スクーデリア・フェラーリの新しいチーム代表に就任したマッティア・ビノット
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フェラーリ正式発表、F1チーム代表にマッティア・ビノットを起用…不安定な組織体制

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スクーデリア・フェラーリはイタリア現地1月7日、4年間に渡ってF1チームを率いてきたマウリツィオ・アリバベーネを更迭し、後任としてマッティア・ビノットを昇格させた事を正式に発表した。

声明を通してフェラーリは「マウリツィオ・アリバベーネがチームを去る事になった。彼は4年間に渡り、チームに対してゆるぎないコミットメントと献身ぶりを示してくれた」と述べ、その貢献に感謝の意を表すと共に、新天地での活躍を祈った。

今回の異動の決定は、アリバベーネ個人とチーム双方の長期的な利益を勘案しての結果であり、フェラーリ上層部を交えて長い議論の末に下されたものだと発表された。

2019シーズンの新車発表をひと月後に控えた時期のトップ人事交代は、今のフェラーリの組織体制が如何に不安定かを象徴している。マラネロのチームは過去5年間でステファノ・ドメニカリ、マルコ・マティアッチ、マウリツィオ・アリバベーネ、そしてマッティア・ビノットと、4度もの代表交代劇を演じる事となった。

フェラーリは過去二年に渡りタイトル獲得に近づいていたものの、ハイブリッド・ターボ時代のF1を席巻するメルセデスAMGの前にまたも敗れ去った。アリバベーネの去就については過去に幾度となく噂されていたものの、イタリアメディアは昨秋、契約延長が決定したと報道。それだけに、今回の離脱発表は一部にとって驚きを以って受け止められている。

ビノットは1995年にテストエンジン・エンジニアとしてスクーデリア・フェラーリに入社。2004年にレースエンジン・エンジニアに昇格し、ミハエル・シューマッハ栄光の時代を影で支えた。2009年にはエンジン部門とKERS部門を率いる立場となり、2013年以降は1.6リッターV6ハイブリッド・ターボの開発を主導してきた。

その後、メルセデスへ移籍したジェームズ・アリソンの後任として、2016年にフェラーリF1チームの最高技術責任者に就任。過去2シーズンの跳ね馬躍進の立役者の一人としてパドックで高く評価されている。

ビノットの後任として誰が技術部門を率いるのかは明らかにされていないが、声明文によれば、当面はビノットがチーム代表とテクニカル・チーフを兼務するようだ。

フェラーリは昨年末を以てベテランのキミ・ライコネンを放出し、育成傘下の21歳シャルル・ルクレールを4度のF1ワールドチャンピオンであるセバスチャン・ベッテルのチームメイトに起用。マネジメントだけでなく、ドライバーラインナップにも変更を加えている。

フェラーリの2019年型F1マシンは、2月15日にイタリアでお披露目される予定となっており、マッティア・ビノットはジャン・トッド時代の2007年以来となるドライバーチャンピオン奪還を目指す事になる。