位, グリッド: 2番手
信じられないようなレースだった。チームの母国グランプリで2勝目を飾れて本当に嬉しい。スタート時にエンジンがアンチストールしてしまい、1周目に7番手まで後退したのは残念だったけど、その後のペースは本当に良くて、落ち着いてハードにプッシュし続ける事が出来た。
タイヤを交換して挑んだ2回目のスティントでは、クルマが生き返ったかのように勢いが増した。これが決定的だった。バルテリ(ボッタス)を追い抜いた時点でのペースはかなり速かったから、優勝を狙いにいけるかもって思いが出てきた。もちろん、最終的にどうなるかは誰にも分からないものだけどね。
決して諦めずに、その後も全力で走り続けた。その結果として、残り数周でシャルルをオーバーテイク出来たから最高に嬉しい。あの時のドライビングが問題視されたけど、あれは接戦だったからこその動きだ。ああいったドライビングが許されないなら、家でテレビ観戦してた方がマシさ。
アストンマーチン・レッドブル・レーシングの皆に感謝したい。アップグレードも上手く機能してるみたいで、今週末はずっと調子が良かった。ここにいるチームの皆、ファクトリーの人々、そして当然ホンダの皆に感謝してる。ホンダは過去数年間に渡って厳しい時期を過ごしてきただけに、今日彼らのために勝利出来て本当に最高だよ!