レッドブルF1支配の終焉か 一過性の失速か?台頭するフェラーリとマクラーレン、タイトル争いの行方や如何に
2024年シーズンも支配的な競争力でチャンピオンシップを制すると予想されていたレッドブルは開幕8戦を終えて5勝に留まり、フェラーリが2勝、マクラーレンが1勝と、プレシーズン段階の見立てを裏切る激しい競争が繰り広げられている。
勝率62.5%というのは非常に高い数値ではあるが、2023年シーズンの開幕8戦におけるレッドブルの勝率は100%だった。以下の通り獲得ポイントで見ても、2023年は2位にダブルポイント差をつけていたのに対して、フェラーリとの差は24点に過ぎない。
2023年 | 順位 | 2024年 | ||
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得点 | チーム | チーム | 得点 | |
321 | レッドブル | 1 | レッドブル | 276 |
167 | メルセデス | 2 | フェラーリ | 252 |
154 | アストン | 3 | マクラーレン | 184 |
122 | フェラーリ | 4 | メルセデス | 96 |
44 | アルピーヌ | 5 | アストン | 44 |
17 | マクラーレン | 6 | RB | 24 |
9 | ザウバー | 7 | ハース | 7 |
8 | ハース | 8 | ウィリアムズ | 2 |
7 | ウィリアムズ | 9 | アルピーヌ | 2 |
2 | RB | 10 | ザウバー | 0 |
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が6位に留まった先日のモナコGPではシャルル・ルクレール(フェラーリ)が今季初優勝を果たし、タイトル争いをリードするフェルスタッペンとの差を31ポイント差に縮めた。
モナコだけではない。過去3回の週末、つまりマイアミ、イモラ、そしてモナコのいずれにおいてもレッドブルRB20は最速のマシンではなく、トップチェッカーを受けたのは、0.725秒差という僅かの差でランド・ノリス(マクラーレン)を退けたエミリア・ロマーニャGPだけだ。
グラウンドエフェクト時代の絶対王者はコンストラクターズ選手権3連覇を逃しかねない状況に直面しているのか? それとも「退屈」との批判が飛び交った昨年のように、残りのシーズンで再び、他を圧倒するのだろうか?
モナコでの苦戦についてフェルスタッペンは次のように述べ、基本性能の圧倒的な高さ故に過去2年に渡って隠されていたクルマの弱点が、ライバルが接近してきたことで露呈したと説明した。
「誰もが近づいてきている。それが現実だ。もう隠しようがなく、バレてしまう」
一方でルクレールはモナコでの週末に先立ち、レッドブルは依然としてベンチマークであり、個々のサーキットの特性が差を生み出している可能性を指摘した。
「この興奮を冷ましたいわけじゃないけど、早計に結論を出すべきではないと思う。前回(イモラ)はかなりの接戦で、その前(マイアミ)もそうだったけど、あくまでも特定の2つのコースで起こったことだ」
「次に控える2つのサーキットも同じ様にかなり特殊だ。モナコとカナダでは縁石を如何に上手く使えるかがすごく重要だ。だから(レッドブルは)クルマの強みを活かせないかもしれない」
「つまりパフォーマンスという観点で僕らがどこにいるのか正確に理解するには、もう少し待つ必要があると思う」
チームメイトのカルロス・サインツもまた、モナコでの3位表彰台を経て「カナダはかなり特殊だと思うけど、バルセロナや他のヨーロッパのサーキットのような通常のトラックでは、まだレッドブルが優位だと思う。でも以前のように支配的ってことはないだろうね」と語った。
フェラーリやマクラーレンを含むライバルが追い上げていることは確かであり、また、RB20があらゆる種類のコースで絶対的なパフォーマンスを発揮できず、そうした状況においてセルジオ・ペレスが一貫して厳しい状況に直面している現状を踏まえると、レッドブルにとってコンストラクターズ選手権3連覇は決して容易い目標ではないだろう。
その一方でフェルスタッペンは困難に直面してなお、これを覆す走りを見せており、カナダやアメリカなど、バンプが問題となる他のサーキットで再びクルマが競争力を失ったとしても、24戦から成る今季のタイトル争いに敗れる姿をイメージすることは難しい。