
アルボン5位快挙の舞台裏、リタイヤ後に”戦略家に転身”したサインツ「彼の言う通りだった!」とウィリアムズ
2025年のF1オーストラリアGPは、予期せぬ雨により混乱した展開となったが、その中でアレックス・アルボン(ウィリアムズ)は、見事な戦略を以て5位入賞を果たした。その陰には、”リタイヤ後に戦略家に転身”したカルロス・サインツの的確な判断があった。
アルバートパーク・サーキットで行われた開幕戦は、終盤に雨が降り始め、各チームはタイヤ交換のタイミングについて難しい判断を迫られた。この状況でウィリアムズは、適切なタイミングでアルボンをピットに呼び入れ、インターミディエイトタイヤへの交換を成功させた。
Courtesy Of Williams
アルバート・パーク・サーキットを走行するアレックス・アルボンのウィリアムズFW47、2025年3月16日(日) F1オーストラリアGP決勝(アルバート・パーク・サーキット)
”もう一人”のストラテジスト
ウィリアムズのチーム代表であるジェームズ・ヴァウルズはレース後、「今日はもう一人のストラテジストがいた。それがカルロスだった」と明かした。
サインツはレース序盤の2周目にセーフティカー導入時のクラッシュでリタイアを喫したものの、パドックを後にせず現地にとどまり、ドライバー視点での貴重な意見をチームに提供していたという。
「彼の洞察は本当に役に立った。他のチームは『もう少し粘るべきか?』と迷っていたが、カルロスは『ドライタイヤのままで最後の数コーナーを走るのは無理だ』と断言した。彼の言う通りだった」とヴァウルズは語った。
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インタビューに応じるウィリアムズのジェームズ・ヴァウルズ、2025年3月15日(土) F1オーストラリアGP予選(アルバート・パーク・サーキット)
突然の降雨によりレース展開が大きく動いた44周目、各チームはインターミディエイトタイヤに交換をするかどうかの決断を迫られた。ウィリアムズはこの判断を迅速に下し、アルボンはランド・ノリス(マクラーレン)、ジョージ・ラッセル(メルセデス)に続いてピットイン。サインツの助言が、このタイミングの決め手となった。
対照的なレーシングブルズとフェラーリ
サインツの古巣であるフェラーリは、このタイミングで適切な決断を下せず、シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンの両ドライバーが順位を大きく落とす結果となった。
また、レーシング・ブルズもタイヤ交換のタイミングを見誤り、その結果、角田裕毅は潜在的に4位の座を失った。開幕戦はウィリアムズの的確かつ迅速な決断力が際立つレースとなった。
アルボン「完璧な戦略だった」と称賛
アルボンはレース後、「チーム全体でレースを完璧に遂行できたと思う。開幕戦でここまで戦略や週末の進め方をしっかりまとめるのは簡単なことじゃないけど、今日はすべてがうまくいったよ」と喜びを語った。
チェッカーフラッグ後の段階では4位に位置づけられたアルボンだが、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)に対する5秒ペナルティが取り消されたことで、最終5位に降格となった。
アルボンは「この結果は、昨年から大きな進歩を遂げたことを示すものだ。4位のような結果を今シーズン、何度も得るのは難しいかもしれないけど、ルーキードライバーの経験不足などを活かして、シーズン序盤の段階でできるだけポイントを獲得することが重要だと話し合ってきたんだ」と付け加えた。
ウィリアムズにとって、フルレースの5位入賞は2017年のアゼルバイジャンGPでのランス・ストロールの表彰台以来の好成績となった。
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ドライバーズパレードに登場したルイス・ハミルトン(フェラーリ)とカルロス・サインツ(ウィリアムズ)、2025年3月16日(日) F1オーストラリアGP決勝(アルバート・パーク・サーキット)
ギアボックスが招いた?サインツのスピン
レースは1周目にジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)がバリアに突っ込んだことでセーフティカーが導入された。その直後、10番グリッドからスタートしたサインツは最終コーナーでスピンを喫し、リタイアを余儀なくされた。チームはこの原因を「セーフティカーモード時のギアボックスの特性」にあると分析している。
「少し奇妙な現象なので、詳しく調べる必要がある」とヴァウルズは説明した。「簡単に言えば、パーシャルスロットルでアップシフトした際、想定よりも大きなトルクが発生してしまったということだ」
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ピーター・ケニオン(ウィリアムズ・レーシングのコマーシャルアドバイザー)とカルロス・サインツSr.、2025年3月15日(土) F1オーストラリアGP予選(アルバート・パーク・サーキット)
2025年F1第1戦オーストラリアGPでは、ランド・ノリス(マクラーレン)がポール・トゥ・ウインを果たして通算5勝目を獲得。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が2位、ジョージ・ラッセル(メルセデス)が3位という結果となった。
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