
トト・ウォルフの「酷い契約交渉術」ロズベルグ暴露─ラッセル契約問題の裏に?経験者はかく語りき
メルセデスと共に2016年のF1ドライバーズタイトルを獲得したニコ・ロズベルグが、自らの経験を元に、トト・ウォルフ代表兼CEOによる「酷い」契約交渉術の実態を明かした。
ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリは、いずれも今季末でメルセデスとの契約が満了を迎えるが、現時点では延長契約は発表されていない。交渉の遅れは、ウォルフの“戦術”が影響しているのだろうか。
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.
パドックを歩くメルセデスのトト・ウォルフ代表、2025年7月25日 F1ベルギーGP初日(スパ・フランコルシャン)
交渉の余地の与えぬ”ウォルフ術”
英衛星チャンネル『Sky Sports』の番組内で、ニコ・ロズベルグは現役時代に経験したトト・ウォルフとの契約交渉が、いかに困難を極めたかを語った。
「トトとの交渉は酷いんだよ。だって彼の戦術は、とにかく姿を消すことなんだから」とロズベルグ。連絡を取ろうとすると、忽然と姿を消してしまうという。
メッセンジャーアプリ「WhatsApp」を通じたやり取りも意味をなさないと言う。
「彼は既読を避ける方法すら知ってるんだ。画面にメッセージが表示された瞬間、最初の数語だけを読んで、ちゃんと開きもしないんだよ」
「現役だった頃をよく覚えてるけど、彼のやり方はいつもそうだった。突然消える、返信しない、連絡が取れない。本当に酷いんだ。もう頼むよ!って感じでさ」
「何の情報も得られないから、チャンスがないんだ…できることを全部やって、何とかして接触の糸口を見つけなきゃいけないんだよ」
Courtesy Of Daimler AG
1回目のコンストラクター選手権タイトルを決めた2014年、メルセデスのルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグ
活躍も提示されない契約書
第13戦ベルギーGPまでにメルセデスが獲得した計220ポイントの内、ラッセルが持ち帰ったのは157ポイント、全体の7割以上に及ぶ。
さらに優勝1回を含む5回の表彰台に上がり、ウォルフから度々、公の場で称賛を受けているにもかかわらず、ラッセルには契約書すら提示されていない。
ロズベルグは、こうした交渉の停滞について「もし今、ジョージが彼に連絡を取ろうとしても無駄だよ。だってトトは(おそらく)既に姿を消しているんだから」と語った。
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ジョージ・ラッセル(メルセデス)と話をするメルセデスのチーム代表トト・ウォルフ、2025年F1サウジアラビアGP
一転、契約交渉本格化へ
とはいえ、ラッセルとアントネッリの契約交渉が停滞していた最大の理由は、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の動向にある。ウォルフはこれまで、2026年の移籍を巡ってフェルスタッペン陣営との接触を続けてきた。
だが、ベルギーGPを終えてフェルスタッペンの契約に含まれる解除条項が事実上、意味をなさなくなった可能性が高まったこともあり、メルセデスは現ドライバーとの交渉を本格化させる見通しだ。