F1ベルギーGP 決勝直前情報: 波乱必至―タイヤ戦略考と天気、スターティンググリッド

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日本時間7月27日(日)22時にスタートを迎える2025年F1第13戦ベルギーGP。ここでは、スターティング・グリッド、予選結果からの変動、そして予想されるタイヤ戦略や気象条件についてまとめる。

スターティンググリッド & 見所

現時点でグリッド降格ペナルティを科された者はなく、予選順位通りに各車、グリッドに着く見通しだが、2日連続のQ1敗退を喫して18番手に沈んだアンドレア・キミ・アントネッリは、パルクフェルメ下でセットアップを変更し、ピットレーンスタートを選択する可能性がある。

今週末は、オスカー・ピアストリがスプリント予選で支配的な走りを見せた一方、ランド・ノリスが本戦予選で逆転。今季4度目のポールポジションを獲得する展開となった。

決勝ではこの2人がフロントローを独占。スプリントを制したマックス・フェルスタッペンは4番手スタートに甘んじることとなった。フェルスタッペンはピアストリのスリップストリームを利用してスプリントで首位に立ったが、今回はマクラーレン勢との間にシャルル・ルクレールを挟む並びとなっている。

予選後の撮影に臨む3番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)、ポールポジションのランド・ノリス(マクラーレン)、2番手オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、2025年7月26日F1ベルギーGP(スパ・フランコルシャン)Courtesy Of McLaren

予選後の撮影に臨む3番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)、ポールポジションのランド・ノリス(マクラーレン)、2番手オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、2025年7月26日F1ベルギーGP(スパ・フランコルシャン)

角田裕毅は、新型フロアとローラン・メキーズの存在に後押しされ、レッドブル移籍後最上位となる7番グリッドを持ち帰った。44周のレースを通して、未だ全てを理解したとは到底言い難い改良型RB21への理解を深め、更なる前進を果たせるか、注目される。

予選最大の注目株は、5番グリッドを獲得したアレックス・アルボンだが、レーシング・ブルズ勢も2台揃ってトップ10入りを果たしており、さらにはガブリエル・ボルトレートも入賞圏内からスタートと、中団勢による”サプライズ”にも期待がかかる。

以下は暫定スターティンググリッド。正式版との差異が発生した場合は更新される。なお、各ドライバーの予選結果からの変動も併せて記載する。

Pos No Driver Team Qualifying
1 4 L.ノリス マクラーレン・メルセデス 1(-)
2 81 O.ピアストリ マクラーレン・メルセデス 2(-)
3 16 C.ルクレール フェラーリ 3(-)
4 1 M.フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 4(-)
5 23 A.アルボン ウィリアムズ・メルセデス 5(-)
6 63 G.ラッセル メルセデス 6(-)
7 22 角田裕毅 レッドブル・ホンダRBPT 7(-)
8 6 I.ハジャー レーシングブルズ・ホンダRBPT 8(-)
9 30 L.ローソン レーシングブルズ・ホンダRBPT 9(-)
10 5 G.ボルトレート ザウバー・フェラーリ 10(-)
11 31 E.オコン ハース・フェラーリ 11(-)
12 87 O.ベアマン ハース・フェラーリ 12(-)
13 10 P.ガスリー アルピーヌ・ルノー 13(-)
14 27 N.ヒュルケンベルグ ザウバー・フェラーリ 14(-)
15 55 C.サインツ ウィリアムズ・メルセデス 15(-)
16 44 L.ハミルトン フェラーリ 16(-)
17 43 F.コラピント アルピーヌ・ルノー 17(-)
18 12 A.K.アントネッリ メルセデス 18(-)
19 14 F.アロンソ アストンマーチン・メルセデス 19(-)
20 18 L.ストロール アストンマーチン・メルセデス 20(-)

レースの模様はDAZNフジテレビNEXTで完全生配信・生中継される。

タイヤ戦略:多様な選択肢

15周で争われたスプリントレースでは、デグラデーションは見られたものの、グレイニングは発生せず、大半のドライバーがミディアムタイヤ1セットでノンストップフィニッシュを果たした。そして、昨年は2ストップ戦略が主流となり、トップ3フィニッシャーは「ミディアム→ハード→ハード」の組み合わせを選択した。

ミディアムタイヤを以てピットボックスに向かうアストンマーチンのピットクルー、2025年F1ベルギーGPCourtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

ミディアムタイヤを以てピットボックスに向かうアストンマーチンのピットクルー、2025年F1ベルギーGP

ピレリのレースシミュレーションによれば、本大会では「ソフト→ミディアム→ミディアム」の2ストップが理論上の最速とされ、1回目のストップは12〜18周目、2回目は25〜31周目が最適とされている。

だが、1ストップ戦略とのタイム差はわずか「数秒」程度と推計されており、実際のレースでは路面温度や走行環境、セットアップの特性、他車の動向によって戦略の幅が大きく広がることが予想される。

とりわけ気温が下がればデグラデーションが抑えられ、1ストップ勢の優位性が高まるため、雨の有無にかかわらず、天候は戦略判断に直結する重要なファクターとなる。

ルイス・ハミルトン、カルロス・サインツ、アンドレア・キミ・アントネッリといった、マシン本来のパフォーマンスを予選で発揮できなかった後方勢は、状況変化に柔軟に対応できるよう「ミディアム→ハードの1ストップ」を選択してポジションアップを狙ってくる可能性もありそうだ。

スプリントでガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)をリードするアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)、2025年7月26日(土) F1ベルギーGP(スパ・フランコルシャン)Courtesy Of Sauber Motorsport AG

スプリントでガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)をリードするアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)、2025年7月26日(土) F1ベルギーGP(スパ・フランコルシャン)

気になる天気:スパ・ウェザー必至

先にタイヤ戦略についてまとめたが、本来であればまず考慮すべきは天気だ。決勝スタート時刻である現地時間15時の予報は「晴れ時々雷雨」。典型的な“スパ・ウェザー”が見込まれており、不安定な空模様はレース終了後も続く見通しだ。

降水確率は、スタート時点で60%。その1時間後には70%に達し、レース終了が見込まれる2時間後にはいったん50%まで低下するものの、その後は再び80%まで上昇する見込みとなっている。つまり、レースのどこかのタイミングで雨に見舞われる可能性は極めて高い。

仮にレース中に降雨がなかったとしても、スタート前に雨が降れば、路面に蓄積されたラバーはすべて洗い流され、グリップレベルは事実上リセットされる。結果として、タイヤの立ち上がり特性やライフに大きな影響を及ぼすことになる。

なお、現地時間日曜午前8時時点で、スパでは雨が降り続いている。つまり、路面はすでにリセットされたということだ。刻々と変わる読めない天候と路面状況――2025年ベルギーGPは、波乱の幕開けを迎えようとしている。

スプリント開始直前に大雨が降り注いだスパ・フランコルシャンのグリッド、2023年7月29日F1ベルギーGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

スプリント開始直前に大雨が降り注いだスパ・フランコルシャンのグリッド、2023年7月29日F1ベルギーGP

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