6台が消える波乱の開幕戦―ノリス優勝、角田は一時2位も”戦略ミス”で入賞ならず / F1オーストラリアGP 2025《決勝》結果と詳報

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2025年FIA-F1世界選手権の開幕戦、オーストラリアGPの決勝レースが3月16日に行われた。雨による混乱で6台が姿を消した57周のレースは、ランド・ノリス(マクラーレン)のポール・トゥ・ウインで締め括られた。通算5勝目。角田裕毅(レーシング・ブルズ)は一時、2番手を走行したが12位に終わった。

2025年F1オーストラリアGPドライバー別ピットストップ・タイヤ戦略表、2025年3月16日(アルバート・パーク・サーキット)Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2025年F1オーストラリアGPドライバー別ピットストップ・タイヤ戦略表、2025年3月16日(アルバート・パーク・サーキット)

雨で波乱の展開、ノリスがキャリア5勝目

日曜のアルバート・パーク・サーキットは雨に見舞われ、フォーメーションラップからクラッシュが発生。最終的には2度のF1ワールドチャンピオン、フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)を含む6台がチェッカーフラッグを前にクルマを降りた。

天候は不安定で、一旦はドライ路面となったが、終盤に向けて土砂降りが到来。ファイナルラップには強い日差しが照りつけた。マクラーレン勢はレース序盤から圧倒的な速さを見せていたが、一転、ドラマティックな展開となった。

2番手を走行していたオスカー・ピアストリ(マクラーレン)は最終セクションのターン12でスピン。約1分間芝に捕まり、惜しくも母国表彰台を逃して9位に終わった。ノリスも同じコーナーでコースオフしたが、すぐにコースへ復帰。インターミディエイトタイヤに交換し、優勝を果たした。これによりノリスは、キャリア初のドライバーズ選手権リーダーの座に就いた。

ランド・ノリスの優勝を祝うアンドレア・ステラ代表、ザク・ブラウンCEO、オスカー・ピアストリ、2025年3月16日(日) F1オーストラリアGP決勝(アルバート・パーク・サーキット)Courtesy Of McLaren

ランド・ノリスの優勝を祝うアンドレア・ステラ代表、ザク・ブラウンCEO、オスカー・ピアストリ、2025年3月16日(日) F1オーストラリアGP決勝(アルバート・パーク・サーキット)

フェルスタッペン猛追も届かず

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はステイアウトを選択したが、雨が激しくなり、やむを得ずピットに。最終周にはノリスのDRS圏内に入り猛追したが、0.895秒及ばず2位に留まった。

3位表彰台はジョージ・ラッセル(メルセデス)。レース前半こそトップ争いには絡めなかったが、適切なタイヤ戦略で終盤に順位を上げた。

角田裕毅、果敢な戦いも最終的に12位

アルバート・パーク・サーキットでアレックス・アルボンのウィリアムズFW47とルイス・ハミルトンのフェラーリSF-25をリードする角田裕毅のレーシング・ブルズVCARB 02、2025年3月16日(日) F1オーストラリアGP決勝Courtesy Of Red Bull Content Pool

アルバート・パーク・サーキットでアレックス・アルボンのウィリアムズFW47とルイス・ハミルトンのフェラーリSF-25をリードする角田裕毅のレーシング・ブルズVCARB 02、2025年3月16日(日) F1オーストラリアGP決勝

角田はレースを通してトップ6を争い、57周のレースの44周目まで完璧なレース運びを見せたが、終盤の土砂降りの中、チームはフェラーリ勢と同様、ステイアウトを指示。これにより一時的に2番手に浮上した。

だが、この戦略は路面状況に沿ったものではなく、グリップを失い順位を落とした。その後インターミディエイトタイヤに交換したものの、コースに復帰するとポイント圏外に転落。5番手スタートからの12位と、無念の入賞圏外に終わった。チーム代表のローラン・メキーズは、戦略ミスを角田に謝罪した。

波乱のスタート、ハジャーのデビュー戦は悪夢に

チームメイトのルーキー、アイザック・ハジャーはフォーメーションラップ中にクラッシュし、この影響でレースは15分遅れで開始された。あまりの失望になかなかヘルメットを脱ぐことができず、ルイス・ハミルトンの父アンソニーが慰める場面があった

その後のオープニングラップでもさらなるアクシデントが発生し、ジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)が壁に突っ込んだ直後、カルロス・サインツ(ウィリアムズ)がスピン。早くもセーフティーカー(SC)が導入された。

中盤にはアロンソがクラッシュし、終盤の豪雨の中ではリアム・ローソン(レッドブル)とガブリエル・ボルトレート(ザウバー)がコントロールを失いクラッシュ。3回目のSCが導入され、レースは残り6周のスプリント勝負となった。

アントネッリが驚異的な追い上げ、ウィリアムズは5位入賞

ルーキーのアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は17番手スタートから驚異的な追い上げを見せ、4位でチェッカーを受けたが、アンセーフ・リリースにより5秒ペナルティを受け、5位に降格したものの、レース後の再審理によりペナルティが撤回されたことで4位の座を取り戻した。

この日のレースでアントネッリは、フェルスタッペンに次いでF1史上2番目に若い(18歳203日)ポイント獲得ドライバーとなった

2000年代において、F1デビュー戦でアントネッリより上の順位でフィニッシュしたのは、2007年オーストラリアGPで3位を獲得したルイス・ハミルトンと、2014年オーストラリアGPで2位を記録したケビン・マグヌッセンの2人しかいない。

5位にはアレックス・アルボン(ウィリアムズ)、6位にはランス・ストロール(アストンマーチン)が入った。アルボンの上位入賞には、リタイヤ後にピットウォールで戦略決定をサポートしたサインツの貢献があった。

4位獲得をジェームズ・ヴァウルズ(ウィリアムズ代表)と共に祝うアレックス・アルボン(ウィリアムズ)、2025年3月16日(日) F1オーストラリアGP決勝(アルバート・パーク・サーキット)Courtesy Of Williams

4位獲得をジェームズ・ヴァウルズ(ウィリアムズ代表)と共に祝うアレックス・アルボン(ウィリアムズ)、2025年3月16日(日) F1オーストラリアGP決勝(アルバート・パーク・サーキット)

Q1敗退から見事に巻き返したニコ・ヒュルケンベルグは7位でフィニッシュ。2024年のザウバーの年間総獲得ポイントを超える6ポイントを持ち帰った。

フェラーリにとっては悪夢のようなレースとなった。ルイス・ハミルトンはフェラーリ移籍後初レースで、わずか1ポイント(10位)に終わり、チームメイトのシャルル・ルクレールも8位と低迷した。レーシング・ブルズ同様、終盤の雨に際してスリックのまま走らせ続ける戦略を採用したことが仇となった。

2025年F1第1戦オーストラリアGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 57 1:42:06.304 25
2 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 57 +0.895s 18
3 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 57 +8.481s 15
4 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 57 +12.773s 12
5 12 アンドレア・キミ・アントネッリ メルセデス 57 +15.135s 10
6 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 57 +17.413s 8
7 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ザウバー・フェラーリ 57 +18.423s 6
8 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 57 +19.826s 4
9 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 57 +20.448s 2
10 44 ルイス・ハミルトン フェラーリ 57 +22.473s 1
11 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 57 +26.502s 0
12 22 角田裕毅 レーシングブルズ・ホンダRBPT 57 +29.884s 0
13 31 エステバン・オコン ハース・フェラーリ 57 +33.161s 0
14 87 オリバー・ベアマン ハース・フェラーリ 57 +40.351s 0
NC 30 リアム・ローソン レッドブル・ホンダRBPT 46 DNF 0
NC 5 ガブリエル・ボルトレート ザウバー・フェラーリ 45 DNF 0
NC 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 32 DNF 0
NC 55 カルロス・サインツ ウィリアムズ・メルセデス 0 DNF 0
NC 7 ジャック・ドゥーハン アルピーヌ・ルノー 0 DNF 0
NC 6 アイザック・ハジャー レーシングブルズ・ホンダRBPT 0 DNS 0

コンディション

天気
気温15℃
路面温度19℃
周回数57

セッション概要

グランプリ名 F1オーストラリアGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 アルバート・パーク・サーキット
設立 1996年
全長 5278m
コーナー数 14
周回方向 時計回り

F1オーストラリアGP特集