アクセル・クルーゼ(最高執行責任者)の起用を告知するウィリアムズのグラフィック、2025年7月29日
Courtesy Of Williams

ウィリアムズF1、元ザウバーCOOアクセル・クルーゼを起用─2026年に向け技術部門にも変更

  • Published:

ウィリアムズ・レーシングは、F1第14戦ハンガリーGPを前に、ザウバーで長年にわたりチーム運営を担ってきたアクセル・クルーゼを、2025年9月1日付で最高執行責任者(COO)に迎えると発表した。

F1界でも屈指の実務派として知られるクルーゼは、ハンブルク応用科学大学で学んだ後、1997年にBMWにエンジニアとして入社。2002年よりモータースポーツ部門に異動し、ウィリアムズとの協業を担当。2006年にはザウバーに加わり、2010年からは同チームでCOOを務めていた。

「未完の仕事」クルーゼの決意と野心

就任発表にあたり、クルーゼは次のように語った。

「ウィリアムズ・レーシングに加わることができて本当に嬉しい。早く仕事に取り掛かりたい。ウィリアムズは、大きな野心を備え、勢いにあふれる伝統あるF1チームだ。本拠グローブのみんなと共に、サーキットで成功を収めるべく全力を尽くしたい」

さらに、BMW時代にウィリアムズが2002年および2003年のコンストラクターズ選手権でスクーデリア・フェラーリに敗れ、2位に甘んじた過去に言及し、こう続けた。

「若きエンジニア時代に私は、このチームの情熱とプロフェッショナリズムを間近で見てきた。あのとき果たせなかった仕事がある。目標はタイトルの獲得だ」

舞台裏で進められる体制変更

ウィリアムズは近年、競争力不足に苦しんできたが、2025年シーズンは第13戦ベルギーGP終了時点でコンストラクターズ選手権5位と、著しい前進を見せている。2022年に最下位に沈んでいたことを踏まえれば、これは大きな飛躍といえる。

チーム代表ジェームズ・ヴァウルズは、クルーゼを「トップ人材」と評し、「我々のオペレーションを真の選手権レベルに引き上げてくれるだろう」と語り、組織強化への期待をにじませた。

また、技術部門にも変更が加えられた。昨年アルピーヌから加入したマット・ハーマンが、ウィリアムズでのデザインディレクターとしての手腕を評価され、新たにエンジニアリング担当テクニカル・ディレクターに昇格した。

前任ブルソーはカナダへ帰国

2023年4月からCOOを務めていたフレッド・ブルソーはチームを離れ、母国カナダへ帰国する。

ブルソーは航空機エンジンメーカー「プラット・アンド・ホイットニー」で26年間にわたりキャリアを築いた後、F1の世界に転じた異色の経歴を持つ。ウィリアムズでは、ビジネスとレース双方における改革を推進してきた。

「この2年間でチーム改革に積極的に取り組んできたが、ようやくビジネス面とトラック上の両方で明確な成果が見え始めている」「この持続的な好転が組織全体に根付き始めた今、母国に戻るには最適なタイミングだと感じている」とコメントし、自らの役割に一区切りをつけた。

さらに、「ウィリアムズの人々の情熱と献身こそが、このチームの真の核だ。このチームに迎え入れられたこと、そしてF1の世界に触れられたことは、私にとって本当に貴重な経験だった」と、深い感謝の意を表した。

F1ハンガリーGP特集