タイヤとホイールを洗浄するピレリのスタッフ、2022年5月6日F1マイアミGP
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F1日本GPでのFP2延長タイヤテスト、2023年スペック開発だけではないもう一つの理由

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三重県鈴鹿サーキットで10月7日 (金)に開催されるF1日本GPの2回目のフリー走行は、通常とは異なり60分ではなく90分間で行われる見通しだ。延長されたのは2023年仕様のタイヤテストのためだが、そればかりが理由ではない。

まだフィックスしてはいないようだが、ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラによると、今回のテストはベルトやビードワイヤーなどの内部構造に焦点を当てたものではなく、トレッド部に使用されるゴム部分の検証を目的としたものになるという。

18インチピレリタイヤ、ヤス・マリーナ・サーキットで2021年12月15日に行われたF1アブダビテストにて (1)Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

18インチピレリタイヤ、ヤス・マリーナ・サーキットで2021年12月15日に行われたF1アブダビテストにて

「計画では主にコンパウンドをテストする事になっている。60分ではなく90分に延長されたFP2でこれを行う」とイゾラは語った。

「20台全てのクルマが異なるプランに基づき走行する。いつものようにチーム側は、自分達が何のテストをしているのかを知る事はできない」

「我々はチームに対し、通常のFP2と似たような走行距離に基づくラン・プランを提供する予定だ。先に述べた通り、チームはブラインド・プロトタイプ(コンパウンドが分からないように配慮された)で同一周回数を走行する」

来季スペックのプロトタイプタイヤのテストは珍しい事ではないものの、通常はレースウィーク終了後の平日に別途、そのための時間が設けられる。

今回、日本GP及びアメリカGPのFP2を延長してテスト機会が設けられたのは、史上最多となる24戦が計画されている来季カレンダーを見据えての事だった。

未公開の暫定カレンダー初版では、トリプルヘッダーが2回、ダブルヘッダーが6回と来季は超過密日程で、今年でさえテスト日程の確保に苦労していただけに、ピレリとF1は発想の転換を強いられた。

「新たにテストの機会を見つけなければならないという点で、今回のケースは我々にとって非常に重要な機会となる」とイゾラは説明する。

「来年は24レースが開催されるため、テストの場を確保するのは殆ど不可能に近い」

「(テスト開催が容易な)ヨーロッパラウンドは例年よりも短く、レース後の火曜と水曜に現地に留まるのは難しい。故に新しい機会を見つけなければならない状況だ」

「この点に関してチームは非常に協力的で、一つの解決策はフリー走行中にテストを行うというものだった」

インタビューに応じるピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラ、2022年6月11日F1アゼルバイジャンGPにてCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

インタビューに応じるピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラ、2022年6月11日F1アゼルバイジャンGPにて

「それがチャンピオンシップを争う立場にあるチームにとって多大な労力を要するものである事は理解している。彼らは1つのセッションを失うことになるわけだ」

「だが我々にとって、今シーズンよりも更に優れたプロダクトを来年に向けて用意することは非常に重要だ」

「現在のプロダクトには満足しているが、チームは開発を通してマシンパフォーマンスを向上させている」

「アンダーステアを少し抑える必要があるし、幾つかのコンパウンドを微調整する必要がある」

「そして、より素晴らしい選手権争いを実現させるために我々が進んでいる方向性が正しい事をコース上で最終検証しなければならない」

「我々はチームと協力して、彼らの週末をあまり混乱させないような形でテストのための新たな可能性を見つけ出すための解決策を見つけようと取り組んでいる」

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