2019年F1バーレーンGP決勝レーススタート直後のホームストレートの様子
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F1アブダビGP:最速タイヤ戦略と残存セット、サポートレース不在でコンパウンド間の差少なく

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2020年シーズンF1のフィナーレを告げる第17戦アブダビGPの決勝レースが日本時間12月13日(日)22時10分にブラックアウトを迎える。55周のレースを制するのは誰なのか? ドライバー毎の残存タイヤセット数と、ピレリが考える最速のタイヤストラテジーをまとめる。

公式タイヤサプライヤーのピレリは今回、例年通り最も柔らかいレンジのC3(ハード/白)、C4(ミディアム/黄)、C5(ソフト/赤)のラインナップを持ち込んだ。決勝がドライコンディションで行われる場合、各マシンは最低2種類の異なる硬さのコンパウンドを使用しなくてはならない。ウェットの場合はその義務も免除されるが、現時点で現地は晴天に恵まれている。

決勝に向けての各ドライバーの手持ちタイヤは以下の通り。上位勢で唯一、新品ソフトを残しているのはポールシッターのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)で、その他のマシンはレースでこれを履く意志がない事を感じさせる。

2020年F1アブダビGP決勝 ドライバー別残存タイヤセット

舞台となるヤス・マリーナ・サーキットはオーバーテイクが容易とは言えず、また、ピットレーン出口が高架をくぐった先にあるなど複雑であるため、他のコースと比較してタイムロスが多い。そのため、ピレリは1ストッパーが理論上最速のストラテジーだと考えている。

イタリアの公式タイヤサプライヤーは、ミディアムでスタートして18周を走った後、ハードタイヤに履き替えて37周を走る1ストップ戦略が理想的だと説明する。

次善策もソフト(14周)ハード(41周)の1ストッパーだが、こちらは先のミディアムを使うものよりトータルタイムが若干遅いと予想される。

2ストップの場合はソフト(12周)ハード(31周)ソフト(12周)と繋ぐ形が最もタイムロスが少ないと考えられるが、大方は1ストップを狙ってくるだろう。

今週末のソフトのファステストラップはフェルスタッペンが記録した1分35秒246、一方のミディアムはルイス・ハミルトン(メルセデス)の1分35秒466で、全体としても両コンパウンド間のギャップは昨年よりも小さく、マリオ・イゾラはF2やF3といったサポートレースが行われず路面のラバーの載り方が少ない事が原因だと考えている。相対的にソフトの優位性は低い。

Q3進出組の中でミディアムを履くのはフェルスタッペンとメルセデス勢のトップ3に、6番グリッドのカルロス・サインツ(マクラーレン)、そして3グリッド降格で11番手からスタートするシャルル・ルクレール(フェラーリ)の5台。他のソフト勢がどんなスタートを切るかが注目される。

第17戦アブダビ・グランプリ決勝レースは、1周5,554mのヤス・マリーナ・サーキットを55周する事で勝敗を決する。

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