黒い雨雲に包まれるポコノレースウェイ、2019年インディカー・シリーズ第14戦ポコノ決勝レースにてcopyright Indycar

Indycar 第14戦ポコノ決勝:1周目に佐藤琢磨が絡む大クラッシュ…レースは雨で短縮

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2019年シーズンも残り後4レース。NTTインディカー・シリーズ第14戦ポコノ・インディ500の決勝レースが、アメリカ合衆国ペンシルベニア州現地8月18日(日)にポコノ・レースウェイで行われ、チーム・ペンスキーのウィル・パワーが念願の今季初優勝を挙げた。

2位は昨年のシリーズ王者スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)。タイトル防衛と自身6度目の王座獲得に向けて、ポイントリーダーとのギャップを52ポイントにまで縮めた。3位はシモン・パジェノー(Team Penske)。64周のラップリードを記録してレースを終始先導していたが、表彰台の頂点に立つことはなかった。

2019年インディカー・シリーズ第14戦ポコノ決勝レースでトップ3フィニッシュを果たしたウィル・パワーとスコット・ディクソンとシモン・パジェノー
© Indycar、トップ3フィニッシュを果たしたウィル・パワー、スコット・ディクソン、シモン・パジェノー

ポコノ・レースウェイは「トリッキー・トライアングル」と呼ばれ、Rの異なる3つのターンで構成される三角形状のオーバルコース。1周の平均時速は210mphを上回るスーパースピードウェイで、決勝は1周2.5マイルのコースを200周、走行距離500マイル=805キロで勝敗を争った。

7番グリッドからスタートしたレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨はリタイヤに終わった。注目のオープニングラップ、佐藤琢磨を含む5台が絡む大きなクラッシュがターン2で発生。佐藤琢磨の左リアとアレキサンダー・ロッシの右フロントが接触し、これにライアン・ハンター=レイとフェリックス・ローゼンクヴィスト、そしてジェームスヒンチクリフが巻き込まれた。すべてがホンダエンジン搭載車両であった。

レースは早々にレッドフラッグとなり一時中断された。弾き飛ばされたローゼンクヴィストのマシンは、外側のセーファーウォールと鉄製フェンスに激しく衝突。事故の起点となった佐藤琢磨はマシンが一回転し、ひっくり返った状態でコース上に停止した。非常に大きな事故であったが、幸いにも深刻なケガを負った者はなかった。

ローゼンクヴィストは精密検査のためにメディカルセンターを離れて地元病院へと向かったが、検査はすべて問題なく、日曜日の午後遅くに病院を離れた。

「まず何よりも心配なのはフェリックスです」と佐藤琢磨。「彼に何もケガもないことを祈っています。チャンピオン争いをしている人たちに対し、非常に残念なことが起きたと考えています」

「僕はライアン(ハンターレイ)とターン1出口でポジションを争う状況となりました。アレックス(ロッシ)はスタートでの加速が思うようにいかなかったようでした。ライアンが左、私が右からロッシをパスしに行きました。私は彼を抜ききったと思ったのですが、彼のマシンより完全に前に出てはいませんでした」

「全車高速で接近して走行していた状況で、路面の継ぎ目によってマシンが不安定な状態でした。残念なことに、それらが要因となって接触してしまったようです」

「次の週末はゲイトウェイのショートオーバルでのレースです。気持ちを切り替えて良いレースを戦いたいと思います。昨年は思うような戦いができなかったゲイトウェイですが、今年もアイオワで私たちはいい走りができており、同じショートオーバルであるゲイトウェイで今年はいい走りができるようがんばりたいと考えています」

スタート直後の様子、2019年インディカー・シリーズ第14戦ポコノ決勝レースにて
© Indycar

45分の中断を経た後、フェンスの修復とコース清掃が完了。生き残った全17台がレース再開に向けてコースへと向かったが、3番手からリスタートする予定であったパワーが、パンクにより緊急ピットイン。5周のコーションラップを経て、パジェノーを先頭にレースが再開された。

大きなアクシデントの直後であっただけに、各車慎重にレースを進めたか。しばらくの間、アンダーグリーンが続いていたが、40周目にスペンサー・ピゴットがショック・アブソーバーのトラブルで単独クラッシュ。2度目のイエローコーションとなった。

リスタート直後の48周目、パワーがパジェノーを抜き去りラップリーダーに浮上。ディクソンは3番手、4番手にはサンティノ・フェルッチが続いたが、3周後にはパジェノーが再びトップの座を奪い返した。このタイミングで、一周目の事故で修復作業に追われていたヒンチクリフがコースに復帰するも、レーシングスピードで走行できる状態ではなくリタイヤを選択した。

73周目、ピットストップを利用してディクソンがパジェノーをオーバーテイク。同じ周には、上位争いを演じていたコルトン・ハータが単独クラッシュ。3度目のイエローコーションとなった。レースはディクソン先導のもと、82周目にリスタートを迎え、このタイミングでクルマの修復作業を終えたハンターレイがコースに復帰した。

スタート直後に赤旗中断があったことに加えて、レーダー上に雨雲が出現したことから、規定周回数の200周を終える前に、レースが短縮終了される可能性が浮上した。100周を終えればレース成立となるため、各チームはピットタイミングをズラすなど、作戦を駆使してポジション争いを加速させた。

結局、128周目に降雨によってイエローフラッグが出され、その後、2度目の赤旗中断を迎えた。この黄旗の10ラップ前にトップに立っていたのがパワー。レース中断中に雷を伴う強い雨が降ったことから、レースは128周で終了される事となり、パワーがウィナーに輝いた。

ローゼンクヴィストのリタイヤによって輝きを放ったのは、同じルーキーのサンティノ・フェルッチ(Dale Coyne Racing)だった。勘所を押さえたアグレッシブな走りで、キャリアベストに並ぶ2回目の4位フィニッシュを記録した。

選手権争いを考えれば、絶望的とも言える事故に巻き込まれたロッシであったが、チームの懸命な修復作業によって途中でレースに復帰。最終18位でフィニッシュした。前戦終了時は16ポイント差だったポイントリーダーのジョセフ・ニューガーデンとの差は35ポイントに広がったものの、タイトル獲得圏内に留まってみせた。

残るは3戦。次戦第15戦はショートオーバルのゲイトウェイ。その次の第16戦はロードコースのポートランド。最終戦はラグナ・セカで開催される。今年も最終戦ではダブルポイントが与えられるため、大逆転も十分可能。後半になって猛烈な巻き返しをみせるディクソン。逆転チャンピオンの行方に注目が集まる。

2019年インディカー・シリーズ第14戦ポコノ決勝レースにて優勝したウィル・パワー
© Indycar、優勝したウィル・パワー

ポコノ決勝順位結果

Pos. Start Driver Gap
1 5 ウィル・パワー
Team Penske
–.—-
2 4 スコット・ディクソン
Chip Ganassi
5.4688
3 3 シモン・パジェノー
Team Penske
7.0950
4 13 サンティノ・フェルッチ
Dale Coyne
9.4697
5 1 ジョセフ・ニューガーデン
Team Penske
10.1771
6 15 エド・カーペンター
Ed Carpenter
15.4239
7 11 セバスチャン・ブルデー
Dale Coyne
19.1641
8 19 トニー・カナーン
AJ Foyt
23.3941
9 8 グラハム・レイホール
Rahal
25.2060
10 21 チャーリー・キンボール
Carlin
27.4361
11 22 コナー・デイリー
Andretti
29.2835
12 16 マーカス・エリクソン
Schmidt Peterson
32.6051
13 18 ザック・ビーチ
Andretti
1 lap
14 20 マテウス・レイスト
AJ Foyt
1 lap
15 17 マルコ・アンドレッティ
Andretti
2 lap
16 14 コルトン・ハータ
Harding Steinbrenner
56 lap
17 12 スペンサー・ピゴット
Ed Carpenter
89 lap
18 2 アレキサンダー・ロッシ
Andretti
89 lap
19 6 ライアン・ハンター=レイ
Andretti
103 lap
20 10 ジェームズ・ヒンチクリフ
Schmidt Peterson
109 lap
21 7 佐藤琢磨
Rahal
128 lap
22 9 フェリックス・ローゼンクビスト
Chip Ganassi
128 lap

2019年シーズンのインディカー・シリーズは、例年通りCS放送のGAORA SPORTSで生放送される。視聴にはスカパーやひかりTVとの契約が必要となる。

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