レッドブル・ホンダは直線スピードで負けていない、とマックス・フェルスタッペン
ホンダ製F1パワーユニットを搭載するレッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンは、F1イギリスGP予選を終えて、シルバーストン・サーキットでのRB15は直線スピードでライバルに引けを取っていないとの考えを示した。
フェルスタッペンは土曜の公式予選で、ホンダV6パワーユニットのターボラグの問題のために、思うようにパワーが得られなかったにも関わらず、最速を刻んだメルセデスのバルテリ・ボッタスから0.183秒遅れの4番手を獲得。フェルスタッペンはラグによるロスを最大コンマ2秒と見積もっており、この問題がなければ「F1初のポールポジション」の可能性すらあったと考えている。
「今回はコーナリングとストレートスピードとの間で良い妥協点を見出す事が出来た」とフェルスタッペン。「ウイングを見てもらえれば分かると思うけど、今年は去年までとはちょっと違う。ストレートでそんなに離されていないし、おまけに高速コーナーでのパフォーマンスもかなり良い」
「昨年はウイングを下げても、直線区間でさほど良いパフォーマンスを得る事は出来なかった」
ルノーエンジンを搭載していた2018年のイギリスGP予選、フェルスタッペンはトップから0.71秒遅れの5番手と、フロントランナーに大きく引き離されていた。如何にフラップの角度を調整しようとも、エンジンそのものにパワーがなければトップスピードが伸びるわけもない。
今回の予選でのスピードトラップを見ると、レッドブル・ホンダとメルセデスとの速度差は時速0.5km/hとほぼ拮抗。高速コーナーのターン14=通称チャペルからの脱出速度を見てみると、フェルスタッペンはルイス・ハミルトンの276.2km/hに次いで全体で2番目の速さを記録していた。ホンダの改善とチームのシャシー改良の賜物と言える。
RB15は後方へと流れるダーティーエアの制御に課題を抱え、リアがナーバスになる状況が続いていた。フェルスタッペンは不安定なリアを巧みに押さえつけていたが、ピエール・ガスリーはこれに苦戦。過去9戦における両者の著しいタイム差の背景の一つにはこういった事情があったものとみられる。
これに対処すべく、ミルトンキーンズのエアロダイナミストは、チームの母国オーストリアで新型のフロントウイングを投入。フェルスタッペンの今季初優勝を演出した。今回のイギリスGPで同じ新型ウイングを手にしたガスリーは、今季初めて全プラクティスでチームメイトを凌駕。予選では先行を許したものの、フェルスタッペンとのギャップをコンマ3秒に抑え、フェラーリ勢を分断する活躍を見せた。
アップグレード版スペック3エンジンによって、ホンダが一段と性能を引き上げた事は間違いないが、予選パフォーマンスで言えば未だフェラーリとメルセデスに対して30馬力程遅れを取っているとみられている。独メディアの報道によれば、25馬力相当の性能向上を果たした最新型スペック4が、夏休み前のハンガリーGPで前倒し投入する可能性があるという。
なお、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはこの件を否定。当初の予定通り、イタリアGPないしはベルギーGPでの投入になる見通しだと語っているが、いずれにせよレッドブル・ホンダが上昇気流に乗っている事は確かだ。別の情報筋によればスペック4はメルセデスに匹敵するレベルであり、投入に向けて準備はほぼ整っているという。後半戦への期待が高まる。