
角田裕毅、苦境を経て“極秘テスト”敢行―バルセロナ連日走行で疑念に終止符は打たれたか
予選最下位に終わるなど非常に厳しい週末を強いられたF1スペインGPを経て、角田裕毅(レッドブル)は6月3日と4日の2日間にわたり、カタロニア・サーキットでテストプログラムを消化したようだ。
ピレリは今回、2026年仕様のスリックタイヤに関するさまざまな構造とコンパウンドの比較評価を目的に、2日間のテストを実施。とりわけ、最も硬いレンジのコンパウンドに焦点が当てられた。
テスト初日の3日(火)は、ジョージ・ラッセル(メルセデス)とアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)が参加し、合計282周を走破した。
4日(水)には、角田とアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が、2026年型マシンを想定して改造されたミュールカーをドライブ。角田は合計150周を走り込み、ベストタイムは1分16秒839を記録。アントネッリも同じく150周を消化し、ベストタイムは1分14秒903だった。
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.
ピレリのエンジニアと会話するアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、2025年6月3日 2026年ピレリタイヤ開発テスト(カタロニア・サーキット)
さらに英専門メディア『The Race』によると、角田は6月3日(火)に、レッドブルの2023年型マシン「RB19」を使用した非公開のTPC(旧車テスト)にも取り組んだ。マシンとチームが引き続きバルセロナに滞在していたことから、翌日のタイヤテストを前に、この機会を活用する判断が下されたと見られる。
RB19は現行の「RB21」とは仕様が異なるものの、TPCでは自由にセットアップ作業を行い、マシンの挙動を詳細に検証することができる。RB21に対する疑念と不信感が高まっていた角田にとっては、まさに絶妙なタイミングでの実施といえる。
なお、ピレリの2026年型タイヤ開発テストにおいては、セットアップやソフトウェア、パーツの変更は厳しく制限されており、FIAおよびピレリとの合意なくしては変更が認められていない。
角田は今年4月にも、シルバーストン・サーキットでRB19を使ったTPCに取り組んだが、当日は悪天候に見舞われ、走行は最小限にとどまった。
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カタロニア・サーキットで2023年型レッドブル「RB19」をベースとしたミュールカーをドライブする角田裕毅、2025年6月3日 2026年ピレリタイヤ開発テスト
2日間のテスト終了後、ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは「多くの有益なデータが収集できた。これらのデータは、7月のF1イギリスGP終了後に予定されているシルバーストンでのテストで検証する。今回のテストに協力してくれた3チームと、それぞれのドライバーに心から感謝したい」と述べた。
構造のホモロゲーションは9月1日まで、コンパウンドの確定は12月1日までに行う必要があり、2026年型タイヤの開発は決定的なフェーズを迎えている。
次回テストは、6月19日と20日にフィオラノ・サーキットで実施される予定で、スクーデリア・フェラーリがウェットコンディション向けプロトタイプタイヤの評価を行う。
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2023年型レッドブル「RB19」をベースとしたミュールカーに乗り、コースインを待つ角田裕毅、2025年6月3日 2026年ピレリタイヤ開発テスト