
F1モナコGP:角田非難の”2主張”を却下、ガスリーを処分
2025年F1第8戦モナコGPの決勝レースを終えて、角田裕毅(レッドブル)に追突したピエール・ガスリー(アルピーヌ)に対し、今シーズン初の戒告処分が決定された。接触の責任を角田に求めたアルピーヌ側の2つ主張は、いずれも退けられた。
接触はレースの7周目、トンネル出口からヌーベル・シケイン(ターン10)に向かうブレーキングゾーンで発生した。後方を走行していたガスリーが角田の右リヤに接触し、フロントウイングと左フロントサスペンションを損傷。自走してピットへ戻ったが、そのままリタイアした。
一方、角田のマシンには深刻なダメージは見られず、レースを続行。最終的に17位でフィニッシュした。
ガスリーとアルピーヌのチーム代表者はレース後の聴聞において、角田が「車幅1台分のスペースを残さなかった」として、FIA国際競技規則(ISC)附則L第4章第2条に違反したと主張。加えて、「ブレーキング中に進路を変更した」ことも接触の要因であると訴えた。
だがスチュワードは、当該セクションにおける角田の過去のラップのライン取りを精査した結果、「他の周回とほぼ同一のラインを走行していた」ことを確認。ディフェンス目的の進路変更とは認めず、よって角田にスペースを残す義務はなかったと判断した。
また、角田がブレーキング中に進路変更したという主張についても、「当該セクションはコースが左から右に流れるレイアウトであり、通常のレーシングラインを取ったに過ぎない」として、ディフェンス目的での進路変更とは見なされないと結論づけた。
スチュワードはさらに、「モナコのターン10進入でのオーバーテイクは極めて野心的で、成功の可能性は乏しかった」と指摘。角田のそれまでの走行ラインから、ガスリーはそのような動きがあることを「予見すべきだった」との見解を示した。
加えて、ガスリーのマシンはブレーキング時に後輪が軽くロックしており、それが制動距離の増大につながったことも衝突の一因とされた。
これらの結果を踏まえ、スチュワードは「衝突の全責任、または主たる責任」はガスリーにあると結論づけ、戒告処分を下した。
2025年F1第8戦モナコGPでは、ランド・ノリス(マクラーレン)がモナコ初優勝を果たし、今季2勝目を飾った。2位はシャルル・ルクレール(フェラーリ)。3位表彰台にはオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が滑り込んだ。
カタロニア・サーキットを舞台とする次戦スペインGPは、5月30日のフリー走行1で幕を開ける。