アルバート・パーク・サーキットを走行するマクラーレンMCL39の後ろ姿、2025年F1オーストラリアGP
Courtesy Of McLaren

F1:リアウイングの”たわみ検査”を急遽強化へ、中国GPより新基準―開幕戦の監視結果を受けFIAが即時対応

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F1を統括する国際自動車連盟(FIA)は、2025年F1シーズンの開幕戦オーストラリアGPでの監視結果を受け、今週末の第2戦中国GPより急遽、リアウイングの静的たわみ検査に関する規制をさらに強化することを決定した。

オーストラリアGPでの監視結果が発端

FIAはオーストラリアGPのフリー走行を通じて、各マシンのリアウイングの変形度合いを注意深く監視。一部のマシンには高解像度カメラを追加搭載し、基準点となるステッカーを貼付するなどしてデータを収集していた。

FIAによると、オーストラリアGPでの検査では、すべてのマシンが現行の技術規則第3.15.17条に適合しており、違反は確認されなかった。

しかし、映像データとFIAガレージ内での静的たわみ検査の結果を分析したところ、「より厳しいテストを導入するに足る十分な根拠がある」と判断。中国GPより急遽、リアウイングに対する検査が強化されることとなった。

新たなたわみ制限 – 許容範囲は0.5mmに

2025年シーズンに向け、FIAはすでにリアウイングのスロットギャップ(メインプレーンとフラップの間隔)の許容値を2mm未満へと引き下げ、オーストラリアGPより実施しているが、中国GP以降はこれが一気に0.5mmへと厳格化される。

ただし、チームへの通知がオーストラリアGPの決勝翌日となり、対応のための時間が限られることから、中国GPでは暫定措置として許容値を0.75mmとし、その後完全に0.5mmの基準を適用する予定だ。

負荷検査は、リアウイングのメインプレーンの両端に75kgの垂直荷重をかけて実施される。

狙いはフェラーリとマクラーレンか?

今回のリアウイング規制強化の背景には、一部チームの2025年型マシンの空力剛性に対する新たな疑念がある。

既報の通り、プレシーズンテストを経てレッドブルはFIAに対し、フェラーリとマクラーレンのウイングについて正式な抗議書を提出したとされる。

レッドブルのテクニカル・ディレクターを務めるピエール・ワシェは、プレシーズンテスト中にフェラーリとマクラーレンが依然として“ミニDRS”を利用しているようだと指摘。また、他のチームからもリアウイングに塗布されたフロービズ(空気の流れを可視化する特殊な塗料)の流れが不自然だとする声が上がっていた。

フェラーリやマクラーレンを含む一部チームが使用しているとされるこの技術は、昨年のアゼルバイジャンGPで注目を集め、その効果がDRS(空気抵抗低減システム)に類似していることから、一部では「ミニDRS」とも呼ばれている。

リアウイングの規制強化に加えて、FIAは第9戦スペインGP以降、フロントウイングに対するテストも厳格化する予定だ。

今回のリアウイング規制強化が、各チームのマシンにどのような影響を与えるのか、次戦の中国GPでのパフォーマンスが大いに注目される。

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