決勝レースを前にグリッド上で準備をするシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2025年8月3日(日) F1ハンガリーGP(ハンガロリンク)
Courtesy Of Ferrari S.p.A.

ルクレール、”早とちり”して無線で激怒「撤回したい」ハンガリー優勝逸の真因を明かす

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2025年F1第14戦ハンガリーGPで今季初のポールポジションを獲得したシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、レース中に無線でチームに対する強い苛立ちをぶつけたが、レース後に発言を撤回。釈明した。

無線での怒り「僕の話を聞かなかった」

フェラーリにとって、そして自身にとっての今季初優勝に向け、第1スティントを「完璧」にこなしたまでは良かったが、第2スティント中盤以降、ルクレールは次第に無線を通じて不満を口にし始めた。

「レース前に話し合っていたけどさ…やるなら、もっと議論すべきだったんだよ。こういうやり方をするからレースを失んだ。タイムのロスがあまりに大きい」

無線内容は他チームにも公開されているため、ルクレールはその詳細には触れなかったが、語気には明らかな不満が滲んでいた。そして2回目のピットストップを終えた後、ついに怒りが爆発した。

「ホント、信じられないくらいムカつくんだけど。競争力を完全に失った。僕の話をちゃんと聞くべきだった。僕だったら、これらの問題に別の方法で対処できたはずなのに。今はもう運転できたものじゃない。表彰台に上がれたら奇跡だ」

ルクレールの不安は的中。ルクレールはレース終盤に向けて急激なペースダウンに見舞われ、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、ジョージ・ラッセル(メルセデス)にオーバーテイクを許し、4位でフィニッシュすることとなった。

決勝でフェラーリSF-25をドライブするシャルル・ルクレール、2025年8月3日(日) F1ハンガリーGP(ハンガロリンク)Courtesy Of Ferrari S.p.A.

決勝でフェラーリSF-25をドライブするシャルル・ルクレール、2025年8月3日(日) F1ハンガリーGP(ハンガロリンク)

レース後に一転「シャシーの問題だった」

英専門誌『Autosport』によるとルクレールはレース後、一転して無線での発言を撤回し、ペース低下の原因が自身の想定と異なり、「シャシー関連の問題」だったことが明らかになったと釈明した。

「まず最初に、無線で言ったことを撤回したい。あの時は一つの要因だと思い込んでいたけど、クルマから降りて詳細を聞いたら、実際はシャシーに関連する問題だった」

問題の具体的な内容には触れなかったが、ルクレールによれば40周目あたりから異変が生じ、以降は周回を重ねるごとに悪化。終盤には「1周あたり2秒近く遅くなり、クルマはほとんどドライブ不可能だった」と振り返った。

チーム代表のフレデリック・バスールによれば、この問題は深刻な結果をもたらす可能性もあった。「正直、シャルルが完走できるかどうかすら疑わしい瞬間もあった」とバスールは明かした。

なお、結果への影響はなかったが、ラッセルとの表彰台争い最中に見せたブレーキング中の2度の進路変更が「不規則なドライビング」と判定され、ルクレールは5秒ペナルティを受けた

これについてルクレールは「自分でも限界ギリギリだと分かっていた」とした上で、「でも、ジョージが無線でかなり声高に主張したのは想像できる。いつものことだからね」と、皮肉を込めて語った。

「今季唯一のチャンス」を逃した悔しさ

ルクレールは、今回のハンガリーGPを「1シーズンの中で勝てるチャンスがあった唯一の週末」と位置付け、「前向きな要素が一つもなかった」と語り、この機会を活かせなかったことへの悔しさをあらわにした。

「今回の問題は例外的なものだけど、こんなの二度と起きるべきじゃない。未だに酷い失望から立ち直れない。第1スティントは完璧だったし、第2スティント序盤の数ラップもすごく良かった。レースに勝てるペースがあった。にもかかわらず、シャシーの問題で最終スティントは完全に台無しになってしまった」

フォーメーションラップに向けてクルマに乗り込むシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2025年8月3日(日) F1ハンガリーGP(ハンガロリンク)Courtesy Of Ferrari S.p.A.

フォーメーションラップに向けてクルマに乗り込むシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2025年8月3日(日) F1ハンガリーGP(ハンガロリンク)


2025年F1第14戦ハンガリーGPでは、3番グリッドからスタートしたランド・ノリス(マクラーレン)が今季5勝目を達成。2位にチームメイトのオスカー・ピアストリ、3位表彰台にジョージ・ラッセル(メルセデス)が続く結果となった。

F1サーカスはこの後、サマーブレイクを迎える。ザントフォールト・サーキットを舞台とする次戦オランダGPは、8月29日のフリー走行1で幕を開ける。

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