
アストンマーチンF1、2026年候補にラッセルか―メルセデスへの忠誠表明も英報道
アストンマーチンが2026年に向けて、ジョージ・ラッセル(メルセデス)の起用を検討している可能性が浮上した。2025年F1第10戦カナダGPでの見事なポール・トゥ・ウィンを経て、英専門誌『Autosport』が有力筋の情報として報じた。
エンジンと車体の双方が刷新される2026年の新レギュレーション時代より、ホンダのワークスチームとなるアストンは、史上最も卓越したF1デザイナーと評されるエイドリアン・ニューウェイを招聘するなど、タイトル獲得に向けてチーム体制の大幅な強化に着手している。
同チームはすでにフェルナンド・アロンソとの契約を2026年末まで延長しており、また、ランス・ストロールについても、昨年6月に少なくとも2026年末まで在籍することが発表されている。
ただし、チームオーナーの息子であるストロールの契約は実質的に年次更新であり、ラインナップ再編の余地が残されているとの見方もある。
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
アストンマーチンF1チームのオーナーであるローレンス・ストロールとフェルナンド・アロンソ、2025年6月13日F1カナダGP
そんな中、ラッセルは2025年シーズン末でメルセデスとの現行契約が満了を迎えるが、依然として新契約の署名には至っていない。カナダGPでのレース後、今回の勝利が契約交渉に与える影響について問われたラッセルは、次のように語った。
「もちろん、マイナスにはならない。でも、来年のことについて全く心配していない。来年もグリッドに立つ自信があるし、今がキャリアで最も充実していると感じてる。まだまだ成長できるし、チャンピオンを争う準備はできているつもりだ」
「今日みたいにチャンスが少しでもあれば、それをモノにできる。今はとにかく、リラックスしてレースを楽しみ、毎週末、取り組んでいるんだ」
また、他チームとの交渉については、「いや、他の誰とも話してないし、関心を示してきたチームがあっても、僕はずっとメルセデスに残るつもりだってオープンに言ってきた。それは最初からはっきりしてる」と答えた。
さらに、「僕はメルセデスに忠誠を誓ってる。F1に上がるチャンスをくれたのはメルセデスなんだから」と述べ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)を巡る一連の移籍報道とも距離を置く姿勢を示した。
「いろんな噂が出てるけど、それで気まずくなったことはないよ。特にマックスについては、何度も言ってるけど、彼に興味を持たないチームなんて存在しない。もし全員が契約を失ったとしたら、マックスがすべてのチームの第一候補になるはずだよ」
「でも、どのチームにもシートは2つしかないし、自分が今のようなパフォーマンスを続けられれば、ポジションが脅かされるとは思ってない。だから、焦って契約交渉を進めるつもりもないんだ」
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.
表彰台の上でガッツポーズを取る優勝者ジョージ・ラッセル(メルセデス)、2025年6月15日(日) F1カナダGP決勝(ジル・ビルヌーブ・サーキット)
一方、メルセデスのチーム代表であるトト・ウォルフも、ラッセルとの契約延長に前向きな姿勢を示しており、「新契約の発表は時間の問題」との見方が支配的だ。
しかしながら、フェルスタッペン引き抜きの噂を含め、アストンによる積極的な動きは、一見すると確定的に見える現行ラインナップにも変化の可能性があることを示唆しており、その意味で興味深いものといえる。
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
ジル・ビルヌーブ・サーキットのパドックを並んで歩くランス・ストロール(アストンマーチン)とルイス・ハミルトン(フェラーリ)、2025年6月13日F1カナダGP