現代美術作家のアンドレア・サラがデザインした2024年のF1イタリアGPのトロフィー
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

謎めいた抽象形態が印象的な「ブルーーゥン」と名付けられたF1イタリアGPのトロフィー

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モンツァ・サーキットで行われる2024年のF1イタリアGPでトップ3フィニッシャーと優勝チームに贈られるトロフィーに与えられたのは、「ブルーーゥン(VROOOM)」という名前だった。

英語の「vroom」は高回転するエンジンやモーターの音を表す擬音語で、スピードやエネルギー、そして動きを想起させる言葉だ。

モンツァ・サーキットは「スピードの神殿」とも呼ばれる屈指の高速コースで、その名に相応しく、2020年のイタリアGPではルイス・ハミルトンがF1史上最速の予選平均速度264.362km/hを記録。また、2003年にはミハエル・シューマッハが史上最速のレース平均速度247.586km/hを打ち立てた。

トロフィーは、ピレリとミラノにある現代美術ギャラリー、ピレリ・アンガル・ビコッカが、イタリアのデザインと工業生産の歴史との関係を探求し続けている現代美術作家のアンドレア・サラに委託して生まれた。

サラがデザインした「VROOOM」は、曰く、ピレリの歴史と、「スピード」と「加速」のイメージを組み合わせたもので、加速時のGによって変形したタイヤが分裂・増殖していくかのような抽象的なフォルムが印象的だ。

トロフィーのメイン部分はバルクロマット(全体が着色されたMDF)製で、台座はクロムメッキが施されたアルミで作られている。

現代美術作家のアンドレア・サラがデザインした2024年のF1イタリアGPのトロフィーの細部Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

現代美術作家のアンドレア・サラがデザインした2024年のF1イタリアGPのトロフィーの細部

VROOOMについてサラは「アイデアとコンセプトはピレリを様々な観点から探索する過程を通して生まれた。タイヤの世界について深く知るために、R&D部門から生産プロセスまで、天然ゴムからタイヤの構造に使用される材料までを探り、ピレリ財団のアーカイブも調査した」と説明する。

「VROOOMという名前は、私が子供の頃から抱いていたF1のイメージ、つまりスタート、グリッドに並ぶマシン、シグナルが消えた後の最初のコーナーまでのスプリントを上手く表している。このトロフィーは、そうした瞬間、つまり全ての始まりとスプリント、そしてスピードを彫刻で表現したものだ」

2024年のF1イタリアGPのトロフィーをデザインした現代美術作家のアンドレア・サラCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2024年のF1イタリアGPのトロフィーをデザインした現代美術作家のアンドレア・サラ

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