ピエール・ワシェ
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レッドブルF1、打倒メルセデスに向けて技術部門の人事異動を実施

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メルセデスの5年連続ダブルタイトルの野望を打ち砕くべく、アストンマーチン・レッドブル・レーシング(Aston Martin Red Bull Racing)は組織変更を行い、技術部門に新たな役職「テクニカル・ディレクター」を新設、同職にピエール・ワシェを起用した。

空力の鬼才エイドリアン・ニューウェイは、引き続き同チームのチーフ・テクニカル・オフィサー(CTO)として重要な役割を果たしていく。ニューウェイはマクラーレン、ウィリアムズといったトップチームを渡り歩き、数々のタイトルを総なめにしてきた。彼のデザインしたマシンなくしてセバスチャン・ベッテルの4連覇はなかっただろう。

だがニューウェイは現在、アストン・マーティンのロードカー・プロジェクト「ヴァルキリー」の仕事も抱えており、F1とハイパーカーの2つの仕事に100%を投じる事が難しい状況となっている。ワシェには「ヴァルキリー」に時間を割くニューウェイの穴を埋める事が求められている。

2014年のハイブリッドターボ導入以降、F1では空力の仕事の成果以上にエンジンパワーがレース結果を大きく左右するようになった。ニューウェイはこの時期以降、F1でのプロジェクトから距離を置き、他の魅力的な仕事に時間を割くようになった。

ニューウェイがあまり多く関与しなかった昨年のRB13は、チームが期待していたような成績を残せず、フェラーリやメルセデスといったライバルに大きく遅れを取ってしまった。そのため、レッドブルはニューウェイを最前線に呼び戻し再建を目指していた。

ピエール・ワシェは流体力学の博士号を取得した後、2001年にミシュランに入社。プロジェクトリーダーとしてタイヤ開発に従事した後、同社のF1撤退に合わせて2007年にBMWザウバーに移籍。2013年からはレッドブルのパフォーマンス・チーフエンジニアを務め、今季マシンRB14の開発では、設計とオントラック・パフォーマンスを担当している。

チーフ・エンジニアリング・オフィサーのロブ・マーシャル、空力部門責任者のダン・ファロウズ、チーフエンジニアのポール・モナハンといった他のシニアメンバーの異動は行われず、現在の職を引き続き担っていく。