メルセデス、一連の裁定への鬱憤爆発「団結力は更に高まった」と皮肉るトト・ウォルフ
メルセデスAMGペトロナスF1チームのトト・ウォルフ代表は、F1サンパウロGPの週末に下されたFIA側の一連の裁定・判断に大いに不満を持っており「おかげで団結力は更に高まった」と皮肉を口にした。
メルセデスはインテルラゴスでの71周のレースで信じ難い大逆転のダブルポディウムを獲得した。ルイス・ハミルトンは金曜の予選での失格を乗り越え、10番グリッドからキャリア通算101回目の優勝を果たした。また、ポールポジションからスタートしたバルテリ・ボッタスはキャリア通算66回目となる3位表彰台を獲得した。
ハミルトンはドライバーズ選手権でのマックス・フェルスタッペン(332.5点)に対するポイント差を14点に縮めた。コンストラクターズ選手権ではレッドブル・ホンダ(510.5点)に対するギャップを11点差に拡大した。
レースを振り返ったトト・ウォルフ代表は「一体、何て素晴らしい週末だったんだ」と語った。
「自業自得のエンジンペナルティから始まり、昨日は厳しい失格処分を受け、今日のレースでも様々な逆境に立たされてしまった。このチームは常に団結してきたが、こういった裁定によって団結力は一層深まった」
「 あらゆる物事が自分たちに不利に働いたと感じられるような状況だった。ルイスがこれまでの人生を通してずっと感じてきたのはこういう事なのだろうと思う。今、我々はそれをチームとして共に感じながら戦い抜いていこうという感情に溢れている」
「昨日のルイスは、これまでに見たことのないような最高のドライブを見せてくれた。今週末にどれだけの数のオーバーテイクを決めたのか分からないが、ルイスは縦横無尽に交わし続けた」
「そして今日も彼のドライビングは完璧だった。マックスはターン4で彼をコース外に追いやったが、ルイスは巧妙に接触を避けた。ルイスが素晴らしいドライバーである事を改めて再確認できた事は良かったが、5秒ペナルティを出さなかったのはどういうつもりなんだ!」
48周目、ハミルトンがターン4に向けてアウト側から仕掛けたところ、イン側にいたフェルスタッペンが一瞬ブレーキングを遅らせ、両者はそのままブラジル国旗カラーのペイントが施されたランオフエリアに出ていった。
このインシデントはスチュワードによって記録されたものの、検討の後に調査の必要はないと判断された。フェルスタッペンの車載カメラは後方を向いていたため、検討に際して使われた映像証拠は、ヘリコプターの空撮映像とハミルトンの車載カメラのみだった。
調査に至らなかったため、スチュワードが進入速度やブレーキングポイント、ステアリング操作といったフェルスタッペンのテレメトリーデータを確認する事もなかった。 ウォルフは調査すら行わなかったスチュワードの決定を「笑える」と非難した。
そんな一件の6周後に同じ場所でハミルトンがフェルスタッペンをオーバーテイクした際、トト・ウォルフはテレビカメラに向かって以下のジェスチャーを飛ばした。FIAレースディレクターを務めるマイケル・マシに宛てたものだと認めた。
「一方のバルテリはチームのために重要なポイントを獲得してくれた」とトト・ウォルフは続ける。
「彼のドライビングは週末を通じてトップクラスだった。昨日のスプリントでの勝利に続いて、今日は非常に強い表彰台を獲得した」
「先週のメキシコでは我々が負けてしまったが、今週は我々の方がより速いパッケージを用意する事ができた。今シーズンは状況が一変し続けている。来週のカタールではレッドブルが非常に力強いパフォーマンスを発揮する可能性があり、同時にそうなるだろうとも予想されている。強い方が勝つ事になるだろう。先週は彼らで、今週は我々だった。最後まで戦い抜くつもりだ」
11月14日(日)にインテルラゴス・サーキットで行われた2021年F1第19戦サンパウログランプリ決勝レースでは、10番グリッドからスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデス)が大逆転勝利を飾った。2位はマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、3位表彰台にはバルテリ・ボッタス(メルセデス)が滑り込んだ。
ロサイル・インターナショナル・サーキットを舞台とする次戦F1カタールGPは11月19日のフリー走行1で幕を開ける。