2025年F1スペインGPでのマックス・フェルスタッペンとジョージ・ラッセルの接触を受け、メルセデスのトト・ウォルフ代表が放った一言が、イタリア・ローマのタクシー運転手たちの猛反発を招いている。
フェルスタッペンはレースを通して上位を走行し、終盤も表彰台圏内を維持していたが、後に不要だったことが判明したチームの指示により、ポジションを譲ってラッセルを先行させた直後、急加速してラッセルに接触した。
伊紙『コッリエーレ・デッラ・セーラ』によると、ウォルフは一件でのフェルスタッペンの走りについて、「非常に攻撃的で、ルールもお構いなし」という点で「まるでローマやナポリの一部のタクシー運転手のようだった」と語ったという。
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.
ピットレーンでインタビューに応じるメルセデスのトト・ウォルフ代表、2025年5月31日(土) F1スペインGP(カタロニア・サーキット)
この発言はステレオタイプ的と見なされ、狭く一方通行が多い道路、頻繁な工事、観光客の多さなど、日々の交通事情に悩まされているローマのタクシー運転手たちの反発を買った。
報道によると、ローマのモンテ・サクロ地区、チェルヴィ通りで客待ちをしていたアレッサンドロ・V氏は「典型的な決めつけだ。我々は事故を起こさないよう常に最大限の注意を払っている。事故を起こせば、その日の稼ぎがすべて吹き飛ぶのだから」と不満を示した。
同僚のLecce77氏も「工事、渋滞、電動キックボードにゴルフカート…。こんな環境の中でどう運転しているのか、F1のドライバーにもぜひ見てほしい。今のローマはまるでジャングル。F1サーキットとはまったく違う」と訴えた。
ローマ最大のタクシー協同組合を率いるロレーノ・ビッタレッリ会長は、「彼は自分のチームのことに集中すべきでは?」と皮肉で応じた。メルセデスはスペインGPを終えてコンストラクター選手権2位の座をフェラーリに奪われた。
さらに、タクシー労働組合Filt-Cgilのニコラ・ディ・ジャコッベ氏も、「我々はメルセデスのように時速30マイルで走っている」と皮肉を交えつつ、ローマの慢性的な交通渋滞を指摘した。
タクシー歴40年以上のベテラン運転手ロベルト氏は、「この街の混沌とした交通環境で我々は、平均的なドライバー以上の我慢強さと経験を備えている。むしろ我々こそが一番うまく運転している」と主張した。