アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)と順位を争う角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年9月7日(日) F1イタリアGP決勝(モンツァ・サーキット)

角田裕毅、ローソン接触のモンツァで厳しい評価―レッドブル残留は「風前の灯」か…一方で次戦に向けた”希望”も

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2025年F1第16戦イタリアGPで角田裕毅は、リアム・ローソンとの接触によりフロアを損傷し、13位に終わった。勝利したチームメイトのマックス・フェルスタッペンに周回遅れにされかける屈辱を味わい、直近9戦のうち8戦で入賞を逃した。角田に対する評価は一段と厳さを増している。

予選では3戦ぶりにQ3進出を果たしたが、決勝ではルイス・ハミルトンやアンドレア・キミ・アントネッリに交わされ、序盤はDRSトレインの中で身動きが取れなくなった。さらに中盤に向けてはローソンに攻め込まれる展開となり、最終的に13位でフィニッシュした。

角田の残留は絶望的との評価

元F1ドライバーでドイツの衛星テレビ局『Sky Sports』で解説を務めるティモ・グロックは、この結果を「到底許されない」と断じ、「ユーキ・ツノダは今日、平手打ちを食らって家に送り返されたようなものだ」と辛辣に批判した。

「チームメイトに周回遅れにされそうになるなんて、それでは来年チームに残るための名刺代わりにはならない。このクルマならポイントを取れなければならなかったのに、それができなかった」と手厳しく評し、今季中のシート喪失もあり得るとまで言及した。

ただしグロックは「問題は、そのシートに座りたいと思うドライバーがいるのかだ」とも語り、後任選定の難しさを示唆した。候補にはレーシング・ブルズの新人アイザック・ハジャーが控えるが、現状での昇格は「潰してしまう」リスクを伴う。

接触の責任を巡る見方

振るわぬリザルトの要因の一つはローソンとの接触だった。フロア右側の破損によりペースが悪化した。角田はローソンを非難していているが、イギリスの専門メディア『The Race』のジャーナリスト、エド・ストローは「角田に非がある」と論じている。

「ターン2への進入で反撃に出たローソンに幅寄せした結果、行き場を失ったローソンと接触し、大きなダメージを負った。自ら招いた損傷が、それまで不安定ながらも前進していた流れを帳消しにした」と指摘し、角田のレースマネジメントに疑問を呈した。

レッドブル首脳の評価と課題

厳しい評価が寄せられる一方、レッドブル首脳陣は、角田の1ラップペースについては一定の評価を与えており、来季残留に向けた主な鍵はレースペースとされている。ただ、今回の接触によりその判断材料は失われた。

イギリスの専門メディア『Motorsport Week』によると、チーム代表のローラン・メキーズは角田の評価基準について「新人と同じだ。予選ペースとレースペース、それだけだ」と述べ、課題はレースペースにあると強調した。その上で「今日から何かを得るのは難しい」と語り、次のように続けた。

「第1スティントではトラフィックに阻まれ、第2スティントではマシンダメージに見舞われたからだ。振り返ると、ここ数戦も似たような傾向だ。ユーキに関して言えば、予選ペースよりもレースペースに取り組むべき課題が多いのは確かだと思う」

また、予選Q2までフェルスタッペンに接近し、最終的にQ3進出を果たした点を「大きな成果」と評価。「ショートランのペースは良いサンプルが取れたが、ロングランペースについては、クリーンなデータが取れなかったのが残念だ」と語った。

不平等な条件と残されたチャンス

角田自身は、フェルスタッペンだけが最新仕様のフロアを搭載していたことが差を広げた要因だと認めている。だが、次戦アゼルバイジャンGPでは両車に同仕様が投入される見通しであり、角田にとっては巻き返しの好機となる一方、言い訳が許されない状況に立たされることになる。

予選での改善が見られる一方、決勝で結果を欠いた角田。ヘルムート・マルコは10月末までに来季のドライバーラインナップを決定する意向を示唆しており、角田は残り4戦で自身の価値を証明しなければならない可能性が高い。

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