
インディカー、FOXに株式を売却─資本提携で次のステージへ
米国のメディア大手フォックス・コーポレーション(以下、FOX)は2025年7月31日、インディカー・シリーズおよびインディアナポリス・モーター・スピードウェイを所有するペンスキー・エンターテインメントの3分の1の株式を取得したと発表した。
今回の出資に伴い、FOX傘下のFOX Sportsによる複数年にわたるインディカーの放映権延長契約も併せて発表された。FOXは今後放送のみならず、コンテンツ戦略やファンとの接点創出といった分野でも、インディカーの成長を牽引する立場となる。
なお、FOXによる「3分の1」という出資比率には、経営権を掌握せずに重要事項への発言権を確保することで、戦略的パートナーとしての影響力を保ちながら柔軟な協業体制を築く狙いがあると見られる。
FOX Sportsのエリック・シャンクスCEOは、「情熱的なファン、象徴的なサーキット、ハイレベルな競争、年間を通じたストーリーテリングの可能性──インディカーは我々のライブスポーツ戦略にとって理想的なコンテンツである」と述べ、インディカーの持つ競技性とエンターテインメント性が、FOXのメディア戦略と極めて高い親和性を持っていることを強調した。
また、ペンスキー・エンターテインメントのロジャー・ペンスキー会長は、「このパートナーシップは長年の信頼関係と共通の未来志向に基づいている。FOXはインディカーに対して明確な成長ポテンシャルを見出しており、共に歩むことで新たな飛躍を期待している」と述べた。
FOXによる出資を受け、以下の分野での強化が計画されている。
- デジタル戦略と没入型コンテンツの推進
- ドライバーの認知拡大とスター性の強化
- 革新的なレースおよびイベントの展開
2025年のインディ500は、前年比41%増となる701万人の視聴者数を記録。これは過去17年間で最も高い数字となった。シーズンを通じた平均視聴率も前年比31%上昇しており、競技全体としても成長の兆しを見せている。
インディカー・シリーズは2026年に向けて、新たな市街地レースを開催する計画も進めている。ダラス・カウボーイズおよびテキサス・レンジャーズとの合弁事業により、アーリントン市内のエンターテインメント地区での開催が決定しており、競技の魅力をより広い観客層に届ける試みとして注目されている。