あのメルセデスが信頼性不足でダブルDNF「キャリア最悪の週末」とハミルトン
第9戦F1オーストリア決勝レースの最大の驚きは、圧倒的な信頼性を示し続けてきたメルセデスのダブルリタイヤだった。最前列を独占したシルバーアローの2台は、レーシングアクシデントではなくマシンの技術的な不具合によってレースを終える事となった。
ポールシッターのバルテリ・ボッタスは2番手を走行していた14周目、油圧を失い走行不能に陥った。2番グリッドのルイス・ハミルトンは4番手を走行していた63周目、前を行くフェラーリを追い回していたところ突如燃圧を失い失速。F1史上最長の33戦連続入賞の記録が途絶える事となった。
メルセデスが2台揃ってノーポイントに終わった事で、好敵手フェラーリが両タイトルで逆転。セバスチャン・ベッテルはハミルトンに1ポイント差を、フェラーリはメルセデスに対して10ポイント差をつけそれぞれ首位に立った。
チーム代表のトト・ウォルフは「個人的にもチームにとっても、過去6年で今日より辛い日はなかった」と述べ、信頼性不足と戦略の判断ミスを悔いた。この日のメルセデスの失態は、信頼性の欠如に留まらなかった。
コース上で停車したボッタスのマシンを撤去すべくVSCが発動。各車一斉にピットストップへと動いたが、ラップリーダーのハミルトンはステイアウト。この判断が裏目に出てしまい、ハミルトンはVSCが解除された後のグリーンフラッグ下でのピットインを強いられ、ポジションを大きく落とす事となった。
何故VSCと同時にピットインを指示しなかったのか?ウォルフによれば、マシン撤去にしばらく時間がかかると予想したため、ライバルの動向を探るためにもう1周様子を見ることにしたのだという。ところが、その予想とは裏腹にオフィシャルの迅速な作業によって撤去はすぐさま完了。ハミルトンはピットインのタイミングを失った。
F1オーストリアGP決勝を終えて
ルイス・ハミルトン決勝: DNF, グリッド: 2位
思い出せる中で最悪の週末になったのは間違いないね。今日はチームの誰もが痛みを感じることになると思うけど、ポジティブな面に目を向けなきゃ。マシンは週末を通してずっと素晴らしく僕らが最も速かったし、長年に渡って僕らは圧倒的な信頼性を示し続けてきた。
ダメージは大きいけど物事には浮き沈みがあるものなんだ。チームが立ち直れるって信じてるよ。
バルデリ・ボッタス決勝: DNF, グリッド: 1位
今年の運のなさっぷりは悪いジョークだよ。酷いホイールスピンのせいでグリップが足らずポジションを落としてしまったから、スタートは理想的とは言えなかった。ターン3までに2つポジションを取り戻して2番手に上がったその後は、マシンに力強さがあったし順調だったんだ。
でも突然油圧が低下してしまいレースが終わってしまった。僕にできる事は何もなかったよ。この件については詳しく調査して原因を究明しなきゃね。この結果から立ち直れるって信じてる。今日は僕のための日じゃなかったんだろうね。でも、その日はいつか必ず来るはずだよ。
優勝はレッブル・レーシングのマックス・フェルスタッペン、2016年メキシコGP以来となる通算4勝目を挙げた。2位はスクーデリア・フェラーリのキミ・ライコネン、3位表彰台にはセバスチャン・ベッテルが滑り込んだ。
晴天に恵まれた日曜のシュピールベルクは週末を通して最も暑くなり、気温23℃、路面48℃にまで上昇。”マシンクラッシャー”の異名を取るレッドブル・リンクがマシンに牙を剥き、メルセデス2台を含む計5台がマシントラブルでリタイヤを喫した。