ノリスが”変則モンテカルロ”で初制覇―髄所に戦略プレー、追突された角田は17位 / F1モナコGP 2025《決勝》結果と詳報

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2025年FIA-F1世界選手権第8戦モナコGPの決勝レースが現地5月25日にモンテカルロ市街地コースで行われ、ポールポジションからスタートしたランド・ノリス(マクラーレン)が自身初となるモナコでの勝利を飾った。角田裕毅(レッドブル)は17位に終わった。

ノリスはスタート直後にトップの座を死守したものの、サン・デボーテへの進入でタイヤをロックアップ。不安を感じさせる立ち上がりとなったが、その後は安定走行を続け、最終周にファステストラップを記録。3月の開幕オーストラリアGP以来となる今季2勝目を挙げた。

なお、マクラーレンがモナコで表彰台の頂点に立つのは、2008年にルイス・ハミルトンが優勝して以来、実に17年ぶりとなった。

フェラーリとピアストリも表彰台、王者フェルスタッペンは4位

ドライバーズ選手権をリードするオスカー・ピアストリは、3位でフィニッシュし、第2戦中国GPから続く連続表彰台記録を7に伸ばしたが、ランキング2位のチームメイト、ノリスとの差は3ポイントにまで縮まった。

予選2番手の地元出身シャルル・ルクレール(フェラーリ)は、モナコ連覇こそ逃したものの、今季最上位となる2位表彰台を獲得。「トップ10に入るのも厳しいと思っていたけど、終わってみれば2位で、しかも優勝にもかなり近かった。全体としては良い週末だった。でも…勝ちたかったな」と前向きに評価しつつも悔しさをにじませた。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、各スティントを引き延ばす戦略を採り、セーフティカー導入による展開の変化を待ったが、レースは動かず、スタートポジションと同じ4位でフィニッシュした。

一方、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)は5位でチェッカーを受けたものの、トップ4とは大きく離され、単独走行が続く“孤独なレース”となった。

レーシング・ブルズが連携戦略でダブル入賞

3セットのタイヤ使用義務を課す試験的なルールが導入された今大会は、例年とは異なる変則的なレースとなった。チームメイト同士の連携による戦略的駆け引きが随所で見られ、またフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)とピエール・ガスリー(アルピーヌ)のリタイアといった波乱もあった。

レーシング・ブルズ勢は、チームプレイを駆使した戦略を展開。アイザック・ハジャーが6位、リアム・ローソンが8位と、見事なダブル入賞を果たした。

まずは、5番手を走行していたハジャーのために、9番手のローソンが意図的にペースを落とし、前方に十分なギャップを確保。その結果、ハジャーは15周目のピットストップを経て、ローソンの前でコースに復帰した。さらに、ローソンが引き続きスロー走行する中、20周目に2度目のピットインを行い、義務付けられたタイヤ交換をすべて消化。再びローソンの前でコースに戻ることに成功した。

戦略を分けたローソンは、その後も集団の先頭でペースを抑え続けた。33周目までスティントを引っ張り、タイヤ交換後もポイント圏内をキープ。チームメイトをアシストしつつ、自らも着実にポイントを持ち帰った。ハジャーとローソンの間には、エステバン・オコン(ハース)が入り、7位を獲得した。

ウィリアムズも巧みな連携でポイント圏内へ

ウィリアムズもまたチーム戦略を展開し、ポイント圏外からのダブル入賞を果たした。

42周目、チームはピットストップを活用し、先行していたアレックス・アルボンと後方を走るカルロス・サインツの順位を戦略的に入れ替えた。これが2度目のストップとなったアルボンは、サインツの後方でコースに復帰した。

アルボンはその後、意図的にペースを落とし、まだ1回のストップを残していたサインツのために前方に十分なギャップを形成。その結果、サインツは2回目のピット作業を終えると、アルボンの前でコースに戻ることに成功した。

これによりウィリアムズは、事実上のダブルポイント圏内を確保。残り12周で両者の順位を再び入れ替え、最終的にアルボンが9位、サインツが10位を獲得した。

角田、追突と不運で後退

予選12番手の角田は、全車の中で唯一、ソフトタイヤを装着してグリッドに着くも、開始早々にニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)に交わされ13番手に後退した。

1周目にガブリエル・ボルトレート(ザウバー)がポルティエのタイヤバリアに突っ込み、バーチャル・セーフティーカー(VSC)が導入されたタイミングで、他車3台とともにピットイン。積極的に仕掛けた。

だが9周目、ガスリーがヌーベル・シケインで角田の右リアに追突。接触によってコース上にはデブリが散乱し、これを回収するためにダブルイエローが提示された。角田は無線で「バカなの、あいつ!何してんだよ!?」と怒りをあらわにした。

ガスリーは接触により左フロントのサスペンションが折れ、今にも脱落しそうな状態でピットへ戻り、そのままリタイアした。無線では「ブレーキが効かなかった」とチームに伝えた。

幸いにも角田はレースを続行したが、ローソンを先頭とする隊列の中で身動きが取れず、レース中立化の機会を待ちながらスティントを引き延ばしたものの、展開は動かず。残り3周で2回目のストップ義務を消化し、大きく順位を落として17位でフィニッシュした。

アロンソまたもポイント逃す

アロンソの今季初ポイントはまたしてもお預けとなった。6番手を走行していたものの、39周目のラ・ラスカスで突如失速し、バリアの隙間にマシンを止めてリタイア。メカニカルトラブルと見られる。

メルセデス、挽回ならず

予選14・15番手と劣勢に立たされたメルセデス勢は、ピットストップを大幅に遅らせる戦略を採ったが、機能しないばかりか、チームプレイを展開するウィリアムズとのバトルの最中に不名誉なペナルティを受けるなど、散々な結果に終わった。

ジョージ・ラッセルは53周目、ヌーベル・シケインでコース外に飛び出した状況でアルボンをオーバーテイク。チームからはポジションを戻すよう指示が出たが、ラッセルは無線で「ペナルティでいいよ。相手があんな走り方してるんだから」と従わなかった。

これに対してスチュワードは、厳格な姿勢を示し、近年稀に見るドライブスルー・ペナルティを科す裁定を下した。それでも、結果を最大化するという観点でラッセルの判断は正しく、大きく順位を上げて11位でフィニッシュした。ポジションを返上していた場合、17位あたりに収まったと見られる。

なお、ラッセルの翌周には、すぐ後方を走行していたチームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリも同じ場所で同様の形でアルボンをオーバーテイクしたが、こちらは直ちにポジションを返上。処分は科されなかった。ただし結果は18位と、完走18台中の最下位となった。

2025年F1第8戦モナコGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 78 1:40:33.843 25
2 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 78 +3.131s 18
3 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 78 +3.658s 15
4 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 78 +20.572s 12
5 44 ルイス・ハミルトン フェラーリ 78 +51.387s 10
6 6 アイザック・ハジャー レーシングブルズ・ホンダRBPT 77 +1 lap 8
7 31 エステバン・オコン ハース・フェラーリ 77 +1 lap 6
8 30 リアム・ローソン レーシングブルズ・ホンダRBPT 77 +1 lap 4
9 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 76 +2 laps 2
10 55 カルロス・サインツ ウィリアムズ・メルセデス 76 +2 laps 1
11 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 76 +2 laps 0
12 87 オリバー・ベアマン ハース・フェラーリ 76 +2 laps 0
13 43 フランコ・コラピント アルピーヌ・ルノー 76 +2 laps 0
14 5 ガブリエル・ボルトレート ザウバー・フェラーリ 76 +2 laps 0
15 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 76 +2 laps 0
16 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ザウバー・フェラーリ 76 +2 laps 0
17 22 角田裕毅 レッドブル・ホンダRBPT 76 +2 laps 0
18 12 アンドレア・キミ・アントネッリ メルセデス 75 +3 laps 0
NC 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 36 DNF 0
NC 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 7 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温22℃
路面温度44℃

セッション概要

グランプリ名 F1モナコGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 モンテカルロ市街地コース
設立 1929年
全長 3340m
コーナー数 18
周回方向 時計回り

F1モナコGP特集