
F1カナダGP:レッドブルの異議却下、ラッセルの勝利確定―“挑発行為”との主張が退けられた経緯とメルセデスの反論
6月16日に開催された2025年F1第10戦カナダGP決勝を経て、レッドブル・レーシングは、ジョージ・ラッセル(メルセデス)がセーフティカー(SC)導入中に「不必要かつ不規則」なブレーキングを行ったなどとして、国際自動車連盟(FIA)に対して正式に異議を申し立てた。だが、スチュワードは「根拠がない」としてこれを却下した。
これに伴いラッセルの勝利、およびマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の2位を含む最終リザルトが確定した。
レッドブルの主張、メルセデスの反論
レッドブル側は、SC導入中のバックストレートにおいて、ラッセルが「不必要かつ不規則」なブレーキングを行い、その結果として、フェルスタッペンが一時的に前方へ出てしまったと主張した。
さらに、ラッセルがブレーキング直前にミラーを確認していた点に着目し、「後方から迫るフェルスタッペンの存在を把握した上で、意図的に減速して追い越し違反を誘発しようとした可能性がある」との見解を示した。
また、ラッセルがチーム無線で「フェルスタッペンがSC中に追い越した」と発言した点についても、FIAの注意を意図的に引こうとした「スポーツマンらしからぬ行為」として問題視した。
これらの主張に対し、メルセデスは「タイヤとブレーキの温度を維持するための定期的なブレーキングは一般的」であるとして、「不規則」ではないと反論。無線での発言についても「単なる事実報告に過ぎず、挑発的意図はない」と主張した。
さらに、「当該ブレーキ圧は約30psiであり、極端な急制動には該当しない」と説明。ラッセルがミラーを確認したのは「後続車との距離を把握し、安全を確保するための行動」であり、フェルスタッペンが前に出たのは一瞬で、その後すぐにポジションを戻していたため、メルセデスとしても抗議を行っていないと強調した。
FIAとスチュワード「通常の操作範囲内」
FIAレースコントロールのティム・マリオン氏は、この件について「SC中の定期的なブレーキングは一般的な行為であり、レースコントロールとしても一定の許容範囲を設けている」と説明。ラッセルの行動はその範囲内だったと証言した。
スチュワードも同様の見解を示し、メルセデス側の説明を受け入れ、ラッセルのブレーキングは「不規則」には該当しないと結論付けた。無線発言についても、「単なる報告だけではスポーツマンシップに反する行為とは認められない」とし、レッドブルの異議申し立てを却下した。
正式リザルトが確定
本ケースを含む全ての審議が終了したことで、ラッセルのポール・トゥ・ウィン、フェルスタッペンの2位、アンドレア・キミ・アントネッリの3位を含め、2025年F1カナダGPの公式結果が確定した。
角田裕毅の12位も確定した。惜しくもポイントには届かなかったが、アップグレード投入後の安定したレースペースには前進の兆しが見られた。
2025年F1第10戦カナダGPでは、ジョージ・ラッセル(メルセデス)がポール・トゥ・ウインで通算4勝目を飾り、メルセデスに今季初優勝をもたらした。2位はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。3位にはアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が続き、キャリア初の表彰台を獲得した。
次戦はレッドブル・リンクを舞台に開催される第11戦オーストリアGP。現地時間6月27日(金)のフリー走行1でレースウィークが幕を開ける。