ベン・スレイエムFIA会長が来日、石破首相らと会談へ―その目的とは

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国際自動車連盟(FIA)のモハメド・ベン・スレイエム会長が、今週日本を訪問する。来日の目的は、モビリティ革命や自動車技術の革新、そしてモータースポーツの発展において、日本が担う戦略的役割を強調することにあり、石破茂首相ら複数の政府高官や関係機関との協議を予定している。

FIAは、モータースポーツの国際的な統括団体としてだけでなく、モビリティ分野における各国政府や各国の自動車クラブ、自動車メーカーとの連携も担っており、今回の訪問はその一環だ。

現在日本は、高度な公共交通インフラ、スマートシティ構想、代替燃料技術の研究、そしてMaaS(Mobility as a Service)プラットフォームなど、モビリティ分野での先進的な取り組みが注目されている。

昨年、幕張メッセで開催された「ジャパン・モビリティ・ショー」では125万人以上の来場者を記録。持続可能性と産業横断的な協業に焦点を当てた展示が国際的にも高く評価された。FIAは、「技術と産業の両面で世界をリードする日本は、その革新によって、世界的に大きな影響を与えている」としている。

一方で、モータースポーツ分野においても日本の存在感は増している。日本自動車連盟(JAF)によれば、国内のモータースポーツライセンス保持者は過去5年間で20%以上増加し、現在では20万人を超えている。加えて、今年4月に三重県鈴鹿サーキットで開催されたF1日本GPでは、2006年以来最多となる観客動員数を記録した。

ベン・スレイエム会長は、石破茂首相、スポーツ庁の室伏広治長官、国土交通大臣の中野博正氏らと会談し、モビリティ分野における安全性、革新性、持続可能性に関する協力体制の強化を図る考えだ。

また、JAFの主催により、シティサーキットやJAFコントロールタワーも視察する予定であり、日本における都市型モータースポーツ施設の実情と将来構想を確認する方針だ。

ベン・スレイエム会長は来日を前に、声明を通して次のように語った。

「自動車分野の技術革新、モータースポーツへの情熱、そして人々の生活の質を向上させるモビリティソリューションにおいて、日本は今もなお世界をリードする存在だ。今回の訪問は、我々の絆をさらに深め、グローバル社会に貢献するという共通の目標に向かって歩みを進める好機となる」

「また、今回の訪問は、モビリティとモータースポーツの分野における革新、安全性、持続可能性の推進というFIAのビジョンを体現するものでもある。日本はその力強い産業基盤、政府の支援、そして豊かなスポーツの伝統という特長により、こうしたグローバルな目標の実現するための重要なパートナーであり続けている」