F1無料配信:感極まるアロンソ、シューマッハ 6年ぶりの表彰台… 2012年ヨーロッパGP
F1は、2012年シーズンの第8戦としてバレンシア市街地コースで開催されたF1ヨーロッパGPを、5月16日(土)協定世界時14時、日本時間23時から公式サイトやFacebook、YouTubeチャンネルを通して無料でストリーミング配信する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の影響でレースの開催中止を強いられる中、F1はモータースポーツファンに向けて70年の歴史の中でも特に名勝負と高く評価されるレースを無料配信している。今回はフェルナンド・アロンソが表彰台の上で感極まった2012年のヨーロッパグランプリだ。
© Ferrari S.p.A.
スペイン出身の2度のF1ワールドチャンピオンは、キャリア通算32勝を挙げてF1歴代優勝者リストの6位につけている。その32勝の中でアロンソが最も気に入っているレースの1つが2012年のヨーロッパGPだろう。
当時フェラーリに在籍していたアロンソはシーズン中盤へと差し掛かるバレンシアでランキング2位(86点)に付け、ルイス・ハミルトン(マクラーレン、88点)、セバスチャン・ベッテル(レッドブル、85点)らとの激しいタイトル争いの渦中にいた。
シャルル・ルクレールに居場所を奪われスクーデリアを去る事となった今とは隔世の感があるが、2012年のベッテルは支配的な強さを示していた。予選ではそれを証明するように自身通算33回目のポールポジションを獲得。ジム・クラーク、アラン・プロストと並び歴代3位タイに付けた。一方のアロンソは辛うじてミハエル・シューマッハ(メルセデス)を抑えるも、Q2敗退の11番手に終わった。
暑く厳しいコンディションの中で行われた57周のレースでは、上位を争っていたハミルトンやベッテル、ロマン・グロージャンが中盤から終盤にかけて接触やオルタネーターのトラブルでリタイヤを強いられ、小林可夢偉やジャン=エリック・ベルニュが接触により途中でマシンを降りるなど、混乱が多発するレースとなった。
当時のスペインは、リーマン・ショックに端を発する長引く不況によって深刻な経済危機にさらされていた。国民の5人に1人が仕事を失い、16~24歳までの若年層に限っての失業率は50%を超えていた。アロンソの勝利は、この年のUEFA欧州選手権でのスペイン代表チームの躍進、そしてヨーロッパGPの2週間前に行われた全仏オープンでのラファエル・ナダルの優勝と合わせて、スペイン国民に勇気と希望を与えるものだった。
母国グランプリを制してレース後の記者会見に臨んだアロンソは「スペインは今、困難な時期を迎えている。サッカー代表チームやナダルの活躍と同じように、この勝利が人々に笑顔を与えてくれると信じている。このスポーツにとっても素晴らしいことだ」と語った。
2006年中国GP以来となるシューマッハの表彰台獲得によって、このレースのステータスを更に高めることになった。皇帝はレース後「今日は表彰台に上がれるなんて全く思ってなかった。なんて素晴らしい結果なんだろう。遂にここまで来た…自分たちの仕事に疑いを持ち始めたチームのみんなにとって、今日のポディウムは最高の答えを与えてくれたと思う」と語った。