ヤス・マリーナ・サーキットのフェラーリガレージ内を歩くセバスチャン・ベッテル、2020年12月12日
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ベッテル、跳馬ラスト予選で僚友から0.5秒落ちの13番手…13戦連続でQ3逃す「謎。何処を探してもこれほど大差が付くチームはない」

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6年間に渡ったスクーデリア・フェラーリとの共闘最後の公式予選に臨んだセバスチャン・ベッテルは13番手に終わり、13戦連続で最終Q3進出を逃す苦い結果となった。西洋で忌み嫌われる「13」続きというのも皮肉な話しだ。

12日(土)の2020年F1最終第17戦アブダビGP予選でフェラーリ勢は、Q1でソフトを履き各々2回ずつ計測を実施。シャルル・ルクレールは3番手、対するベッテルは12番手でQ2に駒を進めた。

Q2では決勝を見据えてミディアムを履いたものの、ベッテルはノックアウトゾーンに沈んだ事で2セット目にソフトを履き13番手で敗退。一方のルクレールはミディアムでのラップを成功させてQ3へ駒を進めた。最終的な両者のギャップは0.566秒に達した。

今シーズンの17戦の内、ベッテルが予選でルクレールを上回ったのは僅かに5回で、平均してコンマ2秒強負けている。更に今年ベッテルがQ3に進出したのは3回に留まるが、ルクレールは同じSF1000で11回と、完全に負け越した形だ。

順位 ドライバー チーム Q1 Q2 Q3
9 シャルル・ルクレール フェラーリ 1:35.881 1:35.932 1:36.065 20
10 ピエール・ガスリー アルファタウリ・ホンダ 1:36.545 1:36.282 1:36.242 20
11 エステバン・オコン ルノー 1:36.783 1:36.359 12
12 ダニエル・リカルド ルノー 1:36.704 1:36.406 9
13 セバスチャン・ベッテル フェラーリ 1:36.655 1:36.631 12

予選を振り返ったベッテルは「誰がどう見たって謎だよ。2台の間にこれほど大きなデルタがあるんだから。ピットの何処を探してもこんなに大きな差のあるチームはないと思う」と述べ、僚友との異様な開きは依然として謎のままだと語った。

とは言えベッテルは、クルマから最大限のパフォーマンスを引き出せたと考えており、これ以上ラップタイムを縮める事は出来なかったと主張する。

「でも、自分自身のラップには満足している。確かに、いつだって少しは…(もっと改善できた可能性がある)って思うものだけどね。全てをまとめ上げたとして、(改善できた可能性があるのは)多分コンマ1秒ってとこじゃないかな」

「セッションそのものは良かった。結果は満足できるものじゃないけど自分自身には満足している。今年はこういう事が何度もあったシーズンだった」

同郷の英雄、ミハエル・シューマッハが築いた黄金時代の軌跡を再現せんとすべく、レッドブルを離れマラネロへと移って早6年。ベッテルは夢半ばにして、フェラーリドライバーとしての最後のレースに臨む。

「明日は感情的になるだろうね。特にメカニックやガレージにいるみんなの事を思うとね」

「リザルトという点で望めるものが多くないのは明らかだから、チェッカーフラッグを受けるのを楽しみにしてレースに臨むよ」

ベッテルはフェラーリ時代にアブダビで勝利した事はないものの、レッドブルに在籍していた時には3勝を挙げている。またフェラーリ移籍初年度の2015年には、ここヤス・マリーナで15番手から4位フィニッシュを果たしており、奇跡的なシナリオを期待したくなる素地がある。

なおルクレールは前戦でのマックス・フェルスタッペンを巻き込むクラッシュ裁定によって3グリッド降格を受けるため、ベッテルの1つ前、12番グリッドに着く。


今季最後のグリッド争いでは、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンがキャリア3度目のポールポジションを獲得。1.6リッターV6ハイブリッド時代としては初めて、メルセデス以外がアブダビで予選最速を刻んだ。

2020年シーズンのF1のフィナーレを告げる第17戦アブダビ・グランプリ決勝レースは、日本時間12月13日(日)22時10分にスタート。1周5,554mのヤス・マリーナ・サーキットを55周する事で勝敗を決する。

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