ロシア自連、ハースF1のマゼピン含む同国ドライバーのFIA管轄レースでの国旗掲揚・国歌斉唱禁止を発表…ただし例外も
ロシアの組織的ドーピング問題に対し、スポーツ仲裁裁判所(CAS)が昨年12月に下した裁定内容が、国際自動車連盟(FIA)管轄下の世界選手権シリーズに適用される事が正式に確認された。
ハースからの2021年F1デビューが予定されているロシア出身のニキータ・マゼピンは、仮に表彰台に上がったとしてもロシア国旗を掲げる事は許されず、また優勝しても国歌を歌うことは出来ない。
CASは一連の不正問題に対する世界アンチドーピング機構(WADA)の判断を支持する形で、2022年12月16日までの2年間に渡り、ロシア代表選手団をオリンピックを含む主要国際大会から除外するとの裁定を発表した。
ロシア自動車連盟(RAF)は2月5日(金)、FIAからCASの決定に関する説明を受け、FIA管轄下にあるフォーミュラ1世界選手権、世界ラリー選手権(WRC)、世界耐久選手権(WEC)、世界ラリークロス選手権(WRX)、フォーミュラE世界選手権、世界カート選手権の各世界選手権において同様の制限が課される事を明らかにした。
上記の各チャンピオンシップに参戦するロシア人ドライバーは、ロシア連邦の旗や国章(三つの王冠を被った鷲の図像)、「Russia」「Russian」「Russian Automobile Federation」といった表記の使用が禁じられる。また競技会においてこれらの図や表記を公に掲げる事も禁止される。
またFIA管轄下のイベントにおけるロシア国歌の演奏も禁止される。9月26日に予定されているロシアGPも規制の対象であり、今年は例年レース前に演奏されているロシア国歌が流れることはない。「ロシアGP」の名称が変更される可能性もありそうだ。
ただし、条件を満たせば使用が許されるものもある。
「Neutral athlete from Russia(中立的ロシア人アスリート)」「Russia. Neutral athlete」といった表記でかつ、「Neutral athlete」と「Russia」が同等程度に目立つ形であれば、レーシングスーツを含めたあらゆるウェアに使用する事が許可される。また、”ロシア自動車連盟”を意味する「Russian Automobile Federation」の使用は禁止だが、略称の「RAF」は許される。
更に、観客がロシア国旗を振ることは禁止されていない。ロシア政府関係者のイベント参加も許可される。ソチ・オートドロームでのグランプリにはウラジーミル・プーチン大統領がしばしば出席している。
また現行を含む歴代のロシア国旗の使用は禁止されるが、ロシア国旗を構成する「赤」「青」「白」の各色は使用可能とされる。
今回の発表を見る限り、こうした制限は世界選手権格のシリーズにのみ適用されると読めるため、マゼピンと同じロシア出身のロバート・シュワルツマンが参戦するFIA-F2選手権は対象外と見られる。
国絡みのドーピング問題は2015年に発覚。ロシアは国際大会からの3年間の停止処分を受けた。WADAは処分解除の条件として検査データの提供をロシアに課し、2018年9年に解除へと至ったものの、WADAはそのデータに改ざんがあったとしてこの程の再度の処分を発表した。
なおマゼピンに関しては先日、イギリス国内における交通法規違反(赤信号無視)で罰金が科されたとの報道が一部英国メディアで報じられたが、一件を最初に伝えたBanburyCakeは件の文章を削除しており事実関係は明らかになっていない。