マクラーレン元総帥ロン・デニス、巨額を投じて慈善団体設立…新型コロナと戦う医療従事者を支援
かつてマクラーレンを率いていた総帥ロン・デニスが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との戦いを支援すべく、流通大手テスコ並びにケータリングサービスのアブソリュート・テイストやヨーデルと共同で慈善団体「SalutetheNHS.org」を設立した。
これは新型肺炎との戦いの最前線に立つ英国国民保健サービス(NHS)の労働者を支えるためのもので、NHSで働く数千人の労働者達に今後3ヶ月間に渡って栄養価の高い食事を無料で提供していく事を目指している。なお、病院内で仕事に従事する労働者に限らず、感染して自宅で隔離中のスタッフに対しても振る舞われる。
ICU(集中治療室)で働く人々や麻酔科チーム、救急外来のスタッフなどは12時間のシフト制で治療に取り組んでおり、気軽に食事を取る事が出来ないという課題がある。団体側は、全粒粉米を使ったケララン・ベジカレーやチリ風味の赤身の牛肉を使ったベジライスなどを献立として検討している。
ロン・デニスは自身が立ち上げた慈善団体「ドリームチェイシング財団」を通して、このイニシアチブの創設費用として100万ポンド(約1億3,305万円)を寄付。今後更に50万ポンドを投じる予定で、テイラー・ファミリー・ファウンデーションがこれに加えて50万ポンドを用意した。
物流面での支援は宅配便サービスの大手のヨーデルが行い、テスコは100万食分の食品及び食材を提供、アブソリュート・テイストが調理する。
ロン・デニスは声明を発表して「今は個人・企業を問わず、COVID-19と闘うために我々全員が立ち上がらなければならない」と述べ、次のように続けた。
「これは、この戦いで毎日働き続けているNHSの労働者達に対して栄養価の高い食事を提供するものであり、彼らの心配毎を一つ減らす事ができる。私はこのイニシアチブをリードすること嬉しく思っている」
「命を救うための彼らの仕事に対する畏敬の念を込めて、我々はこれを”SalutetheNHS.org”と呼んでいる」
ロン・デニスは銀行員として働いた後、メカニックとしてレースキャリアを歩み始め、1981年から2017年までの36年間に渡ってマクラーレンを率いた。現在はグループ全ての株式を売却して、その関係に終止符を打っている。
なお、マクラーレン在籍時最後の年にレギュラードライバーを務めていたフェルナンド・アロンソは、ロン・デニスと同じ様に私財を投じてユニセフのスペイン支部にマスクと防護服を寄付している。
SalutetheNHS.orgの食事提供サービスは4月6日(月)からスタートし、まずはオックスフォードのジョン-ラドクリフ病院で提供される。翌週にはグレート・オーモンド・ストリートやロンドン小児病院での開始が予定されており、その後は全国の対象病院に拡大される。