カタロニア・サーキットのグリッド上を並んだ歩くF1ドライバー達
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2020年F1予想:満場一致でレッドブル・ホンダを推すジャーナリスト…メルセデスの7連覇を阻止するのは?

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2020年シーズンの開幕オーストラリアGPまで後1週間。搭載燃料やエンジンモードが異なる事もありプレシーズンテストでのタイムシートは参考に過ぎず、チーム間の勢力図を知るためには少なくともメルボルンでの公式予選を待たねばならないが、人は知に貪欲でせっかちな生き物だ。

メルセデスとルイス・ハミルトンの連覇を止める可能性が最も高いのはどのチームなのだろうか? 今シーズン最大の問いはこれだろう。2014年から始まった現行レギュレーション。メルセデスは今年、ダブルタイトル7連覇を果たしてV6ハイブリッド時代の覇者として歴史に名を刻むのだろうか? それとも…。

F1公式サイトはこの程、同サイトに寄稿している6名の本場欧州のジャーナリスト達に対して「今季注目すべきドライバーは?」「今年最も多くの見出しを飾る者は?」といった内容で、今シーズンの大胆予想を求めた。

知る由もない将来の予測を請うわけで、どの問いに関しても様々な意見と予想が飛び交う結果となったのだが、その中で唯一、ほぼ満場一致で意見がまとまったものがあった。それは「メルセデスを止める可能性が最も高いのは誰?」という投げかけで、F1のエキスパート達が出した答えはレッドブル・ホンダとマックス・フェルスタッペンであった。

左からレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアス、マックス・フェルスタッペン、クリスチャン・ホーナー、2020年F1バルセロナテストにて
© Getty Images / Red Bull Content Pool、左からレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアス、マックス・フェルスタッペン、クリスチャン・ホーナー、2020年F1バルセロナテストにて

英国インデペンデント紙のデイビット・トレメインは「マックス・フェルスタッペンとレッドブル・ホンダだ。バルセロナテストでのRB16のパフォーマンスは、若干神経質な部分はあったものの速そうに見えたし、エキサイティングであり威嚇的だった。ルイスを危機的状況に陥れられるだけの十分な速さがシーズン序盤からマックスにあれば、素晴らしい選手権争いが見られるはずだ」と予想した。

また、RACER誌のクリス・メドランドは「マックス・フェルスタッペンだ。シーズンを通して誰が最大の脅威になり得るのかという点において、レッドブルとフェラーリのどちらを選ぶかは難しいが、ドライバーラインナップという点でマックスの方がシャルル・ルクレールやセバスチャン・ベッテルよりも安定した環境にいる可能性が高いと言える」と述べ、アレックス・アルボンの援護射撃が確実に得られるフェルスタッペンが最有力候補だと主張した。

F1でライターをしているグレッグ・スチュアートに至っては、迷いなくフェルスタッペンを挙げた。ホンダ勢が1-2フィニッシュを果たした2019年のインテルラゴスでの戦いを引き合いに出し、グレッグ・スチュアートは次のように述べた。

「レッドブルのマックス・フェルスタッペンだと言わざるを得ない。これは間違いないことだ。もしも昨年のブラジルGPでのパフォーマンスレベルが、年に数回の特別なものではなく、シーズンを通して定期的に発揮できるようであれば、フェルスタッペンはメルセデスにとって非常に迷惑な存在になるだろう」

スクーデリア・フェラーリのセバスチャン・ベッテル、2020年F1バルセロナテストにて
© Ferrari S.p.A.、スクーデリア・フェラーリSF1000を駆るセバスチャン・ベッテル、2020年F1バルセロナテストにて

強力なパワーユニットを武器に、昨年のフィールドをかき乱したスクーデリア・フェラーリという線はないのだろうか?

Motor Sport Magazineの編集者を務めるマーク・ヒューズは「フェラーリよりもレッドブル・ホンダの方が良いだろうという気配を感じている。ポテンシャルはかなり高そうに見えるし、実戦での彼らは凄くシャープだからね」と語り、ミルトン・キーンズのチームに一票を投じた。

F1の上級編集者を務めるローレンス・バレットもフェラーリをリストから外した一人だが、彼の予想の根拠は具体的だ。BBCと英Autosportを経て一昨年よりF1に加わった英国出身の専門家は次のように予想する。

「誰が彼らを止めるのか確信は持てないけど、私はフェラーリがシーズン早々に開発の舵を2021年に切り替えるのではと疑っており、ベストな場所にいるのはレッドブルだと考えている。マックス・フェルスタッペンは勝利を重ねるだろうし、私としては密かにアレックス・アルボンも優勝するのではと思っている」

ただしローレンス・バレットは「とは言え、ホンダがさらに進歩したとしても、シルバー・アローを止めるには十分ではないだろう」とも述べ、レッドブル・ホンダが最大の候補者ではあるものの、実際にメルセデスを止める事は難しいだろうとの考えを示した。

F1のデジタルプレゼンテーターでお馴染みのウィル・バクストンは「ウィンターテスト中にパワーユニットに問題が発生した事や、ジェームス・アリソン(メルセデスのテクニカル・ディレクター)がF1 TVのTech Talk番組の中で、オーストラリアGPに先立って信頼性への懸念を口にしている事を踏まえると、メルセデスの勝利を阻止する可能性が最も高いのはメルセデス自身かもしれない。もしも信頼性に問題がなければ、レッドブルがガチンコ勝負のための最適のポジションを陣取っているように思う」と述べ、レッドブル・ホンダが栄冠を勝ち取れるかどうかは、メルセデスの信頼性に大きく依存するはずだとの見解を示した。

このように、競争力が不安視されているフェラーリをコンテンダーに挙げるものは一人もおらず、全員がレッドブル・ホンダを推す結果となった。

なお中団グループ争いに関しては、マクラーレンの活躍を予想する者が多く、これにレーシングポイントが続いた。バルセロナテストでの強力なロングランペースが印象的だったルノーやアルファタウリ・ホンダを除外すべきではないという意見もあった。

注目すべきドライバーとしてはジョージ・ラッセルやセルジオ・ペレス、ロマン・グロージャンやアレックス・アルボンの名が上がった他、ダニール・クビアトを再評価すべきだとの声もあった。

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