フリー走行前のファンステージで観客に向けてトークを行う角田裕毅(レッドブル・レーシング)とフランコ・コラピント(アルピーヌ)、2025年5月17日(土) F1エミリア・ロマーニャGP FP3(イモラ・サーキット)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

FIA会長、角田裕毅へのSNS誹謗中傷問題を受け声明―イモラでのコラピントとの一件が発端

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2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGPの週末、角田裕毅(レッドブル)がSNS上で誹謗中傷を受ける事態が発生したことを受け、国際自動車連盟(FIA)のモハメド・ベン・スレイエム会長が声明を発表した。

発端となったのは、金曜フリー走行中のインシデントだった。走行を妨げられたとして角田が、フランコ・コラピント(アルピーヌ)にジェスチャーで不満を示したところ、一部のコラピント支持者から角田のSNSに中傷コメントが殺到。その中には人種差別的な内容も含まれていた。

これを受けコラピントは、走行妨害は事実であると認めるとともに、ファンに自重を要求。一方の角田は、同様の被害を受けていたジャック・ドゥーハンを引き合いに出し、節度ある応援の重要性を訴えた

こうした状況を受け、ベン・スレイエムはSNSを通じて声明を発表。ドライバーをはじめ、ファン、ボランティア、関係者の誰一人として、角田が受けたような扱いを受けるべきではないと強調し、中傷に対して声を上げた角田とコラピントの両名を全面的に支持した。

「モータースポーツは競争、情熱、そして献身によって支えられている。レースに挑むすべてのドライバーは、こうした価値観の体現者だ。我々が抱くこのスポーツへの情熱と興奮は、人々を団結させるものであって、決して憎しみや中傷へと歪められるべきではない」

「私は角田裕毅とフランコ・コラピント両名を全面的に支持する。そして、モータースポーツ界において深刻化しつつあるオンライン中傷問題に対して、声を上げてくれたことに感謝したい」

SNS上での誹謗中傷は、F1に限らずモータースポーツ界全体における深刻な問題となっている。前戦マイアミGPでは、ジャック・ドゥーハンとその交際相手を含む家族に対する脅迫行為が確認され、24時間体制の警備が敷かれたと報じられた。

FIAは現在、「United Against Online Abuse(ネット中傷と闘う連帯、UAOA)」キャンペーンを通じ、教育的・技術的・規制的アプローチを組み合わせた多角的な対策を推進している。

ベン・スレイエムは「誰であれ、脅迫、憎悪、差別の対象となるべきではない。我々のコミュニティに、中傷や有害な行為が入り込む余地はない」と強調した。

「“UAOA”キャンペーンを通じて、我々は意識の啓発、支援の提供、そして社会的変化を促すための断固たる行動を取っている。FIAは、このスポーツに関わるすべての人々の心身の安全を守ることに尽力しており、誰もが尊重される安全な環境づくりに向けて、共に取り組んでいきたい」

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