
コルトン・ハータ、2026年衝撃のF2転向へ…キャデラックF1テストドライバーとしてF1デビュー目指す―後任はパワー
インディカー通算9勝を誇るアメリカ人ドライバーのコルトン・ハータが、2026年からキャデラックF1のテストドライバーに就任することが米国現地時間2025年9月3日、発表された。同時に、F1参戦に必要なスーパーライセンス取得を目指して、2026年シーズンにFIA-F2選手権へ参戦する計画であることも判明した。
インディカーからF1挑戦へ
現在25歳のハータは、2018年にインディカーデビューを果たして以来、アンドレッティ・グローバルで活躍を続けてきた。2024年にはシリーズランキング2位を獲得。地位を確立してきたが、今季限りでチームを離れ、F1への挑戦という新たなキャリアを歩むことになる。
ハータは過去にもF1との接点があり、2022年にマクラーレンの開発ドライバーを務めたほか、2023年にはレッドブル傘下のアルファタウリ(現レーシング・ブルズ)からも関心を寄せられた経験を持つ。
ハータのF1への転向は、キャデラックF1のダン・タウリスCEOとマイケル・アンドレッティがザウバー買収を検討していた2021年当時から、計画の一部として構想されていた。
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コルトン・ハータとマイケル・アンドレッティ、2021年9月27日インディカー・シリーズ最終ロングビーチにて
キャデラックF1での役割
キャデラックF1は2026年の参戦初年度、セルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスというベテランを軸に安定した基盤を築きながら、ハータという有望なアメリカ人ドライバーを育成する二本柱の戦略を掲げている。
テストドライバーとしてハータは、金曜フリー走行への出走やシミュレーター作業を担当し、ボッタスとペレスを支えることになる。舞台裏での経験を積みながら、F1デビューへの準備を進める。
チーム代表のグレアム・ロードンは「コルトンは卓越した才能を持ち、スピード、レースクラフト、そして年齢を超えた成熟さを備えている。アメリカ人ドライバーがアメリカのF1チームに加わることは、米国モータースポーツ全体にとって大きな意味を持つ」と強調した。
異例のF2転向計画
注目を集めるのは、プロが切磋琢磨するトップカテゴリーのインディカーから若手育成シリーズであるFIA-F2選手権への転向計画だ。キャデラックはプレスリリースで「ハータが欧州レースに復帰する」と表明したが、詳細には触れなかった。
だがタウリスCEOは、ジェームズ・ヒンチクリフがホストを務めるポッドキャスト番組で「彼はF2に参戦することになる。コースやタイヤについて学ばなければならない。リスクを冒してまで夢を追い求めるコルトンを誇りに思っている」と明かした。
インディカーからF2への転向は極めて異例だが、前例が全くないわけではない。ティモ・グロックは2005年にチャンプカー(インディカーの前身の一部)でルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した後、2006年にGP2(現F2)へ参戦し、2008年にトヨタから初のF1フル参戦を果たした。
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アンドレッティ・オートスポーツのコルトン・ハータ、2022年9月4日インディカー・シリーズ ポートランドGP
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2019年インディカー第2戦サーキット・オブ・ジ・アメリカズで史上最年少優勝を果たしたコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポーツ)
スーパーライセンス取得への道のり
ハータは現在、F1参戦に必要なスーパーライセンス40点のうち35点しか保持しておらず、5点不足している。F2での好成績とF1金曜フリー走行への出走を組み合わせ、不足分を補う計画だ。
ハータ本人は今回の発表について、「夢のようなチャンスだ。僕はずっとこれを目指してきた。キャデラックF1の参入という重要な時期に関われるなんて、選ばない理由がなかった。夢は常にF1で走ることだった。この一歩はその目標に向けた大きな前進だ」と強い意欲を示した。
国内のカートシリーズで頭角を現したハータは2015年、ヨーロッパに活動の拠点を移し、MSAフォーミュラシリーズやユーロフォーミュラ・オープン選手権に参戦。その後、米国へ戻りインディライツを経て、2018年のインディカー最終戦でデビューを果たした。
翌2019年にはサーキット・オブ・ジ・アメリカズで18歳にして優勝を飾り、インディカー史上最年少ウィナーの記録を樹立した。
アンドレッティの新体制
ハータの離脱により空席となったアンドレッティ・グローバルのシートには、チーム・ペンスキーに17年間在籍し、インディカー王者に2度輝いたウィル・パワーが複数年契約で加入することが発表された。マーカス・エリクソン、カイル・カークウッドと組む新布陣は、2026年シーズンのシリーズ争いで注目を集めそうだ。