2020年 インディカー開催スケジュールと参戦ドライバー及びチーム・テレビ視聴方法
25回目のシーズンを迎える2020年のインディカー・シリーズ(IndyCar Series)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を受け、バーバー、ロングビーチ、COTA及び、トロントとリッチモンドでのレースが中止された。その分を同一開催地での複数回レースによって補う事を目指したが、昨季より3戦少ない全14戦で争われる。
米国オープン・ホイールの公式チャンピオンシップとしては99シーズン目。ファイアストンは2019年2月にインディカーとの契約を2025年まで延長した事を発表しており、20年シーズンも変わらず公式タイヤサプライヤーを務める。
昨シーズンからの主な変更点
シリーズの商業権を保有していたハルマン・アンド・カンパニー社は2019年11月、インディカーシリーズそのもの及び、インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)を含む同社の資産の大部分をペンスキー・エンターテイメント社に売却。ロジャー・ペンスキーが新たなシリーズのオーナーとなった。
ドライバーの頭部保護を目的として、レッドブル・レーシング・アドバンス・テクノロジー製のエアロスクリーンが導入される。
開催日程カレンダー
2020年のインディカー・シリーズは、オーバル6戦、市街地1戦、常設ロードコース5戦の計12戦で構成される。当初はフロリダ州セント・ピーターズバーグが10年連続でシーズンの幕開けを演出する予定であったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受けてカレンダーの再編が行われ、6月のテキサスがその役を引き継ぐ事となった。
世界三大レースの一つである第104回インディアナポリス500マイルレースは5月24日(日)から8月23日(日)へと延期され。史上初めて無観客レースとして開催される。昨年の大会で勝利を手にしたシモン・パジェノーがディフェンディング・チャンピオンとして2連覇を目指す一方、フェルナンド・アロンソはマクラーレンSPから3度目の挑戦に挑む。同じIMSのロードコースで開催されるインディアナポリスGPは、7月と10月に3度に渡って開催される。
チャンピオンを決する最終戦は、当初開幕の舞台を担う予定であったセント・ピーターズバーグが担当する。
ポコノ・レースウェイとの契約は更新されず、代わりに2009年以来、10年ぶりにショートオーバルのリッチモンド・レースウェイが第3戦として復帰する予定であったが、新型の影響でトロント、ポートランド、ラグナセカ共々中止を強いられた。2019年のポコノでは、1周目に佐藤琢磨が絡む大クラッシュが発生。幸いにも深刻な怪我を負ったドライバーはいなかったが、安全性に対する疑問の声が高まっていた。
リッチモンドは全長僅か1.2kmの超ショートレーストラックで、インディーカーでの予選レコードは、サム・ホーニッシュ・ジュニアが2005年にマークした176.244mph。1周を15.3197秒で駆け抜けた。設立は1946年と古く、70年以上の歴史を持つが、この程3000万ドル(約31億8500万円)の費用を投じて改修された。
2019年に新たにカレンダー入りしたサーキット・オブ・ジ・アメリカ(COTA)は第2戦から第4戦へと移動。現地テレビ放映を担当するNBCとNBCSNが2020年の東京オリンピックに注力するため、7月18日にアイオワでのオーバルが行われた後に3週間の休みが入る。
ラウンド | 日程 | 開催地 | 種別 |
---|---|---|---|
第1戦 | 6月6日 | テキサス | オーバル |
第2戦 | 7月4日 | インディアナポリス | ロード |
第3戦 | 7月11日 | ロード・アメリカ | ロード |
第4戦 | 7月12日 | ロード・アメリカ | ロード |
第5戦 | 7月17日 | アイオワ | オーバル |
第6戦 | 7月18日 | アイオワ | オーバル |
第7戦 | 8月23日 | インディ500 | オーバル |
第8戦 | 8月29日 | ゲートウェイ | オーバル |
第9戦 | 8月30日 | ゲートウェイ | オーバル |
第10戦 | 9月12日 | ミッドオハイオ | ロード |
第11戦 | 9月13日 | ミッドオハイオ | ロード |
第12戦 | 10月2日 | インディアナポリス | ロード |
第13戦 | 10月3日 | インディアナポリス | ロード |
第14戦 | 10月25日 | セント・ピーターズバーグ | 市街地 |
記録として、シーズン開幕前の当初のカレンダーを以下に残しておく。
ラウンド | 日程 | 開催地 | 種別 |
---|---|---|---|
第1戦 | 3月15日 | セント・ピーターズバーグ | 市街地 |
第2戦 | 4月5日 | バーバー | ロード |
第3戦 | 4月19日 | ロングビーチ | 市街地 |
第4戦 | 4月26日 | COTA | ロード |
第5戦 | 5月9日 | インディアナポリス | ロード |
第6戦 | 5月24日 | インディ500 | オーバル |
第7戦 | 5月30日 | デトロイト-レース1 | 市街地 |
第8戦 | 5月31日 | デトロイト-レース2 | 市街地 |
第9戦 | 6月6日 | テキサス | オーバル |
第10戦 | 6月21日 | ロード・アメリカ | ロード |
第11戦 | 6月27日 | リッチモンド | オーバル |
第12戦 | 7月12日 | トロント | 市街地 |
第13戦 | 7月18日 | アイオワ | オーバル |
第14戦 | 8月16日 | ミド・オハイオ | ロード |
第15戦 | 8月22日 | ゲートウェイ | オーバル |
第16戦 | 9月6日 | ポートランド | ロード |
第17戦 | 9月20日 | ラグナセカ | ロード |
テレビ放送
2020年のインディカー・シリーズは、例年通りCS放送のGAORA SPORTSで生放送される。視聴には「スカパー!」の他、ケーブルテレビの「J:COM」や光回線を使った「ひかりTV」「auひかり」なら、面倒なアンテナ設置なしでインディカーを楽しむ事もできる。
参戦チームとドライバー
全チームがユニバーサルエアロキットとファイアストンタイヤを装着したダラーラIR18シャーシを使用する。エンジンサプライヤーはホンダとシボレーの2社。
シリーズフル参戦は20台で、インディ500には31台が参戦する見通し(6月現在)。佐藤琢磨はレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL Racing)との契約を更新し、同チームとの通算4シーズン目を迎える。
なおRLL Racingは、IMSでのインディGPとインディ500の2レースでスペンサー・ピゴットを起用し、3台体制で伝統の一戦に臨む。
マクラーレンはシュミット・ピーターソン・モータースポーツ(SPM)と提携し、アロウ・マクラーレン・レーシングSPとしてフル参戦を果たす。これに伴いSPMは、長年タッグを組んできたホンダとの契約を終了し、新たにシボレーエンジンを搭載。パトリシオ・オワードとオリバー・アスキューというインディライツ王者コンビで初年度を戦う。インディ500ではフェルナンド・アロンソが3台目をドライブする。
アンドレッティ・オートスポーツはハーディングスタインブレナー・レーシングと技術提携。5台体制を築き、史上最年少ウィナーのコルトン・ハータを迎える。
エド・カーペンター・レーシングは、2019年シーズンのインディ・ライツ2位に輝いたオランダ出身のリーナス・ヴィーケイを起用する。ルーキーはスポット参戦組を含めて全5名の見通し。
強豪ペンスキーは昨季と変わぬラインナップ。インディカー・シリーズ買収に伴い、ロジャー・ペンスキーは利益相反の観点からレースストラテジストの職から退く。エリオ・カストロネベスはインディ500のみ参戦する。
全戦フル参戦するドライバーは以下の通り。
チーム | エンジン | ドライバー |
---|---|---|
レイホール | ホンダ | グラハム・レイホール |
佐藤琢磨 | ||
アンドレッティ | ホンダ | マルコ・アンドレッティ |
ライアン・ハンターレイ | ||
アレクサンダー・ロッシ | ||
ザック・ビーチ | ||
コルトン・ハータ | ||
ペンスキー | シボレー | ジョセフ・ニューガーデン |
ウィル・パワー | ||
シモン・パジェノー | ||
チップ・ガナッシ | ホンダ | スコット・ディクソン |
フェリックス・ローゼンクビスト | ||
マーカス・エリクソン | ||
デイル・コイン | ホンダ | アレックス・パロウ |
サンティノ・フェルッチ | ||
エド・カーペンター | シボレー | リーナス・ヴィーケイ |
メイヤー・シャンク | ホンダ | ジャック・ハーベイ |
マクラーレン・レーシングSP | シボレー | パトリシオ・オワード |
オリバー・アスキュー | ||
A.J.フォイト | シボレー | チャーリー・キンボール |
インディ500スポット参戦組
- ダルトン・ケレット(AJ Foyt)
- トニー・カナーン(AJ Foyt)
- ジェームズ・ヒンチクリフ(Andretti)
- フェルナンド・アロンソ(McLaren SP)
- ベン・ハンリー(DragonSpeed)
- セージ・カラム(Dreyer & Reinbold)
- JR.ヒルデブランド(Dreyer & Reinbold)
- エド・カーペンター(Ed Carpenter)
- コナー・デイリー(Ed Carpenter)
- スペンサー・ピゴット(RLL Racing)
- エリオ・カストロネベス(Team Penske)
第104回インディ500
新しくシリーズのオーナーとなったロジャー・ペンスキーのもと、インディカー・シリーズは今年のインディ500を更に盛り上げるべく、賞金額を200万ドル積み上げて総額1500万ドル(日本円にして約16億1,672万円程度)とするなど、様々な改革案を実行に移す予定であったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で賞金額は減額され無観客試合となるなど、大きな影響を受けた。
予選ではターボの過給圧が引き上げられ、約45馬力のブーストアップによって230mphを超えるスピードが見込まれる予定。また、予選落ちのマシンを決するラストシュートアウトは75分の勝負へと拡充される計画であったが、エントリーが33台に収まったため、予選落ち=バンプアウトはない。
日付 | 時間 | 内容 |
---|---|---|
8月12日(水) | 11:00-18:00 | プラクティス |
8月13日(木) | 11:00-18:00 | プラクティス |
8月14日(金) ファストフライデー |
11:00-18:00 | プラクティス |
18:15- | 予選出走順抽選 | |
8月15日(土) | 08:00-09:30 | プラクティス |
11:00-17:50 | 予選 | |
8月16日(日) | 10:15-11:15 | プラクティス |
12:30-13:45 | ラストロウ・シュートアウト | |
13:45-14:30 | ファストナイン・シュートアウト | |
15:30-18:00 | プラクティス | |
8月20日(木) | 12:00-14:00 | プラクティス |
8月21日(金) カーブデイ |
11:00-12:00 | プラクティス |
8月23日(日) | 13:00- | 決勝 |
エントリーリスト
車番 | ドライバー | チーム | エンジン |
---|---|---|---|
1 | ジョセフ・ニューガーデン | Team Penske | シボレー |
3 | エリオ・カストロネベス | Team Penske | シボレー |
4 | チャーリー・キンボール | A.J. Foyt Enterprises | シボレー |
5 | パトリシオ・オワード | Arrow McLaren SP | シボレー |
7 | オリバー・アスキュー | Arrow McLaren SP | シボレー |
8 | マーカス・エリクソン | Chip Ganassi Racing | ホンダ |
9 | スコット・ディクソン | Chip Ganassi Racing | ホンダ |
10 | フェリックス・ローゼンクビスト | Chip Ganassi Racing | ホンダ |
12 | ウィル・パワー | Team Penske | シボレー |
14 | トニー・カナーン | A.J. Foyt Enterprises | シボレー |
15 | グレアム・レイホール | Rahal Letterman Lanigan Racing | ホンダ |
18 | サンティノ・フェルッチ | Dale Coyne Racing with Vasser Sullivan | ホンダ |
20 | エド・カーペンター | Ed Carpenter Racing | シボレー |
21 | リーナス・ヴィーケイ | Ed Carpenter Racing | シボレー |
22 | シモン・パジェノー | Team Penske | シボレー |
24 | セージ・カラム | Dreyer & Reinbold Racing | シボレー |
26 | ザック・ビーチ | Andretti Autosport | ホンダ |
27 | アレキサンダー・ロッシ | Andretti Autosport | ホンダ |
28 | ライアン・ハンター=レイ | Andretti Autosport | ホンダ |
29 | ジェームズ・ヒンチクリフ | Andretti Autosport | ホンダ |
30 | 佐藤琢磨 | Rahal Letterman Lanigan Racing | ホンダ |
41 | ダルトン・ケレット | A. J. Foyt Enterprises | シボレー |
45 | スペンサー・ピゴット | RLL with Citrone/Buhl Autosport | ホンダ |
47 | コナー・デイリー | Ed Carpenter Racing | シボレー |
51 | ジェームス・デイビソン | Dale Coyne Racing w/ Rick Ware Racing, Byrd & Belardi | ホンダ |
55 | アレックス・パロウ | Dale Coyne Racing with Team Goh | ホンダ |
59 | マックス・チルトン | Carlin | シボレー |
60 | ジャック・ハーベイ | Meyer Shank Racing | ホンダ |
66 | フェルナンド・アロンソ | Arrow McLaren SP | シボレー |
67 | JR.ヒルデブランド | Dreyer & Reinbold Racing | シボレー |
81 | ベン・ハンリー | DragonSpeed USA | シボレー |
88 | コルトン・ハータ | Andretti Harding Steinbrenner Autosport | ホンダ |
98 | マルコ・アンドレッティ | Andretti Herta Autosport w/ Marco & Curb-Agajanian | ホンダ |
チャンピオンシップ ポイントシステム
選手権はドライバーとエンジンマニュファクチャラーの2つ。シーズン閉幕時に最も多くのランキングポイントを獲得した者がNTTインディカーシリーズのチャンピオンとなる。
同点の場合は優勝回数でチャンピオンを決定する。それでも同点の場合は2位、3位とチャンピオンが決まるまで同じ採点を繰り返す。
なおインディアナポリス500マイルレースはダブルポイントとなる。予選上位9名(ファストナイン)に対してはポールシッターに9ポイント、2位に8ポイント…9位に1ポイントが付与される。
フィニッシュ順位別獲得ポイント
ポールアワードは1点。1周でもリードラップを刻めば1点。最多リードラップは2点。
順位 | ポイント |
---|---|
1位 | 50 |
2位 | 40 |
3位 | 35 |
4位 | 32 |
5位 | 30 |
6位 | 28 |
7位 | 26 |
8位 | 24 |
9位 | 22 |
10位 | 20 |
11位 | 19 |
12位 | 18 |
13位 | 17 |
14位 | 16 |
15位 | 15 |
16位 | 14 |
17位 | 13 |
18位 | 12 |
19位 | 11 |
20位 | 10 |
21位 | 9 |
22位 | 8 |
23位 | 7 |
24位 | 6 |
25位以下 | 5 |
エンジンマニュファクチャラー選手権
各レースにおける各々の陣営のフル参戦ドライバーの内、上位2名の獲得ポイントをシーズンを通して合算していく。なお、各レースでポールポジションを獲得したエンジンメーカーには1ポイント、優勝メーカーには5ポイントが与えられる(インディ500を除く)。
インディ500においてはポールポジションを獲得したエンジンメーカーに2ポイント、予選初日の最速エンジンメーカーに1ポイントが与えられる。またインディ500決勝レース中に2,000マイルの走行距離を達成したエンジンメーカーには、インディ500で獲得したマニュファクチャラーポイントと同数の追加ボーナスポイントが与えられる。