あまりに”退屈”なF1モナコ「枕を持ってくればよかった!」意気投合するフェルスタッペンとラッセル
例年の事ではあるが、モンテカルロ市街地コースは現代のF1マシンにとってあまりに狭く、オーバーテイクのチャンスがほぼ不可能である事から、ドライバー達はしばしば、モナコでのレースの退屈さを訴える。
ただ2024年のF1モナコGPはオープニングラップで赤旗が振られた事で、例年以上にドライバー達を飽き飽きとさせたようだ。
F1では決勝レースで最低2種類のタイヤコンパウンドを使用しなければならない。オーソドックスなコースであれば、タイヤのデグラデーションの関係から、順位を落とさずに残り77周をノンストップで走り切る事はほぼ不可能だが、モナコではそれが可能だ。
ハース勢とセルジオ・ペレス(レッドブル)が姿を消した1周目の多重クラッシュを経て、ローガン・サージェント(ウィリアムズ)以外の全てのドライバーは最初のスタート時とは異なるコンパウンドを履いてリスタートに臨んだ。
”フォーミュラ1モナコ・パレードラン”においては、ドライバーは原則としてプッシュする事を求められていない。むしろ逆にペースを落とせと指示される事もしばしばだ。
例えばラップリーダーのシャルル・ルクレール(フェラーリ)は4番手ランド・ノリス(マクラーレン)にフリーストップを与えぬようペースダウンを命じられた。
ルクレールがペースを上げると、ノリスとその後方を走るジョージ・ラッセル(メルセデス)との間に巨大なギャップが生まれ、ポジションを落とす事なく新品タイヤを手に入れるチャンスをノリスに与えてしまう。そうなれば3番手を走行するルクレールの僚友カルロス・サインツが脅威に晒される。
最終的にリスタート時のトップ10ドライバーは全て、リスタート時と同じ順位でレースを終えた。
6番からスタートし、143分間のレースを経て6位でフィニッシュしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、この日のレースを皮肉る事を一切ためらわなかった。
フェルスタッペンは笑いながら「ジョージと一緒にランニングに行こうかな。全然、運動にならなかったからね!ホント信じられない。あれは酷かった! ホントつまらなかった!」と振り返った。
フェルスタッペンの発言を受けラッセルも「あまりにも遅く走っていたからタイヤが駄目になってきて、そのうち完全に使い物にならなくなるんじゃないかとビクビクしてたよ!」と笑い、「何かを変えないと。強制ピットストップとかね」と付け加えた。
F1マシンのタイヤは適切な温度範囲で最高のパフォーマンスを発揮するよう設計されているため、遅いペースで走行するとタイヤが冷えて使い物にならなくなる。
フェルスタッペンの不満はレース後のチーム無線にも表れていた。チェッカーを受けた後にフェルスタッペンは放送禁止用語を交え、「一体なんなんだよ。ホント退屈だった。枕を持ってくればよかった!」とレースを締め括った。
モナコ4勝を誇るルイス・ハミルトン(メルセデス)は週末に先立ち、レース形式の変更を訴えた。
「彼らはモナコのために何か新しい方式を考え出すべきだと思う。皆は日曜のレースを見ていて眠くならないの? 今のクルマは大きくなっているし、クラッシュのリスクを負わずにはオーバーテイクする事もできない」
「もっとコース幅が広くなってくれればと思うけど、モナコじゃ難しいだろうね。ここは狭すぎるから」
「例えば、このレースのために特別なタイヤを用意してピットストップを増やし、バリエーションを増やすとかすべきだと思う」