
ルクレール、”早とちり”して無線で激怒「撤回したい」ハンガリー優勝逸の真因を明かす
2025年F1第14戦ハンガリーGPで今季初のポールポジションを獲得したシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、レース中に無線でチームに対する強い苛立ちをぶつけたが、レース後に発言を撤回。釈明した。
無線での怒り「僕の話を聞かなかった」
フェラーリにとって、そして自身にとっての今季初優勝に向け、第1スティントを「完璧」にこなしたまでは良かったが、第2スティント中盤以降、ルクレールは次第に無線を通じて不満を口にし始めた。
「レース前に話し合っていたけどさ…やるなら、もっと議論すべきだったんだよ。こういうやり方をするからレースを失んだ。タイムのロスがあまりに大きい」
無線内容は他チームにも公開されているため、ルクレールはその詳細には触れなかったが、語気には明らかな不満が滲んでいた。そして2回目のピットストップを終えた後、ついに怒りが爆発した。
「ホント、信じられないくらいムカつくんだけど。競争力を完全に失った。僕の話をちゃんと聞くべきだった。僕だったら、これらの問題に別の方法で対処できたはずなのに。今はもう運転できたものじゃない。表彰台に上がれたら奇跡だ」
ルクレールの不安は的中。ルクレールはレース終盤に向けて急激なペースダウンに見舞われ、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、ジョージ・ラッセル(メルセデス)にオーバーテイクを許し、4位でフィニッシュすることとなった。
Courtesy Of Ferrari S.p.A.
決勝でフェラーリSF-25をドライブするシャルル・ルクレール、2025年8月3日(日) F1ハンガリーGP(ハンガロリンク)
レース後に一転「シャシーの問題だった」
英専門誌『Autosport』によるとルクレールはレース後、一転して無線での発言を撤回し、ペース低下の原因が自身の想定と異なり、「シャシー関連の問題」だったことが明らかになったと釈明した。
「まず最初に、無線で言ったことを撤回したい。あの時は一つの要因だと思い込んでいたけど、クルマから降りて詳細を聞いたら、実際はシャシーに関連する問題だった」
問題の具体的な内容には触れなかったが、ルクレールによれば40周目あたりから異変が生じ、以降は周回を重ねるごとに悪化。終盤には「1周あたり2秒近く遅くなり、クルマはほとんどドライブ不可能だった」と振り返った。
チーム代表のフレデリック・バスールによれば、この問題は深刻な結果をもたらす可能性もあった。「正直、シャルルが完走できるかどうかすら疑わしい瞬間もあった」とバスールは明かした。
なお、結果への影響はなかったが、ラッセルとの表彰台争い最中に見せたブレーキング中の2度の進路変更が「不規則なドライビング」と判定され、ルクレールは5秒ペナルティを受けた。
これについてルクレールは「自分でも限界ギリギリだと分かっていた」とした上で、「でも、ジョージが無線でかなり声高に主張したのは想像できる。いつものことだからね」と、皮肉を込めて語った。
「今季唯一のチャンス」を逃した悔しさ
ルクレールは、今回のハンガリーGPを「1シーズンの中で勝てるチャンスがあった唯一の週末」と位置付け、「前向きな要素が一つもなかった」と語り、この機会を活かせなかったことへの悔しさをあらわにした。
「今回の問題は例外的なものだけど、こんなの二度と起きるべきじゃない。未だに酷い失望から立ち直れない。第1スティントは完璧だったし、第2スティント序盤の数ラップもすごく良かった。レースに勝てるペースがあった。にもかかわらず、シャシーの問題で最終スティントは完全に台無しになってしまった」
Courtesy Of Ferrari S.p.A.
フォーメーションラップに向けてクルマに乗り込むシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2025年8月3日(日) F1ハンガリーGP(ハンガロリンク)
2025年F1第14戦ハンガリーGPでは、3番グリッドからスタートしたランド・ノリス(マクラーレン)が今季5勝目を達成。2位にチームメイトのオスカー・ピアストリ、3位表彰台にジョージ・ラッセル(メルセデス)が続く結果となった。
F1サーカスはこの後、サマーブレイクを迎える。ザントフォールト・サーキットを舞台とする次戦オランダGPは、8月29日のフリー走行1で幕を開ける。