アウディF1チーム

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チームデータ

チーム名 アウディF1チーム
国籍 ドイツ
本拠地 ヒンウィル
参戦初年度 2026年
WEBサイト www.audif1team.com
SNS instagram

アウディF1チーム(Audi F1 Team)は、ドイツの高級自動車メーカーであるアウディがザウバーを買収して誕生した、新たなF1レーシングコンストラクター。2026年からファクトリーチームとして、以下の3拠点を本拠とし、FIA-F1世界選手権に初参戦する。

  • スイス・ヒンウィル:シャシー開発とチーム運営(アウディ・モータースポーツAG)
  • ドイツ・ノイブルク:パワーユニット開発(アウディ・フォーミュラ・レーシングGmbH)
  • イギリス・ビスター:人材採用や戦略的パートナーとの窓口(アウディ・モータースポーツ・テクノロジー・センターUK)

この3拠点体制を統括するのが、アウディF1プロジェクト全体の総責任者マッティア・ビノットだ。そして実際のレース現場では、ジョナサン・ウィートリーがチーム代表として統括を担う。

チームの成立と歴史

2026年F1参戦マシンのカラーリングとデザインの方向性を示す「アウディR26コンセプト」のスタジオショット、2025年11月12日(水) (12)Courtesy Of Audi

2026年F1参戦マシンのカラーリングとデザインの方向性を示す「アウディR26コンセプト」のスタジオショット、2025年11月12日(水)

アウディは、長年にわたりF1に関与してこなかった主要自動車メーカーの一つだ。2026年の初参戦に至るまで、1950年の世界選手権発足以来、コンストラクターとしてもエンジンサプライヤーとしても公式参戦の実績を持たなかった。

もっとも、フォルクスワーゲン・グループの一員として、2000年代以降はグループ戦略の観点からF1参戦を繰り返し検討してきた。だが、2014年導入のV6ハイブリッド規則は、コスト構造や技術自由度の面で自社戦略と合致せず、参戦は見送られた。

状況を一変させたのが、2026年から導入される次世代パワーユニット規則だ。電動出力比率の約50%への引き上げ、MGU-Hの廃止、持続可能燃料の全面採用といった内容は、電動化を軸とするアウディの市販車開発方針と一致した。

これを受け、アウディは2022年8月、F1パワーユニットメーカーとして2026年より参戦を開始すると正式発表した。

ファクトリーチームへ

アウディCEOのマルクス・ドゥスマン、2023年4月18日上海オートショーにてCourtesy Of AUDI AG

アウディCEOのマルクス・ドゥスマン、2023年4月18日上海オートショーにて

当初は単なるPUサプライヤーに留まる可能性も示唆されていたが、実際にはフルワークスとしての参戦に至る。2022年10月、アウディはザウバーとの提携交渉を開始。2024年3月8日には、ザウバーの全株式を取得し、完全子会社化することを発表した。スイス・ヒンウィルを拠点とするシャシー開発と、自社製パワーユニットを統合したワークス体制を構築し、2026年に完全なファクトリーチームとしてF1に参戦する道を選択した形だ。

2024年11月29日には、カタールの国営ファンドであるカタール投資庁(QIA)に約30%とも見られる「大口の少数株式」を売却。資金面での基盤も強化した。だが、アウディF1プロジェクトの道のりは順風満帆ではなかった。

権力闘争とマネジメント刷新

ローンチカラーを施したアウディのF1ショーカーと国際自動車連盟(FIA)のモハメド・ベン・スレイエム会長、アウディAG取締役会長マルクス・ドゥスマン、アウディAG技術開発担当取締役オリバー・ホフマン、F1社長兼CEOのステファノ・ドメニカリ、2022年8月26日FベルギーGPスパ・フランコルシャンにてCourtesy Of Audi

ローンチカラーを施したアウディのF1ショーカーと国際自動車連盟(FIA)のモハメド・ベン・スレイエム会長、アウディAG取締役会長マルクス・ドゥスマン、アウディAG技術開発担当取締役オリバー・ホフマン、F1社長兼CEOのステファノ・ドメニカリ、2022年8月26日FベルギーGPスパ・フランコルシャンにて

2024年夏、プロジェクト内部で深刻な問題が表面化する。 ドイツ国内の報道によると、「権力闘争」があったという。

アウディによる買収を経て取締役会会長としてザウバーグループに送り込まれたオリバー・ホフマンは、あくまでもプロジェクト全体の監督が役割だったが、腹心のユリウス・ゼーバッハ(アウディ・スポーツGmbHマネージング・ディレクター)とともに、当時のチームCEOアンドレアス・ザイドルの役割である実際の運営業務に介入したとされる。 この結果、人事やインフラ整備に関する重要な決定が遅れるなど影響が発生し、本国が問題の解決に乗り出したとされる。

アウディは2024年夏、ホフマンとザイドルをF1プロジェクトから解任。、V6ハイブリッドF1エンジンのスペシャリストであり、元フェラーリ代表のビノットをサウバーの最高執行責任者(COO)兼最高技術責任者(CTO)に任命した。これに続き、2024年8月にはウィートリーがチーム代表としてレッドブル・レーシングから移籍することが発表され、2025年4月1日付で就任した。

また、2025年のプレシーズンには、優秀な技術者を確保するために、F1業界最大のエンジニアリング人材プールを持つ英国ビスターの「モータースポーツ・バレー」に「ザウバー・モータースポーツ・テクノロジーセンターUK」を設立する計画が発表された。

主な戦績・実績

参戦開始は2026年であり、現時点ではアウディF1チームとしての実績はない。一方、母体となったザウバーは、2025年シーズンにコンストラクターズランキング9位と低迷した。

組織体制・運営構造

左から:ゲルノート・デルナー(アウディAG CEO、ザウバー・モータースポーツAG取締役会会長)、ユルゲン・リッテルスベルガー(アウディAG取締役 財務・法務・IT担当、ザウバー・モータースポーツAG取締役、アウディ・フォーミュラ・レーシングGmbH株主総会議長)、マッティア・ビノット(ザウバー・モータースポーツAG COO兼CTO)Courtesy Of AUDI AG

左から:ゲルノート・デルナー(アウディAG CEO、ザウバー・モータースポーツAG取締役会会長)、ユルゲン・リッテルスベルガー(アウディAG取締役 財務・法務・IT担当、ザウバー・モータースポーツAG取締役、アウディ・フォーミュラ・レーシングGmbH株主総会議長)、マッティア・ビノット(ザウバー・モータースポーツAG COO兼CTO)

ビノットはアウディF1プロジェクトの総責任者として、スイス・ドイツ・イギリス3拠点の活動を統括する。ウィートリーは実際のチーム運営全般の責任者を務める。技術部門では、ジェームズ・キーがザウバーのテクニカルディレクターとして2023年9月1日に就任。技術部門を率いている。

F1バーレーンGP FIA公式記者会見に出席するジョナサン・ウィートリー(ザウバー・アウディ代表)、2025年4月12日 (2)Courtesy Of Sauber Motorsport AG

F1バーレーンGP FIA公式記者会見に出席するジョナサン・ウィートリー(ザウバー・アウディ代表)、2025年4月12日 (2)

エネルギー回生システムやICE(内燃エンジン)を含むパワーユニット一式、ギアボックスは独ノイブルグのコンペテンス・センター・モータースポーツ(CCM)で開発・製造される。CCMは2014年夏のオープンと新しく、ファクトリーレーシングの運営はもちろん、カスタマーレーシングを含めた全てを統括する。F1参戦に先立ち拡張された「F7.2」と呼ばれる新設の建物は総面積3,000平方メートルを誇り、パワーユニットとエンジンのテストベンチに加えて技術室、機械作業場、作業場を備える。

アウディのF1プロジェクトの本拠モータースポーツ・コンペテンス・センターの「F7.2」Courtesy Of Audi

アウディのF1プロジェクトの本拠モータースポーツ・コンペテンス・センターの「F7.2」

シミュレータードライバーには、2023年6月にニール・ジャニとの契約が発表された。2024年7月には、シュテファン・シュトレーンツをプログラム・ディレクターに、ステファノ・バティストンを最高商業責任者(CCO)に任命した。さらに2024年10月には、ビート・ツェンダーの後任として、元フェラーリのスポーティング・ディレクターであるイグナシオ・ルエダが加入することが発表された。